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May 08, 2007

今憲法改正論議が意味するもの Vol.91

今週の日曜日にフジテレビの報道2001を視聴した。ゲストとして中曽根元首相が出演して、現憲法は進駐軍(マッカーサー)の一存で天皇制存続を交換条件とした、押し付けの憲法であったとの内幕を伝えていた。このこと自体は今までの経緯から大方の人は予想できたし、さもありなんと思った人は私も含めて多かったものと思う。しかし、ではなぜ今この時点で政治家達は憲法改正を口々に訴えるのであろうか?先日も安倍首相が外遊先のエジプトより日本国民に対して憲法を改正することが自らの政治目標であると発表していた。

同番組を通じて知りえた、元首相や他のゲストまたコメンテーターの発言を総合すると、戦後の日本は経済的には大成功を収め、世界第2位の経済大国の地位をゆるぎないものにすることができたが、政治的にはいまだに進駐軍占領下の国家であり、独立していないという主旨であったように思う。実際この憲法を受け入れた吉田首相も日本は経済国家を目指すとの基本方針を持ち、軍備の拡充には重きをおかずに経済の発展を第一義に考えた政治運営をしていくとしていた。また同時に国連参加、旧ソ連との国交正常化、中国との国交正常化など戦争で失った、国の独立を政治はこの60年で果たしてきたとの見解であった。同時期をそれも後期昭和を生きてきたものとして、このコメントは理解できるが、一方で一国を預けた元首相の発言としては、なんとなくがっかりさせられるものでもあった。少なくとも学校では日本は独立した民主主義国家と教えられたにもかかわらず、いまだ戦勝国の管理下で独立する途上であることを今伝えられるのは、我々はうそ偽りの教育を受けてきたと同じことではないかと思う。また他のゲストが発言していたが、日本は財界(大企業)が支配する商人国家であるとも言っていた。政治家は存在しているが、経済第一のお題目があるために常に財界に慮り、政治家本来が果たすべき仕事をしてこなかったとの辛口のコメントであった。考えて見れば、我国は昔から日本株式会社などと欧米から揶揄されても、それを批判と受け止めずに国家を挙げて経済運営を行ってきたのであり、このことは事実として認めざるを得ない。

それではなぜこの時期に憲法改正が必要であるのか?戦後荒廃した日本を立ち直らせるには経済を中心として国家を運営することを中心として、政治・軍事的にはアメリカの属国で結構といった考えが時代の要求に合致していた高度成長期までの日本ではそれでよかったであろうが、その安直な考え方がこの戦後60年の今まで継続されてきたことは問題であった。結果として日本株式会社の行き着いた先は世界でもまれに見るバブルでありものの見事に崩壊した。それに懲りた政府は、規制緩和の大方針のもとに自らは日本株式会社の運営主体から離れつつあり、これにより残った政府には、実は何もない抜け殻のみが残っていることを悟ったからではないだろうか。結果として政府自らが今までの誤りに気がついたのではないか?しかしながらそれを正面からは認めようとせず、日本国憲法の正当性にその問題をすり替えているのであり。これがまさしく憲法改正論議の本質であると思う。

ところで前号でも書いたが、最近の円安には大いに不安を感じている。それは金利がただのように安い円を外国の投資銀行どころか、国内の大企業はこぞって借り入れその資金を国内の雇用増大につながる設備投資に振り向けるのではなく、中国や東南アジアへの工場進出に使っている。結果として国内の製造設備はどんどん老朽化して、今まで以上にコスト競争力がなくなり、多くの国民は失業の危機にあえいでいるのである。またそれらの大企業に下請けとして部品や材料を納入していた中小企業は大企業の工場の縮小により仕事はどんどん減りコストのしわ寄せをうけ、廃業に危機に瀕している。国民の富を財界が願うとおりに、政府は大企業に優先的に振り分けることにより本当に資金の助けを必要としている弱き者がより苦しくなるのである。今こそ政治家は立場の弱い国民の側に立って仕事をすることが急務なのである。本当の国民の支持を取り付けないままに、財界の意向を気にして相も変わらずアメリカ一辺倒の政策を継続し場当たり的な憲法を改正したところで何も変化しないのではないか。

今大事なことは、政治が国家運営のリーダーシップを取り戻し、あれもこれもやるのではなく、まず国民に対する借金を返すこと、その上ですでにいままでの放漫政策により国民の富を利用して中国や東南アジアに出て行った日系企業を日本国の政治の枠組みに戻すために、新たに中国や東南アジア諸国とで作る新経済圏を確立し、そこから得られる富を日本国民に還元する仕組みを作ることではないだろうか?このままでは日本国民の貴重な富が中国や東南アジアの人々のみに使われるといったことになり、それでは汗水流して頑張ってきた先人の努力は報われないのである。実際に今欧州、米国などに輸出されている日本ブランドの商品の多くは日本製ではない、この事実は日本人が自らの努力で築き上げたブランドが企業を通して他国の利益のため利用されており、国民自らは潤っていないことを意味している。このおかしな状況を根底から見つめなおし、直すことこそが政治の役割であり、リーダーシップをもって取り組むべき作業であると思う。

日本の政治家は中国や東南アジアが急速に力をつけて日本に並ぼうとしている現在、まるで自らはまったく非がないかのように振舞って9条が悪い、占領軍が悪いなどと場違いな議論をする余裕はないのである。すぐにでも財界主導の商人から国家の運営権を取り戻し、全国民の代表としての政治家主導の民主国家へと変革することが必要であると思う。それができて初めて全国民が納得して真の政治的独立を考えた上での新憲法を議論することができるのではないだろうか?

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