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May 26, 2007

バブル崩壊の失政の反省はなされたのだろうか?1 Vol.93

5月に入り天候も安定し、ここドイツも本格的な夏の季節となった。日本と違いうっとうしい梅雨がない欧州は空気も乾燥し、日本の五月晴れのような夏の日々が続き本当に快適である。またここドイツは東京や大阪のような巨大都市はなく、人口の絶対数がすくないのでストレスが少ないように感じている。当然のことながら犯罪はあるが、日本のように深刻に感じないのはこのような環境のせいであろうか?フランスの大統領が先日決まり、イギリスもブレア首相の退任が正式に発表されブラウン財務長官が政権をとることが確実視されている。昨年のドイツの首相交代以来の小さな政変劇も大過なく収まろうとしている。その上ドル・円に対してのユーロの上昇は、6月から始まる夏休みに世界各地にバカンスに出ようとしている人々に金銭的余裕をもたらし、ささやかな希望を与えている。先進国でもっとも通貨が安い日本などへグルメ旅行を計画している、ドイツ人やフランス人が多くいるのではなかろうか?2003年からこの地で生活しているが今欧州は政治・経済面でもっとも安定しているように思う。ドイツにしても長らくEUの基準であった昨年度の財政赤字がGDPの3%を下回ったことが確認され、これでEuro加盟国の条件を全うしたことになり、堂々とEUの盟主として振舞えることとなり、まことにご同慶の至りである。

一方我祖国日本はどうであろうか、NHK特集で夕張市の財政破綻や岡山市が必死に財政破綻を回避する姿が放映され、国はもとより地方自治体までもが財政赤字・借金に苦しめら手いる姿が浮き彫りにされている。しかしながら数字があまりにも大きく具体的な再建策は見いだせず、また多くの地方自治体が同じ様な状況にて緊迫感を感じることができず、あきらめの気持ちとなったのは、私だけであろうか?ところでなぜ日本はこのようなことになってしまったのであろうか?少なくとも私が就職した85年当時の日本にはこのようなことが起こる不安すらなかったと記憶している。それが会社人間としてわき目も振らずに働いた結果、自国がこのような姿になったのはどういう背景があるのだろうか?その原因を考えるとき、バブル経済の起きた背景とその後の対応について考えざるを得ない。

まずどうしてバブル経済が起きたのであろうか?多くの人がこの質問に答える時、直接的な原因として85年のプラザ合意があげられる。それは先進国(当時は先進五カ国)が日本を経済的に敗戦国から一人前の経済大国として認めた会議である。それまでの日本は経済発展を継続し、日本製品は高品質の代名詞となり、世界中にその名声を広めていた。それ故、敗戦時の日本円はドルに対して360円に固定されていたものが、70年代のニクソンショックで308円その後変動相場制を取り入れることなり、200円台―180円台と大きく動いていた時代である。それまでの日本政府は過度の円安は日本の生命線である輸出に不利と判断して常に介入をして、円を安い水準に保つ努力をしていた。しかしこのプラザ合意により日本円は世界の主要通貨として認められると同時に一ドル100円を目標として大幅な上昇を受け入れる政策を採ったのである。当事商社で新人社員として働いていた私は上司の命令で全神経を為替の動向に集中させ、少しでも円が安くなれば輸出決済用のドルを購入して、円貨ベースでの損失の極力抑えることが仕事であった。今から思い起こすと、実はバブルの原因はこの行為にあったようである。即ち政府は他の先進国に対して円高を認めかつ、その政策を忠実に実行することで、結果として経済実態は輸出偏重であるにも関わらず、実情に逆行して多額な円売りドル買い政策を行ったのである。一方円が高くなることが分かっている米欧の銀行はそうして安く売り出される円を積極的に購入し、自行の資産を増やしていった、したがい結果として実体経済を無視して発行された対円高対策用の円の多くはは海外に落ち着く先のない遊離通貨(フリー円)として流出し、欧米各国の投資家の手元に蓄えられ、それが実態以上の円経済圏を形成してしまったのである。その後円が80円を超え、ピークを示したのは、95年のことであった。この年はまさに後に皆からバブル崩壊の年とされている。一方で海外に放出された円はそのままでは誰も使ってくれないので、日本への投資として帰ってくることになる。即ち米銀などの投資家が安いうちに購入した円を高くなって売ればそれだけドル建てでの利ざやが稼げるからである。一方そうして還流した円は行き場を失い、政府・邦銀にプレッシャーをかける、結果としてそれをまず土地へと向かわせ、びっくりするような土地神話が巷を席巻し、あちこちに土地長者が出現し、その後はそれが株に向うのである。

ところでこれにより仕組みは分かったが、疑問として残るのはなぜ、このような異常な事態に対して、政府は途中でこれは危険としてこれをとめなかったのであろうか?ここに我国の問題点がある。即ち円高が猛烈に進んだ際、政府が円貨の供給を引き締めるために、国内の金利を上がったらどうなったであろうか?企業は輸出するために作る製品の材料を購入することに障害を感じ、また継続する円高によりドル建ての商品より得られる円貨での代金はすくなくなり、輸出は縮小するであろう、したがい多くの輸出型企業は業績悪化に苦しんだであろう。また少しは倒産するところもであるかもしれない。しかし円の供給は適正量に保たれ、上記のような欧米投資家による投機的な円買い・ドル売りは少なくなったと思う。結果として後に日本に還流する円の総額もそう大きなものではなく、あれほどまでのバブル景気は起きなかったものと思っている。それではどうしてその歯止めが利かなかったのであろうか?私は背景に日本株式会社として重商主義に徹してきた、日本のそれまでの政治姿勢に問題があったものとみている。即ち政治と経済が一体化してしまったことにより、政治そのものが持っている抑制の仕組みがこの国ではまったく機能しなかったことがバブルの最大の原因と思う。それは政治家、官僚が日本株式会社のトップとして君臨しすべての権限を有していたことによる弊害であるといえる。いまバブル崩壊後10年が過ぎ、我々はやっとそのことに気がつきつつある。しかしいまだに官僚機構はほとんど昔と変わらず、政治家の金の問題は絶えることがない。これでは日本の再生は望めず。欧州のように平和な夏を迎えることができるためにはまだまだ時間がかかるのではないかと思う。

ところで先のNHK特集では夕張の借金の総額が約350億円として紹介されていた。それによる多くの住民が行政サービスの低下で苦しんでいるとの報道であった。一方その番組と合い前後して発表された村上ファンドの村上氏個人の資産総額が200億円とのことであった。バブル及びその後の失われた10年で得たあぶく銭の総額である。いっそうのこと村上氏を無罪にする条件としてこの個人資産すべてを夕張に寄付したらどうであろう。そして村上氏は夕張市の英雄として都市の再生に尽くせばよいのではなかろうか?

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