コムスン事件と環境問題 Vol.96
コムスンが厚生労働省から虚偽の申請報告を行ったことで営業停止の命令を受けたとのニュースが大々的に発表されていた。また本日の朝刊では厚労省のこの処置をあざけるかのように同社の親会社のGoodwillグループはコムスンの営業権を同じグループ内の別企業に譲渡して、コムスンを廃業するといった報道があった。あくなき金儲けへのこだわりに驚いている。最初にこのニュースを聞いたとき、すぐさまさもありなんと思った。以前より拝金主義的な経営が指摘されていた企業であったからである。コムスンは発足当初は心のこもった介護の会社であったと聞いているが、その後、人材派遣業の大手の一角であるGoodwill社が参加してからは、なりふり構わず利益を追求する会社に変貌したとのことである。最も真心が必要な業態において、拝金主義を標榜するのでは成功するはずはないと思う。ところで昨日からドイツのハイリゲンダムでG8が開催されている、皆の注目は地球温暖化対策での各国の大枠での合意を達成することであるが、これについて米国は経済活動優先の立場から合意を拒んでいるとのことである。ここで感じることはこの二つの問題はお互いに拝金主義を根っこに持つ点で同じではないかということである。
コムスンについては2年ほど前にこんなことが有った、それは私が大分で作られている竹製の車椅子を欧州に紹介しようと製造・販売元を訪問した際に、実はということでそこの青年社長さんが大手介護のコムスンがこの車椅子の独占取り扱い権を認めてくれたら、私の会社で使用して何万台も購入するとの提案をしたとのことを話してくれた。それに対してこの青年社長はご覧の通り、職人が自然の竹を利用して手間暇をかけて一台一台真心を込めて作るのがこの竹製の車椅子の良いところにてこれを金儲けの道具として特定の会社に対してのみ売るような行為はとてもできないと憤慨していたことを思い起こした。まさしくこの提案はこの会社のやり方が介護という本来弱い立場の人を守るべき福祉事業に対して札束を見せ付けて、金のなる木に換えようと考えていることを示しているものと思う。結果的にこの青年社長は熟考の末にコムスンの誘いは断り、今でも地道に仕事を続けている。一方今回G8で討議される課題のひとつである地球温暖化に対しての米国の主張はまさしく自国の利益のみを考えたものであり、相変わらず進歩がないとがっかりさせられる。各国が取りまとめようとしている温暖化対策に米国が歩み寄らない背景には温暖化対策を経済活動への障害として認識している彼らの考え方がはっきりしてきた。即ち好きなだけガソリンなどのエネルギーを浪費してこそ、経済活動が活性化するという彼らの前近代的な考え方が今でもまったく変化していないことを明確に示しているのである。地球温暖化はすでに世界中の人々が現実問題として感じており、それぞれが将来に大きな不安を持っている。それに対して正面から立ち向かい、少しでも平和な世の中を長続きさせようとしているのが、欧州を始めとする各国の考え方である。それに対していまだにエネルギー浪費は経済発展のためにやむなしなどといって、形勢が悪くなれば、わがまま放題で議論の現場から自分の一存で逃避する大人気ない姿勢に何も躊躇しない米国にはあきれるとともに、この先どうなるかと考えると不安でならない。
ところで世界の経済規模を図る物差しはGDPである、ドル建てのGDPの総額で各国の経済力を測り比べるのである。言うまでもなく日本はこの物差しでアメリカに続く第2位である。また多くのアメリカ人や日本人はなるべくこの地位を守り続けようと何時も考えているが、同時に中国やインドに何時抜かれるかを戦々恐々として見守っている。ヨーロッパの国々はこのGDP競争の決定的な欠点に早くから気がつき、新たに欧州連合を組織して同時に国家単位でのGDP競争を取りやめた。その代わりに欧州連合を拡大することで正常な形での経済発展を目指している。例えば健全な国家財政の確立を目指して、国の借金を減らそうとした場合、欧州の国家GDPはそのままで借金を返済することをまず考える、当然のことである。一方米国・日本は新資本主義の立場から、借金の返済はせずに、GDPの総額を大きくすることで相対的に借金の比率を減らすことを考えてきた。これはひとつの方策だが、そこに欠けている視点は我々の住む地球は有限であるということである、結果として地球温暖化という新たなる、また最も解決が難しい問題が認識されてきた。誰の目にも地球の有限性あきらかである。とすれば地球が無限の資源を有しているといった前提ではもはや世界で60億以上の人口が共存することはできない。欧州の各国はEuro採用の条件として国家債務比率をGDPの3%以下として厳格にこれを守っている、時として自国の経済の成長を犠牲にしても対応している。それを維持するための具体的な処方箋は政治権限を欧州連合に譲ることで国家単位での費用の節約による借金の返済である。これはきわめて健全なやり方であり、結果として現在のユーロの信認につながっている。一方日本やアメリカは相変わらず大量に国民やパートナーの国家に対して借金をし、マネーサプライを増やしGDPを増やすことばかり考えている。しかし残念ながら、それに見合った新たな事業は育たず、あふれかえる円とドルのみが行き場を失ってさまよっている。これも地球が有限であることと同様、経済も有限であることを示している。これはまるで介護事業という社会的に認められた看板を利用し,本業で不正を働き利益を上げ、それを副業に投資して売り上げ増を目指し、金儲けに走ったコムスンと同じく、国家という人々が営む組織を利用してのGDPを増やし金儲けをしてきたことに他ならない。このようなやり方では近い将来経済的に破綻をきたすことになる。すでに無節操な円・ドル供給は落ち着く先を失い、遊離資金となっており、これがすぐにでも逆襲を起こしそれぞれの国の経済を襲うことを否定できない。供給過剰なる円・ドルは、まるでエネルギー浪費によって大量に放出された大量の二酸化炭素が行き場を失って、その結果温暖化という後果として、我々に逆襲をしはじめたことと同じなのである。今母なる地球は身を挺して我々に温暖化という、警鐘を与えてくれているのである。
今こそわれわれ日本が過去のように自然をもっと尊敬し素直になり、畏敬の念を持って生きるべき方向を考え直すべきではないだろうか?その結果まずは二酸化炭素削減、そして過剰な財政赤字の削減に取り組むべきである。国を挙げてGDP増大を目指した時代はすでに過去のものであり、これからは有限である資源を前提として仕組みを作ることが必要であることをしっかりと認識しておきたい。それに道筋をつけることが今回のG8でできるのであろうか注目したい。
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