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July 08, 2007

5億人のEUで官僚は僅か2万人 Vol.101

先のハイリゲンサミットに前後して、欧州憲法条約についての若干の修正がなされ、今後は憲法という名称を前面に出さないとの決定がなされた、オランダやフランスなど欧州の主要国で相次いだ欧州憲法条約の批准の否決がこのような変更をもたらしたのはあきらかである、しかしそれでも真の欧州統一に向って邁進しているのが今のEUである。ところで単一国家の日本から見ると欧州連合というのはどうもわかりにくい組織である。しかしながら今回のサミットにもバローゾ欧州委員長が参加したことでも分かるようにすでに欧州連合の存在は主要国の一国と同等として世界では認められているのである。現在日本円や米ドルの価値下落に対して、政治・経済が安定していると世界から認識され安定的に価値が上がっているユーロ、またその政治運営の実体はどのようなものであろうか?

ユーロと言えばまず思い浮かぶのが統一通貨である。これは2002年より市場に流通した。それまでの欧州は各国で異なった通貨を使用しており、出張した際など往生したものである、それが今では欧州内であれば基本的にユーロのみで対応できる体制になった。当初このユーロはその先行きを不安視する世界の投資家の関心を引くことができずに、対米ドルで大幅な下落から始まった。しかしながら、911以降の動きやイラクの問題などアメリカの失政のにより、徐々にその価値を高め、現在では対ドルで1.35また対円では168円まで上昇し且つ安定している。これは主要通貨を1ドル:1ユーロ:100円を基準とする現在のG8国際協調体制下に有っては、きわめて異例であり、如何にユーロが世界の信認を得ているのかを示している。ではなぜそのように信認されたのであろうか?これは一言で言うと、欧州連合はユーロの価値を実態値に近づけ、その向上させるために、米国や日本では採用されていない、自主規制を立法化してそれぞれの国家財政の健全化に務めてきたことが上げられる。即ちすべての欧州加盟国はユーロを使用するための条件として各国の財政赤字をそれぞれのGDPの3%以内に収めることを義務としているからである。もちろん一時的に3%を超えた昨年までのドイツの例も有るがこれは特殊例として認められその後ドイツ政府はたとえば失業給付期間の削減や社会福祉関係の補助金の削減を積極的に推し進め、財政削減の努力を続け本年度は晴れて3%の目標を達成して堂々とサミットを開催した。このことは如何にドイツにとって自国がEUの一員であることが重要であるかを示している。ところで以前調べたことがあるが、昨年の時点での日本の財政赤字は対GDP比で6%位であり、仮にEUの構成国がこの水準であれば即刻加盟資格を停止されユーロの使用はできない状況である。これをみても分かるように、国の借金を不正常な状況として捉え、その返済を努力して実行している国家からみると、その借金を放置して何もしない、極東の先進国の対応はいかにも不真面目であり、信用が置けないということになると思う。ところでどうしてEUの各国はこのような苛酷な財政赤字削減に成功したのであろうか?10年位前は国の借金について言えば、日本人の多くには欧州にもイタリアがあるさ、イタリアよりはましだからまあいいだろうといった考え方があった。しかし今のイタリアはEUの主要加盟国のひとつであり、財政も健全化している。では欧州はどのような政策を行って国家財政赤字の縮小に努めたのであろうか、また日本では日常に費用削減が唱えられているにもかかわらず一向にうまくいっていないのになぜだろうか?

ところで表題として掲げた2万人という数字は欧州委員会(欧州の行政府=ブリュセル)に籍を有する欧州連合公務員(ユーロクラート)の人数である。人口5億を擁する、一大共同体の国家公務員はなんと2万人だけなのである。我々は通貨ユーロの統合のみに眼が向きがちで有るが、EUに加盟するということは1993年に制定されたコペンハーゲン基準に基づき、自国の立法決定権を欧州委員会に譲渡することであり、それに対して各国は一名の欧州委員をブリュセルに派遣する権利を得ることができる。またあわせてそれぞれの国の有能な官僚を引き連れて欧州の政治に参加するのである。したがいそれを受け入れた時点で今までの各国の官僚の内ブリュセルに派遣されない者はリストラをされることになるのである。結果として各国の官僚組織は大きく縮小され、大幅なリストラが可能となったのである。それだけにブリュセルに派遣される委員と同行する官僚はその質を問われることになり、無能なものは一切残ることができないのである。インターネットの資料によると、日本での国家公務員は100万人弱、そのうち政策決定に携わる幹部であるキャリアは2万人以上といわれている、一部のこれに異を唱える資料では日本の公務員総数は欧米各国のそれよりはるかに少ないとしているが、行政コストして算出されるサービス部門の職員を含めた総数ではなく、政策決定に直接携わるキャリア(高級)幹部の数で比較してみると日本はいかに多いかが一目瞭然である。まずこのことに認識すべきである。日本では先の通常国会で成立した公務員の天下り防止法の実効性を云々するまでに、すでに大きく肥大化した公務員組織の縮小こそが重要課題ではないであろうか?

世界は、日本がなんら手を下さずに現在の経済環境や規模から見て巨大かつ旧態依然とした経済成長を目的とした日本株式会社的な官僚組織を維持し続け、財政赤字を垂れ流し続けることに対して、数字上は豊な国であるが、実体は大量の赤字を抱え借金を増大させながら生きながらえている不安定な国家として見ている。現在のG8グローバルエコノミーの環境下、どの通貨を利用して運用するかはユーザーの自由である。結果として将来下落の危険のある通貨は誰も手にしようとしない。日本では今の円安の原因は金利安によるキャリー取引として短期的な問題として捉えているが、その実は円、いや日本国そのものの政治経済に対する信認が低下していると理解すべきである。

まっとうに生き続けるためには、しっかりと周りのことを考え、自らまじめに働くことこそが重要であり、その意味では今ある借金はできるだけ早い時期に返却することこそが必要であると思う。年金問題、天下りや渡り、環境問題、社会福祉、対米軍事同盟など種々問題はあるが、まずは皆で智恵を絞って、国家の安定を揺るがす借金を解決する道筋をつけるべきではないだろうか?私は日本人皆が一致してこの借金を返済する体制になった時、これらの諸問題の解決の道筋は一気に見えてくるような気がしている。

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