サブプライムローン問題は本当に最新の金融工学技術の崩壊が原因か? Vol.130
本日の日経ビジネス(NB)ネット版に分かりやすい記事が出ていたので引用します。これはサブプライムローンの問題点の本質はマスコミの論調のように最新の金融工学技術の破綻ではなく、そもそもお金を扱う投資家がその精神的な支柱であるお金の取り扱いに対するまじめさ、即ち与信行為に対する真剣さを欠いたモラルハザードの結果であると明言しております。まったくその通りではないでしょうか?またこれが米国で起きたことはドル基軸体制を根本から揺るがしかねない危機的な事実です。これは同じく貸し手のモラルハザードが原因で発生した、日本の土地、株バブルを経験した我々だから言えることです。
世界が「バブルへGO!」だったってことさ!~『サブプライム問題とは何か』
春山昇華著(評:石山新平) 宝島新書、700円(税別)
いま世界の金融市場を揺るがせているサブプライムローン問題は、最先端の金融技術によって膨れ上がった21世紀型の危機のように思われがちだ。
だが実は、問題の根源が「カネの貸し手が自ら与信リスクを負わなくなった」という、極めて基本的な金融界の「モラルハザード(倫理の欠如)」にあることを、好著『サブプライム問題とは何か』は教えてくれる。
そこで止まっては本質は分からない
『サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 』春山昇華著、宝島新書、700円(税別)
多くのメディアでは、サブプライムローンを「信用力の低い個人向け住宅融資」と通り一遍に説明するだけで済ませている。あとは金融機関の間で転売されていった証券化商品の話に移るというのがお決まりだ。
ところが、この本では、そもそもサブプライムとはどんなローンなのか、その融資を受ける「信用力の低い個人」とはどんな人たちか、彼らにローンを組ませるためにどんな金融業者が暗躍したかを、分かりやすく紹介している。
そして様々な実例の積み上げで、どうやら米国金融界の根本が「腐っている」らしいことが分かってくると、現在金融界を覆っているサブプライム危機 といわれるものが、そう簡単には終焉しないのだというという結論を読者自らが確信するようになる。サブタイトルの「アメリカ帝国の終焉」は、決して大仰で はない、ということが分かってくる。
サブプライムローンとはどんなものか。簡単にまとめると以下のようになる。
所得が低かったり、過去に住宅ローンの返済が滞ったことがあるといった理由で、一般の住宅ローン(プライムローン)を借りることができない人向け の融資。一般のローンより金利が高いが、初2年間だけは返済額が小さく抑えられるなどの特徴があり、低所得者に広がっていった。住宅価格つまり担保価値が 上昇し続けることが前提になっている。
恐怖のNINJAローン
この本の冒頭では、サブプライムの典型として、住宅価格上昇の絶頂期だった2005年ごろに登場した「NINJA(ニンジャ)ローン」と呼ばれる すさまじい例が持ち出される。NINJAとはノー・インカム、ノー・ジョブ・アンド・アセットの略で、所得がなく、仕事も資産もなくても借りられるという ものだったそうだ。
しかも、住宅価格が上昇すれば、担保余力が生まれるため、自動車ローンや消費ローンなども組みやすくなる。まったく所得がないに等しい人たちが、家を持ち、自動車や家電製品を買いまくっていた。そんな米国の実態があったとは驚くばかりだ。
現在40代半ば以上の人なら知っての通り、20年近く前の日本でも同じような事が起きていた。土地を担保にすれば、毎月の返済が金利分だけでも OK、あるいは金利分も追加で融資します、という不動産担保融資があった。大手の銀行から中小の信用金庫までが、不動産の値上がりを背景にした猛烈な貸し 出し競争を繰り広げたのだ。
挙句の果てに、バブルの崩壊、つまり不動産価格の暴落で、大半の銀行が回収見込みの立たない不良債権の山を築いたわけである。そしてそのツケを払い、金融危機を乗り切るのに、「失われた10年」といわれる時間と、膨大な国民の税金を費やした。これは、以前の書評(『1997年――世界を変えた金融危機』)でも述べたが、いまのサブプライム問題の状況と酷似している。
今回は、さらに証券化というここ10年余りで急速に進歩した金融技術が、無節操な貸し出しに拍車をかけた、という問題がある。以下、少し長くなるが、重要なポイントなので引用してみよう。
〈「証券化」が始まる前は、住宅ローンを貸す側は、金利収入と多額の手数料がとれる一方、ローンが貸し倒れになり、損をする危険も背負ってい た。儲けるためにリスクが付きまとうのは商売の常だ。しかし「証券化」という手法によって、貸す側はオイシイ部分だけを受け取り、ローン自体は他の人に売 却し、将来発生する貸し倒れリスクから逃れることが可能になった。同時に貸す側のビジネスモラルも喪失していった。このビジネスモラルの喪失が、問題なの である〉
サブプライムローンを証券化した商品は、評者の友人のバンカーによれば、「米国債並みに右から左へと取引されていた」という。売るための証券化商 品を作るためには、基本となる住宅ローンが必要である。ローンがあって証券化するのではなく、証券化商品が必要でローンを組ませる。そんな逆転現象が、ど んな相手であろうともローンを組ませる、という無節操な融資に結びついたのだろう。
誰も買わない「証券化された商品」の価値はいくらになる?
