拝金主義という精神汚染から日本を守れ。Vol.118
安倍首相の突然の辞任から福田新首相の就任までこの20日間で日本の政治は混乱した。総理大臣の突然の責務放棄に唖然としたが、その後それとほとんど方向性の変わらぬ福田新政権の誕生に、自公政権での限界を感じた。当の福田首相も背水の陣内閣と自らを称し、今対面している危機は感じているのであろう。一方その混迷と平行して、新聞の社会面では家族の殺害など日本の家族の崩壊を報じる、いやなニュースが続出している、その中で極めつけは大相撲の時津風部屋のリンチ殺害事件である。時津風親方は私も子供の頃テレビで見たことがある双津竜であり、その顔にもなじみがあるだけにショックを受けた。手塩にかけた子息の将来を全幅の信頼を持って親方に託したご遺族の心情を思うと言葉にもならない。
本来相撲は、日本文化の継承という重要な任務を持っており、この点で他のスポーツとは異なり、国家から特別扱いを受け、有形無形の支援を受けてきたのではないか?今回の事件の背景には、その相撲を司る日本相撲協会内部の体制にこそ、この本分を忘れ出世第一主義即ち拝金主義にのみ走る悪しき動向があることを見て取れる。先の朝昇龍の問題も同様であるが、自らの本分を忘れ重要な任務を放棄して、金儲けのみに走る最近の日本全体の傾向が大相撲という日本を象徴する世界にも影響を与えていることに大きな危惧を感じている。先日ある全国紙のコラムに朝昇龍事件の背景として、外国人力士の増加により日本人本来の持つ伝統の継承が難しくなったので、これからは力士にしかるべきインテンシブ(特別報酬)を与えなくては機能しないと言った記事があったが、今回の問題の本質が大相撲の商業化により、この影響が図らずも、運営側に属する親方衆や協会そのものの執行部にでていることを大衆に示した点で、重大な問題であると認識している。
本稿では過去より米国が掲げる、新自由主義や民主主義のまやかしについて述べてきたが、いよいよ日本は戦後のアメリカ一辺倒による自主性を欠いた国策によりその精神までも不正常の状態になってしまったと感じている。見せ掛けの自由主義や民主主義の蔓延は狭い国土でなるべく格差を作らずに皆助け合うことで、2000年以上に渡って存続してきた日本の国体の存続に対して、大きな危機をもたらしている。実際に国は経済的には繁栄をしてきたが、その心はすさんだものとなり、結果として度重なる家族殺害や今回のような相撲部屋におけるリンチ事件までに発展してしまったのである。それも親方自らが弟子に手をくだすという常識では考えられない犯罪行為を招いてしまったのである。この事件を知ってまず思ったことは、これは特別な社会である相撲部屋だけの問題ではなく、学校や企業また政治の世界や官僚機構などすべての組織に蔓延している共通な問題であるということである。
安倍前首相が唱えた美しい国再生とはこのような問題を解決することであると、理解し期待をしていたが、結局またしてもアメリカのテロ特措法に関する干渉により頓挫してしまった。アメリカにとって必要なのは伝統を重んじる日本らしい日本ではなく、いつもアメリカの政策に賛同する隷属する日本であるからである。即ち日本は米国の傀儡政権であり続けることにより、米国からその存在意義を認められるということである。実際のこの考え方を戦後受け入れ続けてきたのが自民党である。当初は経済復興という共通の目的があったので、賢明な日本国民は対米追従を、これを利するものとして理解してこれまで受け入れてきたが、ここに来て日本が経済復興を達成し、いよいよ本当の自主独立を果たそうとした段階でその本質が分かり始め、対米関係が負担と感じられたとき、満を持して登場したのが安倍政権であった、しかしながら戦後60年以上に渡ってもたらされた米国追従政策は確実に日本国民の思考能力を低下させ、日本を支えてきた本質を見失わせ、国家の独立とはどのようなものであるか、どのような資質が必要なのであるかという根本的な問題から目をそらし、それらを達成しうる人材の確保及び教育を避けてきたのである。結果として問題の認識はあったが実力が不足していた、安倍前首相は自らも自分の無能を国民にさらけ出すことになってしまったのである。その結果またも無駄な努力やあがきはやめて今まで通り米国に追従して隷属する方が賢いといった奴隷根性が台頭し、それを支持する政権ができたのである。
