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May 11, 2008

サウジは勇気をもって、親米国の地位を自ら変えつつある。 Vol.149

本日の日経新聞WEB版に気になる記事が出ていた。それは産油国の盟主であるサウジアラビアが、タイ政府との間で米の安定輸入のための議論に入ったとのことです。これはオイルマネーが世界でもっとも潤沢に入るサウジですら、ドルを持っているだけでは安全な食糧の確保は難しいと考えているからではなかろうか。まずは同記事を引用する。

サウジ、タイのコメ生産に投資検討
 サウジアラビア政府は年末までに、タイのコメ生産者に投資する検討を始めた。ロイター通信が9日、貿易関係者らの話として伝えた。タイは世界最大のコメ輸出国で、サウジは世界6位の輸入国。国際コメ価格が急騰するなか、人口増で拡大する国内需要を確保する。
 関係者によるとサウジ政府高官と民間企業の代表が先週、タイの投資家と接触、共同投資の可能性を協議し始めた。サウジは投資先のタイの生産者からコメを 輸入して国内需要を満たすだけでなく、アラブ首長国連邦(UAE)など近隣のペルシャ湾岸諸国にも輸出する計画だという。(10日 16:03)

ところで米について言えば、欧州でもイタリアやスペインでは米はリゾットやパエリアなどの料理を通して、その存在は一般的である。しかしこれらの料理は本来の欧州の料理ではなく、これは地中海の対岸にあるアラブ諸国から移入された食文化である。その意味ではアラブの諸国にとって米の確保は我々東アジアの人間と同じくらい重要な意味を持つ。一方最近の米国のバイオエタノールへの国家的優遇策の施行を発端とする、穀物価格の高騰はGMOコーンへの生産シフト、その結果起きたほかの作物の供給不足を予想した国際金融資本家たちが有り余る資金を穀物市場に投入した結果、世界的な穀物価格の高騰を招いている。その中で今回のサウジの米確保に対する取り組みは、本来は産油国であり、潤沢なオイルマネーを持っている国ですら、国家の安全保障を自らの手で守るということが喫緊の課題になっていることを意味している。

ところで我国の動きはどうであろうか、前号では稲わらや籾殻を利用する、バイオエタノールのプロジェクトについて言及したが、現実問題として政府には安全な食糧確保に対しての危機感をあまり感じられない、その一方で漫然とした、食糧確保の問題に胡坐をかく形で、安全性がいまだ確立されていない、遺伝子組み換え食品やクローン家畜など米国製食品の導入はなし崩し的に進んでいる。いやむしろ政府は、現在の食料品の高騰を一つの追い風として利用して、米国産の食品の輸入拡大を進めているように感じている。そして米国追従の姿勢をより強めているのである。

実は同じことが金融・財務政策ではより以前より進められている。それは欧州が共通通貨ユーロの流通を開始して以来、EUの加盟国はユーロの地域内共通通貨としての権威を高めるために発行総額をコントロールし、かつ加盟各国の財政赤字に比率まで徹底的に制限も設け、ユーロ流通の正常化に努めて来た。その結果ユーロの価値が高まり、現在では1ユーロ=1.65ドル(1ドル=0.6ユーロ)となり世界でもっとも安定した通貨となっている。その結果、今まではドル建で資産を持っていた、世界各国の投資家はドルからユーロへの鞍替えを進めている。一方円はドルを発行する米国通貨理事会(FRB)と歩調をあわせつづけ、金融緩和政策を採り続け米国と同じように大量の円を増刷して世界に供給しつづけている、結果的にサブプライム問題の発生によりドルの信認が揺らいだ後も円は対ドルで多少の調整があっただけで、今では1ドル=100円弱を維持し続けている。その結果、これが原油は小麦の輸入コストを押し上げ、ガソリンや重油の値上げ、またパンや乳製品の価格高騰となり、徐々に庶民の生活をおびやかしているのである。

ここで提言したいことは、日本が原油や食糧資源を輸入せざるを得ないポジションに有ることを再認識し、健全な国民生活を維持するためには、この原油や食糧の確保の問題にどのように対処するのかを一度考え直す必要があると思う。特に食糧については、量的な確保をばかりを論じるのではなく、安全性の問題を真摯に議論して、遺伝子組み換え食品やBSE牛肉、またクローン肉などに米国の政治的影響力を排した形での新たなる政策を考えるべきではないかと思うのである。掲題の通り、伝統的に親米国であるサウジさえも米国製の米のみに頼るのではなく、直接タイとの交渉に乗り出している事実に注目すべきではないだろうか?今ここで何もせずに米国への追従政策を採り続けている限り、ある日突然米国製遺伝子組み換え食品の危険性が明らかになり、国民が米国食品を購入しなくなった際、それに変わるソースの確保できなくなることを意味している。また日本人が自ら努力して製造した商品の輸出で手にした外貨をそのままドルで所有していれば、今後の継続的なドルの下落とともに価値は目減りすることになり、米国以外の国からの安全な食糧の購入はままならなくなる。そのような国家存亡の危機を避けるためにもしっかりとした危機対応をしなくてはならない。それは;

1. 国家、地方財政の健全化に本気で取り組み、円の増刷を抑え、円の国際評価を健全な水準に戻す。
2. 米国には安全な食品の生産を要望し、いざとなった際に備える。そしてその一つ一つをマスコミを通じて正確に国民に伝える。一方で米国産以外のアジアや南米には安全な食糧があることを周知させ、その購入も促進させる。

ところで、最近よく近くのスーパーマーケットで食肉のコーナーを覗いているが、牛肉のコーナーには、国産牛肉とオージービーフしかおいていない、これは多くの日本の消費者は米国牛肉の危険性を十分に理解しているということである。そして政府やマスコミがバイアスの掛からない正直な報道をしてくれる限り、危険性の疑いのある、米国製の食品の市場は自然な形で縮小するのではないかと期待している。

ところで、我々は戦後教育で、自由とはフリーと同義であると教えられて来た、しかし本来フリーというのは、過去の束縛から解放されることを意味している。例えばローマ時代の奴隷がその能力を認められ、解放奴隷に昇格する際に使われる、即ちフリーとは今までの奴隷としての諸制限の撤廃を示しているのであって、自ら発想し、提案する権利を有することを意味している訳ではない、一方同じ英語でこの自由を意味する言葉にオープンというのがある。これはゴルフやテニスのプロスポーツの大会でよく使われる、誰でも参加することが出来るという意味での自由である。今日本は未だに一部には国連の常任理国の問題なども存在しているが、基本的には先人の努力の結果、先進国メンバーの正規会員の一国としてすべての政策のオープン権を確保している、それ故に、今こそ、自らの智恵と経験に基づき、正しい判断を行い、米国の言うなりになるばかりではなく、独自の判断と責任で、将来を切り開き、国民の子々孫々に渡る、幸福な生活の実現のためにその貴重な権利を行使する必要があるのではないか?今程、日本国民の智恵の発揚と勇気の行使が求められている時はないのである。


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