もはや米国の新資本主義体制は限界だ! Vol.133
本日の官房長官の定例会見で、官房長官は最近の株安と実態経済には相関関係はないと言い切っているが、果たしてそうであろうか?1ヶ月以上も前の記事で恐縮だが、アブダビ投資庁がサブプライムローン破綻で窮地に陥っている、米国シティーバンクに8100億円を投資し、同社の経営安定化に寄与したとの記事が出ていた。また最近では連日、別のオイルマネーの投資の記事が新聞紙上をにぎわしている。これは一見すると景気の良いことのように思うが実は、極めて実体経済が不健全であるかを証明しているのである。実際に、当事者のアブダビ側も困惑しているはずである。まずはアブダビ投資庁の記事を引用したい。
アブダビ投資庁、米シティグループに8100億円の出資
• 2007年11月28日 11:04 発信地:ニューヨーク/米国
【11月28日 AFP】米金融大手シティグループ(Citigroup)は26日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁(Abu Dhabi Investment Authority、ADIA)から75億ドル(約8100億円)の融資を受けると発表した。これによってADIAは、同グループの4.9%の株式を保有する最大の出資機関となり、経営不振に悩む同グループにとって大きな後ろ盾となると見られる。
ADIAは、UAEで最大の首長国、アブダビ首長国によって運営されている。UAEの他の投資ファンドも、米テクノロジー関連企業やプライベート・エクイティ・ファンド、小売企業、ラスベガス(Las Vegas)のカジノなど、積極的に投資活動を行っている。
この背景には、1バレル100ドルを目前にしている原油価格の高騰が産油国UAEに大きな利益をもたらしていることが挙げられる。また、ドル安が続いていることで、海外の投資家にとって米資産の割安感が出ていることも要因の1つだ。
ADIAはこの出資に際し、シティグループの経営に関しては一切の権利を持たないことに合意している。
シティグループに関しては、サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール(Alwaleed Bin Talal)王子も株式4%を保有していると報じられている。
シティグループは、長引く米住宅市場の不況や差し押さえ物件の急増、信用収縮などによって経営不振に陥っている。(c)AFP
以上一部割愛
ところでこの記事の意味するところは、1バレル100ドルに達した原油高により、多額のドルがオイルマネーとして産油国に流入し、産油国はこのドルをいかに効率的に使用するべきかを真剣に検討し、投資活動を開始していることを示している。実際にその規模はどのくらいになるのであろうか?産油国といわれる国はいろいろあるが、その中で最大規模でありかつ、埋蔵量に比べて供給数量に余裕があるサウジアラビアを例に取れば良く分かる。外務省発表の資料によれば同国の原油の供給量は一日約1000万バレルである、これは一年にすると360日換算で36億バレルに相当する。現在の原油価格を単純に100ドルとすると、サウジ原油の売上高は3600億ドルとなる。これは円換算で約40兆円となる。仮に供給のコストが一部にいわれているようにバレル当り、3ドル程度とすれば、その殆どは貿易黒字となり、結果として40兆円近い貿易黒字を原油だけで確保していることになる。最近の日本の貿易黒字は例年15兆円程度であるので、これの2.5倍近くになり、人口で日本の5分の一以下のサウジがこのようなオイルマネーを手にしているということは、いかに巨額な金額であるかが分かる。それに加えて現在原油価格は日に日に上昇している、ということはこの黒字額は毎日増え続けることになり、これはうれしい悲鳴というよりも、ドルの下落のリスクなどを考えるとこの黒字の有効利用は国家的な課題となっていることが良く分かる。
米国の新資本主義の考え方は、言葉を変えれば資本至上主義(拝金主義)、成長主義と言える。これはマーケットに大量に資金(通貨)を供給することで、必ずや誰かがそれをうまく利用して、経済が拡大しそれにあわせて利潤が生み出されるという考え方である。日本人も敗戦後、この米国のこの考え方にしたがって、経済を拡大させて豊かな生活を獲得してきた。これは戦争に負けた最貧国が世界の経済大国として復興するにあたり、非常に優れた考え方であった。一方同じように先の大戦で荒廃した欧州も米国のドル基軸体制で潤沢なドル資金を獲得することで復興を遂げた。その意味では米国の貢献は大きかった。しかしその後冷戦が終了し、世界が平和になると人々はこのように拝金主義だけで果たして人間は幸せなのかということを真剣に考えるようになった。また気候温暖化など地球温暖化による異常気象は誰の目にも、成長主義だけでは限界があることを示している。
ところで資本至上主義にはもう一方の側面として、お金さえ儲かれば何をしても良いという自由放任主義の考え方がある。しかしこの考え方がおかしいことは子供でも分かることである。即ちお金は人間が作った経済活動を潤滑に進めるための道具に過ぎず、これを目的にすることは人間的な行為ではないからである。ということは仮に資本主義国家であってもお金の取り扱いには十分な節度を保ち、常にその利用には管理・制限を加えることが絶対条件であるといえる。しかしながら今米国がやっていることはこれとは正反対な行為である。マーケットに資金が過剰に供給されていることにより、既存の投資先に限界があることに気づくや否や、自らの過剰供給に問題があると素直に反省して、それを減らす努力はせずに、新たな対象犠牲者を見つけ出し、適当な理由をつけて自らの行為を正当化する。その結果80年代後半には日本経済に対して土地・株バブルと言う災禍をもたらし、その後日本から逃げた余剰資金が東南アジアの株式を襲い、そしてそれがサブプライムとして米国内に還流して、経済的弱者を都合よく騙して、奈落のそこに突き落とす、そして今まさにその余剰ドルが凶器となって、産油国の原油に向かっているのである。
我々日本人は土地・株バブルで不必要な外部資金の流入がもたらすことの悲惨な結末を身をもって経験している、見かけの財産は一時的に増えるが結局はバブルが破綻し、同時にすべての関係者に損失をもたらして、国家はバブル前以上に疲弊するのである。また結果としてそのような不必要な再開発は貴重な自然を壊し、二酸化炭素を排出しかけがえのない貴重な地球を破壊するだけのことである。今こそ我々はその弊害を再認識し、早急に適切な制限を加えるべきではなかろうか?ところで現在のように余剰資金が原油に向いている間の日本は比較的安閑としてられるが、これが崩壊をきたすと今度は再び日本に向かって余剰資金が襲い掛かってくる恐れがある。少なくとも日本政府はこれに対して何も防備をしていないからである。実際に今の東京駅周辺の再開発などを見ていると、確実に第2次バブルを起こすための準備が進んでいるようである。人はなぜ以前と同じ失敗を性懲りもなく繰り返すのであろうか。いざその時になった際、どのようにして我々はこれに対処し、バブル崩壊を未然に防ぐかが重要である。これに付いては本日の官房長官の会見記事を見ていれば誠に不安である、今の自公政権では次の余剰資金の攻撃に対して、何もできないと思う。
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