タロウのD通信第74号
――――― 日本の食文化 ―――――
以前本稿で紹介したが、日本食を世界3大料理に認定するかについてある世界機構が議論を始めているということを知った。実際に私の住んでいるデュッセルドルフには数多くの日本食レストランが存在しており、それぞれがしのぎを削っている。顧客層をよく観察すると日本人顧客はほとんどいなく、多くが当地のドイツ人といったレストランも多くある、これは日本食がただ単に7000人在留邦人のものではなく、我々が東京で食べるイタリアンやフレンチのように、完全に欧州の食文化の一つとして認められた実例ではないだろうか。またその背景には日本が世界一の長寿国にここ数年君臨しており、この理由として日本の食文化があることを皆が認めていることにもあると思う。
当地の人間に聞いて見ると日本食は健康に良いと一様に発言する、それはどうしてかと聞くとバターや食肉主体の西洋料理に対して日本は大豆、魚が主体であり、悪玉コレステロールがつきにくく、心臓病や血管の病気に掛かりにくいとかなり具体的に説明してくれる。結果として、単純に日本人の長寿の原因は魚と大豆の大量摂取にあると信じ込んでいる人間もかなりいるようである。実際に当地ではサプリメントとして、DHAやコエンザイムCoQ10など日本発の健康食品素材がかなり多くある。また緑茶の普及もかなり進んでおり、空港のラウンジや普通のスーパーでもか必ず緑茶を目にする。これも緑茶の主成分であるカテキンなどの抗酸化作用が注目されていることが一因であると思う。一方これらの素材を西洋料理に応用することも平行して勧められている、先日知りえた話では、フランス料理に従来の醤油に加えて、味噌を隠し味として利用することがはやりつつあるとの事で、これも日本の食文化が健康の良いものとして、普及し始めたこと実例なのかもしれない。また寿司の普及も目をみはるものがある、これはもはや日本食といったカテゴリーを脱して独自の道を歩き出した感がある、先日コロンの駅で駅のレストランに寿司バーがあったのには驚いた。また日本でもおなじみの寿司の詰め合わせが8ユーロくらいで簡単に購入でき、これが品の良い駅弁として重宝されているというのも日本の食文化の普及をはっきりと示している。
このような世界的な寿司をはじめ刺身などの日本食の普及は、世界の漁業資源の枯渇を心配する声へと進展している、聞くところによれば日本でのマグロの価格は例年の2割り増しとのことで、これも世界中の人間が今まで食べたことがないすしや刺身を食べることができ、それを美味しいと感じた結果と思う。このことは日本人として一面では非常にうれしいことであるが、一方では魚が今まで通り供給されないという点では複雑な気持ちである。食肉については膨大化する需要に対して牧畜業の発展がこれを支え、世界の人々の需要を満たしてきた、同じように魚についても今まで以上に養魚の技術を上げ、安定供給を図ることが急務ではないだろうか、少なくともこの分野では日本は世界の先端をいっており、将来に渡り世界の食の供給に貢献する大きな義務があるとおもっている。
ところで、ヨーロッパ生まれの養殖技術が世界を豊にした例が、現実に存在している、それはいわゆるカラフトマスと日本では言われている、淡水のマスの養殖法である。これは淡水マスは淡水下では、あまり大きくならないが、これを人為的に海水中に移して養殖を行うと、鮭と同じように大きくなるというのである。これはノルウエー人が発見し事業化したとされているが、今では北米や日本、また南米のチリなどで広く普及し、美味しいサーモンの刺身やスモークサーモンを世界に供給しているのである。マグロにしても現在日本で研究されている完全養殖の技術を完成させて、世界に普及させ、資源の枯渇問題に一石を投じること我々日本人の責務ではないだろうか?これは古くから魚に親しんだ、日本人にしか出来ないことと思っている。
「日本」カテゴリの記事
- 外資襲来 M&Aの時代 加筆訂正版 Vol.183(2008.10.24)
- 財政問題は安全保障の問題である Vol.132(2007.12.20)
- 公務員改革法:実効性を疑問視する声も- 民主党に重大な責任 Vol.156(2008.06.22)
- サブプライム問題と原油・食糧高、原油本位制が始まる。 Vol.155(2008.06.20)
- AKIBAよ元気をだせ、ドイツに根ざしつつある秋葉原 Vol.154(2008.06.15)



Comments