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May 10, 2006

タロウのD通信第50号

――――― 4万枚のB級千円札?――――
またまた愕然とした、ニュースに接しました。自動販売機に使用できない、不具合がある千円札40,000枚が見つかったとのことです。この報道自体は、検品工程で人は見逃すことがあるので、ヒューマンエラーとしてしょうがないことと理解できますが、問題なのはその後です。具体的にどこがおかしいのかを発表しないことです。その上で政府は積極的にこの不具合B級品の回収をしないと宣言したことです。これはどういうことでしょうか?すでに巷にはたくさんの偽札が出回っており、回収するとなるとその偽札分も交換に応じなくてはならず、出来ないというのが現実かもしれません。この一件も含めて最近思うことは、我々はお金の価値をあまりにも軽く見ているのではないでしょうか?別の言葉で言えば、お金が示している価値と実態の経済に置ける価値の間に大きな乖離が生じているということではないでしょうか?どこに問題があるのでしょうか?

私がサラリーマンを始めた年の12月にプラザ合意なるものがワシントンでなされました。それは先進7カ国がそれぞれの通貨の交換率を一定の枠内にはめ込み、それを維持するために皆で協調するといった取り決めです。これは今までの通貨管理制度はそれぞれの国の信用で正常に運用することを前提として通貨を維持してきたのですが、経済の国際化により一国だけでは対処できないと考えた各国の財務担当者が一同に介して協調して信用を維持することを目的とした制度です。そもそもアメリカでは1971年以前は一定比率で金とドルが交換できる金本位制が取られており、これが大きな信用となり、ドルは世界中に流通しました。即ちこの制度がある限り、ドルと金は同義であったわけです。しかしながら、ベトナム戦争への出費やドイツや日本などの新興国の製品に対して競争力がなくなったアメリカはドルの実質的な信用低下になすすべがなくなり、一方的に金との交換を停止しました。そしてそれに合わせてドルを各国通貨に対して大幅に切り下げることで、蓄積していた貿易赤字や財政赤字を世界通貨平均ベースで削減する道をとりました。これが後世にニクソンショックといわれるものです。結果として今までドルを手もとにおいて金と同じく貯蓄手段として持っていた人々は大きな痛手をこうむり、その後その資金は新興通貨である、ドイツマルクや円に回りマルク高、円高となりました。結果として日本の製造業はこれ以降、輸出については常に円高に悩まされることになったのです。その後国内の産業は空洞化し、人件費の比率の高い企業は東南アジアやその後開放改革路線が既定の事実となった中国へと移動したのです。その後のプラザ合意の方針に基づき、先進国は毎年G7会議を開き、各国のお金の増刷幅を経済成長に照らして取り決め、今日に至っております。これは年間3%の経済成長はするものとの前提に基づき、それに見合った新札を発行する権利を各国に認め、お金の価値を維持することが目的としての政策です。しかしながらアフガン戦争や2度に渡るイラク戦争で、膨大な出費を迫られたアメリカはこのような紳士的な方針には従うはずもなく、キャッシュの確保だけを目的としての紙幣の増刷を続け、これがいまや手をつけられない水準となっているものと思います。また日本でもアメリカから上記の戦争に適切なる費用分担を強いられることにより、今まで自制を続け通貨の価値を維持してきた政府がアメリカの言うがままに、赤字を黙認し資金負担をすることなり、結果として現政権では財政赤字が大きな問題となっております。

上記が歴史ですが、改めてこの35年間を振り返ると、ドルが金本位制を取りやめた時点で、各国の為政者は自国の通貨を自由に発行できるという権利を確保したとともにそれを守るといった自己責任が生じたことに注目する必要があります。即ちむやみに増刷をすることや、赤字を放置することはしてはならないということです。実際に大きな財政赤字があるということはそれと同額の通貨がマーケットに供給されているわけであり、それに見合った経済発展がない場合は実質的にその国の通貨は下落するわけです。この事実を我々は正視して真剣に対応しなければなりません。さもないと汗水流して得たお金が日に日に価値低下をもたらし、働けど豊かにならないといったことになります。今の日本には一人当たり500万円以上の借金があります。EU統一を成し遂げ、ユーロの価値を守ろうとすさまじい努力をしているドイツでも一人当たりの借金残高は250万円以上との発表が先日ありました。この問題は日本のみならず先進国全体の問題として、皆で正視して対応しなくてはならないと思います。少なくともこの認識があれば3兆円などといわれている軍備再編のコストの負担を既成事実として論議する前に、一言この財政赤字についての言及があるべきと思います。

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