膨大な証券化商品の需要の背景には、金融市場のグローバル化がある。証券化商品の多くが米国債並みに高い格付けを取得していたこともあり、世界中 の金融機関や投資家が、この比較的利回りの良い証券化商品への投資に群がった。そしてこれが、サブプライム問題という米国の住宅問題を、世界の金融不安へ と拡大させることになった。
12月10日に1兆円を超える追加損失をスイスの銀行最大手であるUBSが発表した。11月に来日していた幹部が語っていた言葉が印象深い。
「サブプライム損失はもはや一銀行の問題ではない。金融産業全体を揺るがす問題だ。なぜなら証券化商品には簡単には価格が付かないからだ。誰もが買わない場合、価格はゼロにまで下がり、損失に備えた引き当て金額はどんどん膨らむことになる」
いま、最悪のシナリオとして、サブプライム関連の損失は3000億ドル(33兆円)という試算が出ている。だが、日本一国の土地バブルの崩壊で築いた日本の不良債権の総額は100兆円を超えた。まだまだ楽観的すぎるように思えてならない。
(文/石山新平、企画・編集/須藤輝&連結社) 〔一部割愛〕
ところでこのサププライム問題の増長を影で支援している国が身近にある、それは日本である。日本は世界にまれに見る低金利の円資金を米国の圧力のもとでどんどん世界に供給している。米国はアフガン、イラクの問題ですでに多額のドルを市場に供給しており、さすがにこれはやりすぎと今までドルの世界投資マーケットへの供給は控えはじめてきた、しかし一挙に控えると今まで米国がグローバル金融による世界制覇の先兵として育ててきたヘッジファンドの活動が収縮してしまうので、その資金供給の役割を1400兆もの個人資産があるという、日本に分担させたのである。(1400兆の個人資産があれば名目的には1400兆の借金を持っても、資産負債残高はバランスが取れる。)この高圧的指示を聞いて当初日本政府や日銀はあの80年代後半からの土地バブル、株バブルを連想し、当然二の足を踏んだものと思う。即ち島国日本で起きたあのバブルが世界規模で発生するリスクが予想できたからである。しかし、悲しいかな米国従属の日本はこれを断ることは出来なかったのである。そこで国内は不況からの回復途上にあるので、豊富な資金をマーケットに提供することは良いこととのお題目をつけ、ゼロ金利を実行して世界中に日本円をばら撒いたのである。但し必要な円資金を増刷するためには、名目がいるこれが国債の際限のない発行であったのである。結局日本国民が背負っている巨額の日々増え続けている国債という借金は米ドルの世界制覇体制の延命のために使われているのである。
今その付けが顕在化されつつある、それは資源高であり、サププライムローン問題なのである。欧州はこれらのドルと円というあぶく銭が域内に侵入することを欧州共通通貨ユーロを立ち上げることで未然に防ぎ、ユーロのあぶく銭化を避けた。結果としてG7内部での統制は失われ、国際的なあぶく銭となったドル・円とユーロの価値には大きな差が開いてしまった。また原油で潤っている湾岸諸国はドル建て資産の価値低下を目の当たりにして、資産の分散化、及びドルペック体制の見直しに本気で取り組んでいる。ドル・円の価値低下は原油に換算すると良く分かる、当初50ドルであった原油が今は90ドルそれだけで4割という大幅な価値の低下である。これはそれだけ日本人の資産価値が下がったことを意味している。これに対してユーロ建ての原油の価格は変化していない。
ここで問題としたいのは今回のドル・円バブルはまっとうな人であれば簡単に予測できた事態である。しかしそれをせずに本来ぐっとこらえるところを逆の方向に走ってしまった人災なのである。このことが示すことは、もはや米日の政府の政治家や役人の頭の中は常人のそれではないのかもしれない。いつの日か大量にばら撒かれた円が投資された物体のバブルがはじけた時、それは日本の崩壊の時かもしれない。我々日本人はもう間に合わないかもしれないが、いざというときの破滅を避けるためにもそろそろ正しい方向を向かなければならない。
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