タロウのD通信第65号
――――― 幅の広い外国語教育のすすめ ―――――
日本では外国語といえば、それは英語それも米語とほとんど同義のように考えられているが、最近のドイツも日本と同じく外国語を取得するということはまず英語を取得することが一般的である。このことは世界の共通語が実質的に英語となっている今、きわめて当然のことである。その上でドイツ人にとっては同じゲルマン語圏に属する英語は比較的簡単にマスターできるので、これによりアジアとの貿易などで活用されている。
ところで日本では有史以来外国語といえば漢語であった、日本人は漢語を学ぶことで中国の先進的な文明に触れることができ、一つ一つ自己のものとして咀嚼してきた。また江戸時代になって西欧語としてオランダ語が外国語に加わり、その後明治維新後は主に日本人が勉強した語学は英語を始め、分野によって、政治学などはフランス語、軍事や医学はドイツ語など比較的多様化していたようである。ここドイツでは同じローマ字文化圏に属する言語にて相互間で受け入れやすいといった違いはあるが、日本と同様に第二次世界大戦前は英語とともにフランス語が大きく普及していた。これはナポレオンの欧州制覇の後のフランスの共和制の発展による政治学の進展が大いに影響しているとのことである。即ち特定の言語を学ぶ背景には特定の知識や仕組みを学習するといった目的があり、欧州ではそれらの交流が頻繁に行われ相互に影響し発展をして来たといえる。
戦後日本は経済的に豊かになるために、英語それも米語一辺倒で猛烈に経済発展の道を歩んできた、その内に外国=米国といったある種の誤解が生じるようになり、その根源はフランス語やドイツ語、もっと言えばギリシア語やラテン語の単語であるものですらアメリカが発明したかの錯覚を持つようになってしまった。しかしながらこれらの単語は実はアメリカという国が生まれる前にすでに存在していた。それらアメリカが借用したに過ぎないという事実改めて注目する必要がある。とはいっても戦後の金融業界で使われる単語やファーストフード、またコンピューター業界で使われる単語などは米国生まれが多い、これらは、それぞれがアメリカで発明、開発されたので当然のことである。
ところでドイツ語はゲルマン語にしてはラテン語の影響が大きいといわれているが現実に中世以前は、ドイツの地域は神聖ローマ帝国として、聖職者はラテン語の取得が義務化していた、その後宗教革命でマルチン・ルターがラテン語の経典をドイツ語に訳し庶民に普及させた際、その時点での庶民のドイツ語では表現できないラテン語の単語の多くがそのままドイツ語として記されたことによると聞いている。このことはキリスト教会を通じてドイツにはラテン文化が色濃く浸透してきたことを意味している。一方いわゆるラテンヨーロッパといわれるフランス、スペイン、ポルトガル及びイタリアは言語そのものがラテン語の一部であり、彼らにとってはラテン語を通じてのラテン文化の吸収についての問題は無かった。その結果フランス、スペインなどでは今でも正統なるカトリックがしっかりと地に根を張っている。一方英国は宗教革命後キリスト教を国教会として管理をしており、これはもちろんラテン語をベースとしているが、独自の味付けが色濃く残っている。その上アメリカにいたっては、イギリス独自のキリスト教の中のそのまた過激な一派である清教徒が新大陸に移住して作った国にて、これはそれだけでヨーロッパの基準からすればかなり特別な地位を占めている。
最後に提言したいことは、戦後の教育の中で日本はアメリカの仕組みを取り入れ国を発展させてきた、このこと自体にはなんら問題もなくこれが高度経済成長を成し遂げ豊かな国となった最大の原動力であると思う。しかしいまや先進国の一員としてそれ相応の責任を持たされている国として考えたとき、アメリカから米語というフィルターを通した情報だけではきわめて偏っているといわざるを得ない。それだけに視野を広くして少しでもオリジナルの言語あるは、その国でのどうしてそれらの単語が生まれたかを考えてみる必要があるのではないかと思う。
その点で日本国内にても、ワールドカップを頂点として世界に普及しているサッカーやヨーロッパ発の温暖化問題や環境問題など、アメリカとは一線を隔す、イベントや政策が出つつあることは大いに注目したい。それだけに我々日本人も自然な形でかつはっきりとした自覚を持ってアメリカ以外の文化についても理解し取り入れるために、米語以外の習得が重要であると考えている。
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