タロウのD通信第55号
――――― 上海協力機構(Shanghai Co-operation Organisation)―――――
昨日同機構発足5年目にあたる総会が終了した。今回は今まで非米国同盟の色合いから一歩進んで反米同盟の立場をより鮮明にした点で、非常に注目している。その加盟国も徐々に増加しとくに今回はインドなどのオブザーバー国に加えて、今核問題でゆれているイランの大統領がオブザーバーとして参加して、反米路線を明確にした点は、歴史上の大いなる転換点の一つであると考えても良いと思う。
89年のベルリンの壁崩壊から90年代の旧ソ連の分解、それに続く米国のスーパーパワー化にひとつの区切りをつけるべき新たなる反米同盟の発足と見ることもできる。この組織に今後、北朝鮮、また声高に反米を叫んでいる、南米のベネズエラやブラジルが参加するようになれば、現在の世界の安定をもたらしている、力学的なバランスは一挙に崩れ、米国同盟と欧州同盟、またこのBRICs同盟といっても良い新しい軍事経済同盟が存在することになり、これが新たなる緊張関係を生むことになる。これが事実となれば第3次世界大戦がいつ起きてもおかしくないようなおぞましい戦争の世の中がまた始まるかもしれない。その意味では将来のことを考えると非常に不安であるとともに何とかしなくてはといった焦燥感を持たざるを得ない。いつも思うことだが、この世界の動きの中で今の我国の動きはまことにおかしな方向を向いていると思う、それもすでに衰退期に入ったアメリカに対して媚を売りますます属国化する道を自ら進んで歩いているようである。巷でささやかれているように牛肉問題についてもその本質を明らかにすることなく今回の小泉首相の訪米の手土産として解禁となるのであろう。実際本件については素人である私ですら、いつも歯がゆく思うのはことの本質に対して何も議論が行われていないことである。それはBSEの原因である肉骨粉を使用していない証明を出せばBSEの問題は解決するはずであると思うのにもかかわらず、その使用と狂牛病の因果関係を認めたがらない米国に配慮することでことの本質をあいまいにして、いまだに因果関係がわからない原因不明のBSEに対しては、元を断つことは難しく、ただ食肉加工の管理方法だけをしっかりと行えば問題は解決できるといった類の論理のすり替えがなされているのではないのだろうか?すなわち米国の牛肉は安全である、なぜならば米国政府は狂牛病の原因である肉骨粉を絶対に使わせないからである。こういえば簡単に解決する問題のはずである。あるいは今でもコストパフォーマンスの良さから、広範囲に使用しているのでそれを言い出せないのか?実際米国では牛に対しての肉骨粉の飼料としての使用は規制されているものの、それ以外の場面では使用可能であり、肉骨粉入りの飼料を使おうと思えば誰でもできるのである。この点の議論をなぜしないのか? 日本では肉骨粉の使用は禁止されている、従い米国でも日本向けの牛肉には肉骨粉を使用していない証明書をつけてほしい。簡単な要求ではないだろうか? ところで前号でも書いたが、冷戦終結後、新たにクローズアップした問題として、イスラム原理教徒のテロの問題がある、しかしこれについてもテロを行う彼らも悪いが、その本質として、どうして彼らがテロを行わなくてはならないのかといった問題をもう少し冷静に考えるべきであると思う。これはユダヤ教徒にとっての約束の地ではあるが、実際はパレスチナ人とユダヤ人が混在していたパレスナの地をイギリスが一方的に自国の利益の為にパレスチナ人を追い出し、ユダヤ教徒に譲ったことに端を発しているのであって、これについて英国やその問題の仲裁を引き継いだ米国がこれを非として素直に認め、原状回復を図ればそれで済むことではないだろうか?イスラエルの建国は間違っていた、今からでも遅くないので、イスラエル政府に前と同様にパレスチナ人を受け入れるように働きかけるからテロをやめて欲しいと、どうしていえないのであろうか?
今回の上海協力機構が戦後の世界を引っ張ってきた先進国を排除した形で発足した背景には、あまりにも勝手な論理を振り回す米英に対して何も忠告や体を張っての阻止ができなかった我々米英以外の先進国に対する強力なアンチテーゼではないかと感じている。本来先進国間では頻繁に意見の交換、より良い世界を作るにはどうすべきかと真剣討論されるべきはずのものが今では米英の追認にのみに成り下がってしまっている現状がこのような新たなる世界秩序の組織化につながったのではないだろうか?
私がドイツに赴任した2003年はユーロ通貨の流通が始まり、対イラクの米英の強硬路線に対して独仏が自信を持って反対した、非常に前途の明るい時期であった、しかしながらその後の米国のヨーロッパに対する有形無形のプレッシャーによりまず金を扱う部分が米国のやり方に屈してしまった。また私の携わっている環境保護のための全ヨーロッパをひとつにした新規化学品規制も米国の圧力により有名無実化している。これらのふがいない動きに業を煮やした新興国がいよいよ独自に米国と対峙することを選んだのではないだろうか?この事実はよく認識しておきたい。その中で唯一の被爆国で敗戦国の日本の果たす役割は大きい、政治経済は別として、戦争だけは決して起こさせないといった力強い決意の基に体を張って戦争を阻止することしかないと思う。まだ遅くはないと思う。
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