クレジットカードの功罪 Vol.142
最近になって、クレジットカードに関わる犯罪などのニュースが多いように思う。ところでクレジットカードは今では我々の日常生活においてなくてはならない存在になっている。しかしながら、クレジットカードの持っている便利な機能とは裏腹に思いがけない事故が多発していることも事実である。またインターネットの普及によりカードを利用することで簡単に買い物が可能となり、それにより種々問題も発生している、そこで本号ではその功罪に付いて考えてみたい。私自身がクレジットカードを最初に使用したのはいつのことであっただろうか、思い起こせば、サラリーマンとして最初に会社に入社した際、系列銀行のクレジットカードをたのみもしないのに配布されたことを思い起こす。その際は手元に現金がなくともいつでもカードで買い物が出来る便利な機能として理解していたし、それよりも使用金額に応じて約1%のリベートがポイントしてつくことで、割引という特典が受けられる機能に感心したものであった。その後20年以上クレジットカードにお世話になってきたが、その中で徐々にだがその仕組みが理解できるようになってきた。
ところでクレジットとはどういうことであろうか、クレジットとは使用場面により、未収金とか与信とか言う意味になるが実際には、これはいずれもクレジット会社から見た場合の言い方にて、使用者本人から見た言い方ではない点に注意してほしい。即ち未収金という意味では、クレジット会社が消費者に融資を行い、消費者はそのお金を借金して、商品を購入するということである。また同様に与信というのは、クレジット会社が消費者に資金を供給するという信用行為を与えるという意味である点を理解しておく必要がある。ということはクレジットカードを利用して消費をすると言うことは、本人が他人から借金を好まない、望まない場合でもそれを意識せずに借金をしてしまうということである。ということはこの仕組みに内包されている事実は、誰かが本来望まない人に対しても借金をさせる機能と理解することが出来る。ではどうしてそこまでしてクレジット会社あるいは、その裏にいる金融機関は借金をさせたがるのであろうか?
世界各国を回っていると日本では隠蔽されていることなどが、堂々と常識として語られており、突然今まで分からなかったことが分かることが良くある、殊にクレジットカードの仕組みに付いては海外では比較的オープンであり、その仕組みが容易に理解できる。それはクレジットカード会社が同カードの取り扱い加盟店に要求する取り扱い手数料の存在である。ここ欧州では一般に消費金額の5%相当を取り扱い加盟店はクレジット会社に支払うといわれている。ということは仮に100ユーロの商品を消費者がクレジットカードで購入した場合、取扱店が取得するネットの代金は95ユーロとなり、5ユーロはクレジットカード会社の手数料として彼等の収入となるのである。ところでドイツをはじめ欧州では、この点をしっかりと認識した上で、クレジットカード払いに必要な5%の手数料を消費者に求める取扱店も多い、即ち定価100ユーロとはあくまでも現金払いの定価であって、クレジットカード払いの場合は105ユーロとして販売するのである。これは非常に分かりやすい仕組みであり、消費者にとっても通貨を両替する際に発生する多額の手数料を支払う必要がなく、結果的に取扱店及び消費者の双方に利便があるやり方として、大いにお勧めできる手法である。
最近日本では銀行が堂々とクレジットカード会社を運営している、たとえば三井住友銀行はVisa、また三菱UFJはJCB、DCやUFJカードなどである。それでは銀行とクレジットカード会社の関係はどうなっているのであろうか?仮に世界的にクレジットカードの取り扱い手数料は利用総額の5%が標準とすれば、その手数料総額がクレジットカード会社の収入となる。そこから特典として顧客に還元する1%相当や、顧客への利用額を連絡する費用や、会社の運営コストを差し引いた分がカード会社を運営するコストとなる。またあわせてクレジット会社は取扱店に対して、まとめて代金の先支払いをするので、実際に顧客の口座からクレジット会社に代金が支払われる期日とこの先払いの期日の間の資金を確保が必要になる、ここでこの間の資金を融資するのが銀行なのである。即ち銀行にとっては、仮に現金払いで消費行為が行われれば、得られることが出来なかった、融資ビジネスの機会がこのクレジットカードを代金決済に使う、消費行動により新たに獲得できることになるのである。また借金を毛嫌いして絶対にしないというお堅い日本人にもクレジットカードの仕組みは表面的には借金にならないので、容易に受け入れられるという利点もあるのである。一方で最近ではポイントカードや電子マネーなどが新たな消費決済の手段として対応している、一定のホテルや遊戯施設などを利用した消費総額の10%程度をリベートして還元するものや、JRのスイカやソニーファイナスのEdyなど、前払い方式で財布代わりとして小銭を持つ必要の無い機能をうたい文句にしているものもある。しかしながらそれらは、その発展の形態のひとつとしてマイレージポイントと融合したりして、結果的に航空会社が消費者からクレジットを受ける形になっている。
