北朝鮮製偽ドルの流通量が54億円! Vol.102
本日の産経新聞の記事によると米国議会調査庁の発表として、現在世界のマーケットに流通している北朝鮮製偽ドルの流通残高は4500万ドル(54億円)との発表であった。公式発表で54億円ということは、実際にはその10倍あってもおかしくないということである。ということは我々の知らず知らずの内にこの偽ドル札スーパーノートKを実際に使用していると理解するほう自然であり、あなたが今手元にもっている100ドル札は本物かどうかを即刻疑うべきである?しかしあまりに精巧にできているらしく、銀行の窓口でも見分けがつかないとの話もあるが… 。
ところで私が商社マンとしての駆け出しの頃、会社の経費負担で中国の要人を日本旅行に招待したことを思い出す。彼らは我々が取り扱う商品の買い付けをする政府の役人である。しかし本業にはほとんど興味を示さずに、最初に成田に着いた時よりしきりに秋葉原に行きたいとか、ウォークマンを買いたいとかせがまれ辟易した思い出がある。その上、驚くことに実際に免税ショップに連れて行くと多くの百ドル札を持っており、当時の最先端のテレビなどを惜しげもなく購入していた。その時お金はあるところにあるものだと感心するとともに、彼らはどこからこの百ドル札を手に入れているのかと不思議に思ったことを覚えている。私が商社に入ったのは85年であるが、その前年までの日中貿易は基本的に人民元建てであった、その後85年を境に米ドル建てに代わった。当時の中国にとって外貨決済用の米ドルは非常に貴重であり、ニューヨークにある中国人民銀行支店の米ドル管理口座を必ず通すことで国家の一元管理を受けていた。また時として外貨不足に陥ることも良くありその際はL/C一覧払いにもかかわらず平気で決済の遅延をさせていた。一方で我々は北朝鮮ともビジネスをしていた。当時北朝鮮にはまったく米ドルがなく、それでも日本から輸入しなくてはならない必需品はバーターで購入した。例えば私の扱っていた化学品の販売総額相当をロンドン貴金属市場の取引価格を元に同額の貴金属で決済するという方法であった。しかしその後いつの間にか、中国や北朝鮮の外貨事情は一転してよくなった、経済の開放政策を採用し、劇的な変化をした中国ならばよく分かるが、なぜ北朝鮮の外貨事情が良くなったのであろうか、この点は不明であった。そんな中、私自身が独立しブログを書くために情報収集をしていると、この偽札の問題が目に留まり、長年の疑問が解けたように思った。
からくりはこんなところであろう、中国は上記の通りすべての外貨決済通貨を85年より基軸通貨で有るドルに集中させた。これは対北朝鮮との間でも同様である。中国と北朝鮮の貿易は中国遼寧省丹東市と朝鮮の新義州市との間の鴨緑江にかかる橋を通して行われている。その際北朝鮮は対中国からの輸入決済にこのスーパーノートを使用したのではないだろうか?一方で中国では上記の通り、日本や他の先進国に招待旅行する人たちが急増し、彼らの商品購入需要を満たすだけの米ドル現金市場が必要になった。しかしながら当時の中国の国家の外貨備蓄は少なく、とてもそれらの個人顧客向けに提供する余裕はないので、中国側の輸出者は、喜んでこの北朝鮮が決済に使った精巧な偽米ドル札を受け取ったのではないだろうか?もちろん中国人はこれが偽札であることなどは一切分かっていなかったはずであると信ずるが...。それが事実であるとすれば、長年持っていた疑問即ち、一方でLC決済でありながら、支払い遅延を簡単起こすほどの、国家の人間がなぜあれほど多くの百ドル札を所持していたのかを説明することは難しくない。彼らのように外国旅行が決まった国家の幹部が希望すればすぐに米ドル現金を都合するシステムが当時の中国には出来上がっていたのであると理解している。これは中国のみならず当時同じ社会主義国として開放政策を掲げたベトナムからの訪日団も同様に多額のドル紙幣を所持していた。これも同じルートで供給された可能性が高い。実際に秋葉原で使用されたスーパーノートは母国アメリカを経由せずに日本の銀行の口座に入り、日本の企業が原料などを輸入する際の決済通貨として利用されていたのである。結果として北朝鮮はスーパーノートのおかげで労することなく商品を購入することができたのである。
