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May 13, 2007

ヨーロッパは政権交代ラッシュ、では日本は? Vol.92

フランスでは親米政策を訴えているサルコジ氏が大統領に当選した、一方イギリスでは過去10年以上に渡って米国と行動をともにしてきたブレア首相が自らの低支持率にあえぎ、退陣を決めた。昨年のドイツのメルケル政権に続き、ここヨーロッパでは当然のように政権が変わっている。しかしながら、ドイツに住んでいるとこれらの動きはきわめて当然であるし、このように適度に政権が変わることこそもっとも効率的な望ましい動きであると思う。実際に政権が変わってもドイツはドイツであるし、フランスはフランスであり、イギリスはイギリスであることにはなんら変化はない。それだけ欧州の国はその国の独自のしっかりとした存在基盤を備えているといえる。

この点で、日本に危うさを感じるのは私だけだろうか?前稿でも書いたが、先の太平洋戦争でアメリカに降伏してから、自ら食いつなぐために採用した経済を優先する政策が結果的に功を奏し、日本は世界第2位の経済大国になったが、その反動で官民ともに政治には無感心であり、独立国として形をいまだに作っていないことが事実と認識されつつある。一方で国民がこの認識をもつことで不安を感じ、政治家はそれを制度の不備であると責任を転嫁して、憲法改正論議や教育基本法の改正など、国の基本を再構築しなくてはならないといったことを提起している。しかしながら現状のように経済運営しか知らない政治家による憲法改正や諸政策の修正は、うまく行くのであろうか大いに不安である。ヨーロッパの国のように国家の領袖が変わってもその国の文化や国民は代わらないといった、安心感が足りないと感じるのは私だけであろうか?

我々が学校で学んできたことは、日本は民主主義国家であり、三権が分立しており、人々は民主的に話し合いを持ち自らが決めたルールである憲法・法律に基づいて国を治めると習ってきたが、現実は、戦後体制下日本はアメリカの対面を立て、自らの政治的独立は犠牲にして経済発展を第一の政策におき、これが達成されるのであれば不完全な民主主義でも受け入れるべきとの考え方でいままでやってきたのではないか。即ち我々が受けてきた、教育は言っていることとやっていることが大きく食い違っていたのである。先の中曽根元首相の発言はこの問題を裏付ける意味で象徴的であった。民主主義国家である筈の日本の憲法は自ら決めたものではなく、占領軍が決め、それに疑問を持ちながらもここまで運用しつづけてしまった。故に今ここで改正への道筋をつけなければ死ぬにも死ねないといった悲壮な決意表明があったことを、我々は真摯に受け入れるべきであると思う。即ち現行の憲法は戦勝国が管理する世界での経済復興のための臨時憲法であり、いまや戦勝国支配も終焉し、かつ日本の経済発展が達成された以上、現行憲法は不必要であり、真の独立国建設をサポートする憲法を、民主的に他の補完する仕組みづくりと共に、一刻も早く改正、修正、構築することが必要であると言うメッセージであると理解している。しかしながら40台半ばにして、今まで信じてきた憲法が不完全であり、それは民主主義ではなかったと突然宣告されることは容易には受け入れられず、忸怩たるものを感じる。仮にそれが食うや食わずの戦後の荒廃から国民を救うというお題目があったとしてもである。そう考えると大きな喪失感に襲われるのは正直なところである。しかしながら思い当たることもある、私が就職した80年代中葉はまだ高度経済発展の余韻がのこり、かつ円高により日本の国際的地位が年々高まっていた時期であった、日本人すべてが繁栄する自国に誇りを持っていた時代であった。それは日本人がまじめに働いて頑張った結果であると誰もが思っていたはずである。しかしそれはバブル崩壊で夢物語となったことを思い起こせばよく理解できる。本来政治が体を張って止めねばならない金融機関の暴走に対してなにもしなかった、いやなにもできなかったことが原因であったからである。それは当時の法律や社会の規範を作った政治に大きな問題があるということであった。一方で戦後常にアメリカを気にしつつ、政治的には自主権を持たない属国として政治をおこなっていたことが問題点として露呈されたことでもある。

今憲法改正が公然と発言され進められるということは、過去の政治をそのまま継続させることは問題であるということを日本人自らがはっきりと認めたことである。これは政治家も行政部門も日本株式会社の執行役員としての経営手腕を求められる時代は終わったことを意味している。今後しばらくの間経済運営とは距離を置き、しっかりと日本人にあった憲法作りに国民皆が智恵を絞る必要があると思う。それとあわせて、いまだに日本株式会社の経営者としての生きている政治家や公務員をどんどん交代させ、組織をスリムにする必要がある。これができない限りでは、自民党であれ、民主党であり政権政党の資格はない筈である。ヨーロッパの国がもっとも大切にしてきた自国の固有の姿(アイデンティティー)の形成を戦後60年以上に渡ってないがしろにしてきた付けは、大きなものである。しかし今我々は勇気をもって、着手しなくては後の世代に対して取り返しのつかない禍根を招く恐れがある。日本人は今まで後経済大国として蓄えた貯蓄をうまく使いながら、過去の付けの清算を行わなければならないのである。今こそ1500年以上に渡ってひとつの国家として存続してきたノウハウをもう一度勉強しなおして、社会の仕組みを変革するべきである。

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