小沢辞任に見るこの国の限界 Vol.122
民主党の小沢代表が昨日突然に辞任表明をした。公式表明を聞く限りでは、民主党内の意見の統一が出来なかったことが、原因であるようである。先の安倍首相の辞任に続く、辞任劇で日本の民主主義の限界と将来への不安を感じている。ところでこの二つの辞任劇を見てみるとともにテロ特措法への取り組みがその背景にあることが分かる。実際にはテロ特法と言われているが、その裏にあることは日米安保条約に対する政権の取り組み姿勢と憲法との整合性の問題に端を発しており、これが背景になっているように思う。
そもそも我国が米国に従属しなくてはならない背景には、敗戦の混乱の中、米国に自らの尊厳を含め、すべてを託くし、米製平和憲法を無条件で受け入れその後、憲法の意味と条文を理解しないままに安保条約を結び、軍事的に属国化したことがあった。その後経済的にも85年のプラザ合意ですでに金本位から離れた米ドルを基軸通貨として支えることを全面的に約束させられここまで至っている。即ち憲法、軍事、経済と言った国の根幹となる部分すべてにおいて、公に米国に忠誠をつくることを表明してきたのが歴代の自民党政権である。一方良好な対米関係に基づき経済的に力をつけてきた日本はそれ以外に世界で独立した位置を獲得すべきと努力を継続してきたが、これらは岸、中曽根、小泉などの歴代の首相の登場で結果的に対米従属の立場を確認・強化する形で骨抜きにされてきた。一方でその弊害に気がついた、一部の勢力は憲法改正や国連重視などの形でソフトな改革を進めて対米関係に一定の柔軟性を持たせようとしてきたが、この動きは先の安倍首相の辞任、今回の小沢党首の辞任の通り、挫折している。
今回小沢代表の動きは、テロ特法への対応を契機として、日本を米国従属に縛り付けている日米安保条約の影響力低減を狙った小沢代表が、国連決議重視政策を提唱し、これを福田首相が受けいれるという、自民党の政策の大きな方針転換に対して、これを高く評価して、自ら大連立を受け入れる方向へ動いたものである。しかしながら、今回の辞任劇は、この英断に対して、日米安保の呪縛の恐ろしさを真に理解していない、経験の浅い怖いもの知らずの民主党内の勢力の取りまとめに民主党執行部が失敗したことにより、結果としてかっこよく憲法改正を打ち出して、対米国との距離をとることに挑戦したが、見事に失敗した安倍首相と同じ轍を踏むことになったものである。これは残念ながら、個人プレイや小手先の対応だけでは、大きな仕事は出来ないということを示しているのであろう。今回の辞任により、残念ながら、これでまた対米隷属体制は追認され、継続することになる。
ところで将来の日本を考えると、このまま対米隷属の追認を受け入れることは絶対に避けなければならない、即ち米国はアフガン、イラクの軍事侵攻の失敗により確実にその力を衰退させており、今やその落ち目の米国を真の友邦としたって支持する国は数えるほどしかいない現実を正視すべきある。また米国自体は自らの国力低下を認めようとせずに、相変わらず傲慢に戦後体制を継続させており、結果として急激なドル安をまねき、経済的な弱体化が目立っている。しかしながら、日本は近隣に確実な経済成長を遂げている国家が多くあるアジアに位置しているにもかかわらずにこれらの国々とはしっかりとした政治・経済関係を構築することを放棄しており、確実にアジアの国家から見放されつつあるのである。ここで何も日本独自の方向性を示すことをせずに、このまま米国の衰退が継続すればそれに合わせて日本も沈んでいくのである。日本の今の姿を見ていると、いかにも善人であり、物分りは良いが、馬鹿正直であり、自らは何も出来ず、結局親分がだめになれば自らも破滅するサラリーマンのようである。それだけにこの国の将来が気になるのである。民主党の一部勢力が小沢代表の考えを受け入れることができなかったことは、これも何の疑問を持たずに米国一辺倒でよいと思っている自民党の一部の勢力と同じく、お人よしの能天気からきているものではないだろうか?過去の日本が世界において重要な政策を提示した時にその都度、米国に妨害され、煮え湯を飲まされた経緯を知っていれば、この絶好のチャンスに自民党の良識派とともに米国に対して一定の距離をおくことが出来たかもしれないからである。
今日本にとって重要なことは国家百年の計に発ち、自らがアジアの国家であることに自覚を持ち、一刻も早く対米の関係を正常化させることであり、これをしなければ日本の将来の安定、発展はありえないことを自覚すべきである。その意味で今回の失策は民主党にとって最大のチャンスを自らつぶしたのである。またこの失策を良しとしてほくそえんでいる、自民党の親米追認派に対しても、有利に働いたのではないだろうか?逆に民主党にとっては、対米関係の正常化なくしては今やろうとしているすべての政策はうまくいかないという重要なことを全党として認識するチャンスを逃したことになる。結局、多年の政治家としての経験でこのことがよく分かっていた小沢代表の英断を余裕を持って受け入れられなかったことは、大いに残念であり、これによりこの国の真の独立の実現はまた遠くなってしまったのである。
防衛省の問題には、米国の背後での動きがちらついていることが明らかになりつつある。またこれを利用して自らの懐を富ませ且つ省益と称して国民の税金を大量に浪費した官僚の責任をしっかりと糾弾すべき立場の民主党が、上記のように自らの稚拙さを表面に晒し、絶好のチャンスをつぶした事態は誠に残念である。また薬害肝炎の問題にも米国の影がちらついている。日本の国民生活における諸問題の多くが、政府の対米一辺倒とそれを是として運用・発展させてきた官僚システムから出ていること、またその根源は政府の昭和憲法、日米安保、プラザ合意の盲目的な受け入れに有ることを再度認識すべきである。日本は民主国家としてそれぞれ間違いをひとつひとつ、丁寧に解決しなければ将来の安定は得られないことを肝に銘じて、しっかりと実行に移すべきではないだろうか?
民主党の主張する、国民の生活第一路線の実現は米国の影響力に対して適切な歯止めをかけるシステムを構築してこそ可能であること良くわきまえてほしい、また親米派の自民党勢力には米国の世界における国力の低下を冷静に理解してほしい、さもないといつまでたっても自立した政府を打ちたたることはできず、これは結局日本が永遠に米国占領下の戦後状況レジームから抜け出せず、米国とともに衰退していくことになる。日本国民は、それを受け入れるべきではないと思う。
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