私が危惧するのはこのような日本の動きは、日本国自体の独立はもとより、アジアの周辺国に対して、日本が負うべきアジアの国家の一員としての責任を放棄することで、それらの国の存続に脅威をあたえ、再び米国によるアジア地域への影響力行使を助け、米国によるアジア支配につながると考えることである。すでに今の日本はアジア国家全体から見れば、アジアの平和独立にまったく寄与せず、むしろ米国の脅威を持ち込む手助けを積極的にする身勝手な存在であると思われていることを認識すべきである。
江戸幕府の基礎が固まった17世紀後半、幕府はカトリック教布教を隠れ蓑にして、日本国の支配をたくらむ欧州旧教国の考えをたくみに見抜き、対策としてキリシタン弾圧、朝鮮、中国及びオランダを除く、鎖国政策を取った。結果としてこれが国体維持に効果を表して300年に渡る江戸幕府による国家統治がかなったのである。またその判断がカトリック教国によるアジア支配を遅らせ、当時の極東を安定化させたのである。その間に多くの日本独自の文化・文明が育まれこの蓄積こそがその後の帝国主義列強の干渉にも関わらず、脅威の中でも独立国としての日本の繁栄がかなったことに結びついていることを忘れてはならない。今当時のカトリック教を新自由主義に置き換えると現状は酷似している。米国は新自由主義を旗印にしているがその実態は米ドル基軸体制による世界制覇を達成し自国の繁栄を万全にすることのみを考えており、したがい今の日本の立場はあくまでも米国に隷属する奴隷国家にしか過ぎないのである。ここで触れたいのは、2000年以上に渡る日本の歴史の中でいつの時代に自らが他国の奴隷になることを望んだ政府が国政を担当したことがあったのだろうか? また国民が自らそれを望んだことがあったであろうかということである。少なくとも日本は常に独立国家としてその存在を自ら守り、またそれを持って世界においての自分の立場を維持してきたのではないだろうか?列強の侵略を前にして全知全能を傾けて自国の国体維持を目指してきた故に今の日本が存在するのである。
今富の分配の不公平、や格差の問題が明確化してきている、その中で金持ちになることのみが人生の到達点であるといった、誰でもおかしいと分かる論理が一部の特権階級に受け入れ始められている、また彼らは自らの立場を守るために平気で他者も見下し支配しようとしている。今回の相撲部屋における親方の弟子に対するリンチ事件の報に接し、このような考え方が、日本の象徴であるはずの大相撲の社会にも出世第一の拝金主義をはびこらせ、日本人が守ってきた他人に対する尊敬の念を忘れ、親方自らがその尊厳を簡単に打ち壊す行為をするにいたったことに危機感を感じている。
本件については、今すぐにこの背景をしっかりと認識し、何がそのようなことを起こさせてしまったのかを、しっかりと検証し、解決することを切望する。そして朝昇龍の問題を契機として、日本の大相撲は米国や欧州のスポーツと異なることを認識し、それがいかに重要なことであるかをしっかりと世界に示さなくてはならないと思う。
国の存続は、拝金主義だけでは成り立たないという当たり前ことを、この問題を教訓として考えるべきではないだろうか?
| Permalink
|
「日本」カテゴリの記事
- 外資襲来 M&Aの時代 加筆訂正版 Vol.183(2008.10.24)
- 財政問題は安全保障の問題である Vol.132(2007.12.20)
- 公務員改革法:実効性を疑問視する声も- 民主党に重大な責任 Vol.156(2008.06.22)
- サブプライム問題と原油・食糧高、原油本位制が始まる。 Vol.155(2008.06.20)
- AKIBAよ元気をだせ、ドイツに根ざしつつある秋葉原 Vol.154(2008.06.15)



Comments