ところでこれらの便利な手段に発展により最も潤うのは誰であろうか?これにははっきりとした受益者が存在するそれは国と銀行である。国は消費という単純な行為を繰り返すことで新たな経済活動を創出することが可能であり、これはひとつの消費行為が何回も繰り返されることにより最終的に国家のGDPを数倍に押し上げることが可能となるのである。因みに日本の2007年度の実質GDPは566兆円と発表されているが、一方でカード会社の取扱高は大手三社だけで軽く10兆円を超えている。それだけカードやポイントカードなどが発達している国のGDPは水増しになっている点を理解しなくてはならない。また銀行はどうして潤うのであろうか?まず銀行にとってはクレジットカード会社という融資先が手に入るのである、年率0.1%の定期預金で集めた資金を月利0.1%でクレジット会社に融資することが出来れば12倍の利益率である。これが銀行系カード会社が増える理由のひとつである。
もうひとつ、本稿では以前より指摘しているが、今の銀行には1円の預金があれば9円の信用を供与できるという取り決めがある、即ちクレジットカードサービスを介する事で、本来銀行は関与できない、現金取引を銀行の事業に組み込むことが可能となるのである。それにより預金量が増大化しかつ、融資活動の総額が増えることが可能なのである。しかしながらこれらの行為が恒常的に行われることで、100ユーロの商品を現金で購入する人とカードで購入する人の価格に違いが出てしまう。本来商品の価格は現金払いを想定して立ててあるにも関わらず、仮に双方が同額であれば、カードを利用したほうが特典の分だけ安くなり、現金払いの顧客には不利益が生じてしまうのである。結果としてこの差額は割高となり、カードを利用しない多くの善良な顧客が損をしてしまうのである。 この問題を無視して、野放しにしているのが今のクレジットカードの制度なのである。
金融ビックバンにより、小泉政権は外資に日本の市場を開放した、その結果外資はあらゆる手段で日本国民を富にむさぼりつこうとして、自らの牙をとぎ獲物を狙っている。我々はこのような事実を知る際に、目先の便利さのみを考えるのではなく、それにより発生する副作用にも目を向ける必要があるのではないだろうか?確かに日本はGDPの数値は高く、表面上は豊かである、しかしその豊かさに見合った生活をしているかといえばこれは否である。なぜこのようことが起こるのであろうか?それは実体経済とはかけ離れた、水増し経済が増大し、それを外資及び外資を手にした国内の大企業が自分に有利なように有り余るドルの投資先として利用しているからなのでは、ないだろうか?その結果、国土の環境破壊は進み、賃金は上がらず、働けど豊かにならないという致命的な問題を抱えるようになってしまったのではないだろうか?実際クレジットカード問題に限らず、存在する金融においての諸問題は、善良な一般国民の生活を犠牲にして、効率的に利益を搾取する仕組みを政府が許した結果ではないだろうか?この点をよく考えて、国民利益の維持という観点にたっての公平な運用を望みたい。
今クレジットカード先進国である米国はサブプライム問題によりその消費型経済は急速に収縮している。また他方では原油価格の高騰は米国の象徴ともいえる車社会に大きな不安を与える。こうなると米国民は消費意欲を失い、車での外出を控え、ガソリンの消費が減少し、クレジットカード利用による消費行動は激減する、結果として銀行は新たな信用供与ができなくなり、取り扱い金額が低減し必要な融資が提供されないという悪循環を招くことになる。その結果ドルの信認は失われ、今ドルを手元に持っている世界の人々はいっせいにドルを他の通貨に変えようとする。今まさしく水増し経済の問題点が我々の現実社会に現れているのである。
本来便利なクレジットカードであるが、一歩その使い方を誤ると恐ろしい剣と化してしまうのである。我々消費者自身もこの点を良くわきまえて、うまく付き合っていくべきである。
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