私はここで北朝鮮が行った行為を認めるつもりは毛頭ない、しかしながらこの問題の本質は米国にあることを指摘しておきたい。即ち米国は自国通貨が基軸通貨として世界から認められていることを良いことに、自国の財政や貿易の赤字を無視して、無制限にドル紙幣や米ドル建て国債を増刷してその場をしのいできた。まるで打ち出の小槌をふるかのようである。それにより必要な商品の輸入する決済に当てた。大戦直後のブレトン・ウッズ体制化ではドルの価値の正当化を図るために米国はドルと金との兌換を認めていた。しかし貿易と財政赤字が累積するにつれ、金の流出が続き、ついに71年以降は金との兌換を停止した。通常であればそれを期にその後のドル紙幣発行残高を経済発展に合わせて一定の枠組みを設けて整合性をつけるべきであったが相変わらず、世界各国がドルを必要としていることを理由として増刷を続けてきたのである。結果としてこのからくりを見抜いた北朝鮮に一杯食わされた形となったのである。北朝鮮から見れば過去2000年に渡りの大国中国との関わりの歴史の中で何度も属国化し、その時代時代の王朝が継続する過程で経済が悪化するたびに貨幣の改鋳を行い自らの首を絞め、滅びるに至った歴史を良く知っており、一旦大国に隙ができれば偽札などを供給させて経済の混乱を増長させ自らが生き延びる道を作ってきたのであり、その意味では処世術として当然のことかもしれない。実際に中国の歴代王朝は経済の破綻からそのほとんどが300年を待たずに崩壊しているが、朝鮮は王朝や形を変えながらも今でも存続している。
ところで米ドルはFRB(連邦通貨理事会)が発行する債券(Bank Note)であり、米国通貨ではない。というのは連邦通貨理事会の出資者は米国政府ではなく、ユダヤ人であるロスチャイルド家が所有する私立銀行だからである。ロスチャイルド家は米国とともにドルを世界の基軸通貨に育て上げ、世界中に決済通貨として普及させた。また多くの国や企業に資金を提供し助けることもするが、一方で長い間提供したドルを突然自己都合でその供給を止めることで破綻させて自身は大儲けをしている。これは80年代の南米、97年の東南アジアなど例を見れば明らかで有る。今日本に上陸している投資ファンドもこの類の会社である。しかしながら北朝鮮は、金融を鎖国状態にし彼らの侵入を防ぎながら、この国際金融資本の常識を覆し、自らドルを作って何が悪いと開き直り、堂々と対応している。またこの動きに対して米国は効果的な対応策を取りあぐねているように見える。実際に仮に偽札であっても、上記の中朝貿易のように、決済が米国を通さずに行われる限りにおいては、米国はこれを止めることはできないのである。米国が犯罪として摘発できるのはこの偽ドル札が米国に入って実際に使用されて初めて犯罪行為となるからである。ある中国人が手元のドル紙幣をさして言って、このドルが偽でも構わない、それを市場が受け取りちゃんとした商品を販売してくれればそれで問題ないと、実際に精巧なスーパーノートKは専門家が見ても見分けがつかないので、米国以外のいつでもどこでも、巷に流通していると考えるほうが普通であると思う。
我々はこれを機にもう一度今のドルを基軸通貨としたグローバルな体制を疑ってみる必要があると思う。果たしてドルはこのまま基軸通貨として安定して通用しつづけることは可能なのか?ましてやドルにリンクすることで命脈を保ってきた円の将来はどうなのか?昨今の円安、ドル安を見ていると、その先行きに大いなる不安を覚えるのは私だけであろうか?今こそ冷静になって、円・ドルに将来を考えるべきと思う。
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