タロウのD通信第48号
――――― チェルノブイリから20周年 ―――――
ニュースで1986年の4月26日のチェルノブイリの原発爆発事故以来20年の年月が流れた旨の報道がされていた。旧ソ連時代にウクライナで起きたこの悲劇は広島、長崎に続く第三の核による殺戮といっても良いほどの大事件であった。時のソ連政府は当初この事故情報を隠蔽することに努めたが、スウェーデンで放射能が大量に観測されたために公表せざるを得なくなったとのことである。その被害者は数十万人が死傷した上記の広島、長崎に続く規模である5万5千人が死亡したとされている。
一方で人類はこれらの教訓をすぐ忘れ、相変わらず核開発に熱意を燃やしている、今欧州で一番きな臭い状況になっているのは他でもないイランの核問題である。先日も独仏英の度重なる説得にもかかわず、イランは堂々と、Enrichment(増殖)を進めている。これによりイランは今後簡単に長崎タイプの核兵器を製造することが可能となる。時を同じくして北朝鮮も6カ国会議が遅れれば遅れるほど、自国の核開発は進むとうそぶいている。これらの一連の動きは核、金、石油をコントロールすることにより世界を支配しようとしたパックスアメリカーナ(アメリカがもたらす世界平和)の構図が音を立てて崩れつつあることを意味している。戦前はアメリカが世界一の産油国であった、その後中東各国に多くの石油資源があることが分かるとアメリカを始めとして各先進国は石油確保の為に、中東対策に腐心した、今問題となっているイランにしても70年代のパーレビ時代はアメリカとイランは蜜月の関係であった。ここでもそれらの構図が大きく変わりつつある。すなわち産油国のアメリカ離れはここに来て顕著になってきている。先日テレビで放映していたベネズエラの石油戦略には驚いた、彼らは中南米第一の石油をパイプラインでラテンアメリカ各国に供給することでアメリカの支配からの独立を企図しているとのことである。ここに来ての原油価格の高騰はもはやアメリカは石油の価格をコントロールすることが出来ないということである。石油について言えば冷戦に敗れ、その力を失ったかのように見えたロシアがシベリアで独自に石油資源の開発に成功し、それを元に世界戦略を組み立てなおしている、ロシアにとって原油価格の高騰は願ってもないチャンスであり、各国に対して影響力の確保を目指している。このような状況下、最近のアメリカの影響力の低下はすさまじいものがあると思う。ドルの長期低落、石油の高騰、これに加えて核の分散化、これらパックスアメリカーナを支えた3種の神器がすべて機能しなくなってきているようである。よく世の中が変わる際にきっかけとなることは何かといえば、それは今まで仕組みを支えていたものが、逆に作用して、大帝国が崩れていくといった、過去からの教訓がある、今まさしく、それが現実に進みつつあるのではないだろうか?日本の繁栄はアメリカ頼みと堂々とのたまう現政権の危うさはそこにある。他力本願はいつでも避けるべきである。多少裕福な暮らしや浪費をセーブしてでも、自立すべきである。核による放射能は多くの人間を苦しめることはもう皆分かっているのである。その核を持つことで世界秩序を維持することはすでに荒唐無稽となりつつある。英明なアメリカ大統領や国民にはこの点を理解してもらいたい。すでに核爆弾の製造技術は一般化しており、これを力で抑えることは不可能であるのである。言って見ればすでにこの問題は先の偽札作りと同じレベルの問題となりつつあるのである。核爆弾は一基持ってしまえば、これはいつでも先制攻撃や報復に使える、その意味では百基あろうが千基所有しようが、他国が自力で一基もってしまった以上、これは、もはや抑止力としては意味のないことと思う。チェルノブイリ以降の20年、広島、長崎以降の60年で世界の人が進めてきたことは残念ながら抑止力の名前のもとに核技術の一般化であり、核兵器の分散化だけであったようだ。
「アメリカ」カテゴリの記事
- シカゴでの休日 vol.82(2007.01.23)
- タロウのD通信第29号(2005.11.16)
- タロウのD通信第37号(2006.01.26)
- タロウのD通信第41号(2006.02.16)
- タロウのD通信第48号(2006.04.20)



Comments