なぜ瀕死状態の同盟国を助けられないのか? Vol.143
本日の日経WEBに下記の記事が出ていた。サブプライム問題の長期化に苦しむ米国が政府系ファンド(SWF)を持っているシンガポールとアブダビとの間で、その投資受け入れ方針を定めたとの記事である。これは明らかに米国が資金力のある外国に助けを求めていると読める。しかしながら自他共に認める同盟国である日本が全くアクションをとらないのはどういうことであろうか?まず記事を引用する。
米、政府系ファンドの投資指針で相互協定
【ワシントン=米山雄介】米財務省は20日、政府系ファンドの投資指針について、シンガポール、アブダビ両政府と相互協定を結んだと発表した。 ファンドが米国に投資する際、政治的な意図を排除してあくまでビジネス目的であることを徹底する一方、米国は保護主義的な投資障壁を設けず、規制は安全保 障上の問題がある場合に限る。金融不安の高まりを受け、当初予定から前倒しして投資指針を作り、米国の金融安定化に不可欠な政府系ファンドの資金を呼び込 む環境を整える。
米国が政府系ファンドの投資指針でファンド設立国と相互協定を結んだのは初めて。協定は、政府系ファンドと米国が投資促進に向けて取り 組む九つの原則を明記した。ファンド側は投資内容などの情報開示を拡大するほか、リスク管理を強化する。民間との公平な競争や投資国の規則を順守すること なども盛り込んだ。 (16:00)
以上だが、この記事が意味していることには、いかに今回のサブプライム問題が米国にとって大きなインパクトを示しているかを物語っている。実際に米国のサブプライムローンにより貸し出された巨額の融資は住宅バブルの破綻により露と消え、先日の発表でも日本円換算で87兆円もの損失となっているとのことである。結局それは本来の住宅が持っている価値を意図的に過大評価し、その結果その過大評価された資産を担保にして無制限に融資を実行した銀行や住宅ローン会社、またそれらの金融機関に積極的に資金を貸し付けた投資銀行が引き起こした住宅バブルの問題なのである。
ところでサブプライムの問題が発生したことに対して、それまで米国金融街の投資会社を信頼し投資をしていた、世界の投資家はすぐさま不安を表明し、自らが投資していた資金の回収をすすめた、しかしながら受け入れた投資資金の何倍もの運用をしている投資会社はすぐにはその返却に応じられない、その結果自らが今まで獲得した収益を取り崩す必要がでてきた。それは具体的には世界各国に投資してきた株式の切り売りという形となったのである。その結果日本も含め世界の株式市場はいっせいに下落したのである。しかしながらそれにより資産が目減りした投資銀行各社は、資金不足により今までのような事業を継続することが不可能となり結果として倒産に追い込まれたり、まだ力のあるところに吸収合併をされることになったのである。その救済の方法のひとつに今回の政府系ファンドの投資があるのである。
ところで、なぜ我が国日本はこのような形で、苦境に瀕している同盟国米国を助けようとしないのであろうか、理解に苦しむ点である。日本は誰もが認める貿易黒字国であり、昨年度の貿易黒字も1兆ドルを超えているというのにである。米国の投資銀行が失敗したのであればその教訓に学び、自ら余剰資金を活用して政府ファンドを立ち上げ資金不足の米国の投資銀行を助ければよいのではないだろうか?しかしながらそれは出来ないのである。即ち870兆円もの国債及び借金を国民に負わせ、作り上げた円の多くは実際には、自国内には存在しておらず、米英の金融街を中心とした、投資銀行にその運用資金として渡っているからである、また日本が貿易黒字として稼いだ、多額のドルも結局は手元に残らずに米国の金融街に米国債という形で還流しているからである。その結果日本が政府ファンドを作ろうにも資金が手元に無いということになるのである。それならば米国債を売却してそのドルを元手に政府ファンドを作ればよいものだが、米国政府はそれを嫌って許さないのである。実際に日本が米国債を売却してしまったら、売却した米国債の顧客をほかに探すのは非常に困難なのではないだろうか?先行きに期待が持てない国の債券を好き好んで購入する人は少ないはずである。
日本は今まで安全保障をはじめとして、最大の輸出先(即ち顧客)として米国と付き合ってきた。また米国は日本を始め、アジアの各国からドルと引き換えに商品を購入し続けることでその存在価値を高めてきた。しかし今その米国が発行するドルの信認が揺らぐ中、米国は今まで同様に商品を購入し続けることは難しくなっている。その動きの中で、日本は相いも変わらず日米同盟を重視してすべての安全保障を米国に一任し、その代わりに米国の要求通りに国債を購入し続けなければならないのであろうか?これでは米国が没落すれば日本も間違いなく一緒に終末を迎える。
今日本は世界の動きを冷静に捉え、米国との関係を見直すべきではないだろうか?まずは円の金利を他の国際通貨並みに調整して、世界の投資銀行の手元にあるキャリートレード用の円を再度自国に戻すべきではないだろうか?そして合わせて米国においてある、日本名義の米国債を徐々に売却し、そして手にしたドル資金をファンドに切り替えてもっと確実な商品や事業に投資するべきではないだろうか?日本が所有している外貨は日本国民が汗水たらして獲得した貴重な富だからである。さもないと米国の没落に合わせてドル国債も目減りして、国民の富が失われることになる。今こそ良く考えるべきではないだろうか?
| Permalink
|
「日本」カテゴリの記事
- 外資襲来 M&Aの時代 加筆訂正版 Vol.183(2008.10.24)
- 財政問題は安全保障の問題である Vol.132(2007.12.20)
- 公務員改革法:実効性を疑問視する声も- 民主党に重大な責任 Vol.156(2008.06.22)
- サブプライム問題と原油・食糧高、原油本位制が始まる。 Vol.155(2008.06.20)
- AKIBAよ元気をだせ、ドイツに根ざしつつある秋葉原 Vol.154(2008.06.15)



Comments