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May 19, 2008

ホスゲンを無許可製造。。。 これが日本の化学産業の実体か? Vol.151

化学業界に携わるものとして、驚愕の記事が発表されていた。まずは読売WEBの記事を引用する。

猛毒物質「ホスゲン」170トン、無届けで製造…石原産業

 大手化学メーカー・石原産業(大阪市)は14日、三重県四日市市の四日市工場で、2005年2月から06年10月まで、製造には化学兵器禁止法などで国への届け出が必要な猛毒の化学物質「ホスゲン」を、無届けで製造していたことを明らかにした。
 織田健造社長らが同日、津市内で記者会見し、ホスゲン製造を含め、工場から排出される有害物質値改ざんなど計7件の不正を公表した。
 同社によると、農薬の製造に使用するため、従来は外部から購入していたホスゲンを、05年2月から自社製造に切り替えた。ホスゲンは、化学兵器に も使われるため、年間30トン以上を生産する場合、製造計画や実績などを国に届け出なければならないが、同社は届け出なかった。
 06年10月、自社の定期点検で無届けがわかり、製造を中止するまでの間に計約170トンが生産された。社内の聞き取り調査に対し、当時の担当者は「ホスゲンの製造は地元住民の理解が得られないと思った」と説明したという。
 

石原産業は05年に発覚したフェロシルト不法投棄では産業廃棄物処理法違反の罪に問われ、四日市工場の元副工場長が懲役2年、法人としての同社に罰金5000万円の判決を受けている。
(2008年5月15日00時04分 読売新聞)

ホスゲンは先の世界大戦ではドイツ軍が主要化学兵器として使用して多くに人を殺戮した毒ガスである。最近でも先のオウム事件で使用されたことは記憶に新しい。一方ホスゲンを正しく使用すると様々な機能を有する化学製品の製造することが可能となり、その化学製品を利用して数多くの人間にとって有用な医薬品や合成樹脂、農薬などが合成されるものである。それだけに世界各国においてホスゲンの利用には厳格な規制があり、インドでは一律禁止、中国でも特別に認められた化学製造メーカーのみでその生産利用が可能となっている。その厳しい規制をクリアしたメーカーはホスゲン専業メーカーとしてその存在は敬意をもって認められており、事業としての存続基盤は世界的に守られている。従いしっかりと管理さえすれば人間のより良い世界の構築のために、有益な事業である。それだけに先進国の日本でこのように無許可でのホスゲン生産、使用が行われていたということはまさしく驚愕に値する。

ホスゲン及びその誘導体が起した過去の事故で最大のものは言うまでもなく、84年にインドのボパールで発生した米国UCC(ユニオンカーバイド)のカルボニル系殺虫剤セビンの合成プラントで起きたものである、その時は3千人以上が死亡し、20万人以上の中毒患者を出している、大惨事として世界中に報道された。実態については、下記のブログに詳しく書いてあるのでそのまま引用する。

インド・ボパール化学工場事故 20年目の検証
BS世界のドキュメンタリー
「インド・ボパール化学工場事故 20年目の検証」を見た
制作:Point Du Jour 制作国:フランス 配給:Point du Jour 制作年:2004年

1984年12月2日深夜、インドボパール地区でアメリカのユニオン・カーバイト社の殺虫剤製造工場から有毒なガスが流出し、3300人の住民が死亡、負傷者20万人 動物被害 1047頭 死亡。
20年前の「ユニオンカーバイト社による災害」を検証したドキュメンタリー番組。

殺虫剤はイソシアン酸メチルから作られ、この工場からは22トンのガスが流出し、ポパール市街を覆ったとされる。
イソシアン酸メチルはホスゲン(第一次世界大戦中の化学兵器による死者の約80%はホスゲンによるものだったとされる)から作られる。
不安定な化合物で取り扱いを厳重に注意しなければいけない代物だったにもかかわらず、ユニオン・カーバイトのアメリカ工場と比べ、インド工場はずさんな管理体制下にあり、近辺への住民に対しての安全対策、危険を報じる手段も講じられなかった。
イソシアン酸メチル→動物実験では肺に深刻な損傷が生じる、妊婦の肺が傷ついた場合、胎児へ深刻な影響が出る。

ユニオン・カーバイト社はインドの現地法人会社に責任を転嫁し、米国本社と切り離し、当時、多くの弁護士を送り込み、19万6千人に訴訟書類に関しての捺印をさせた。二つの国の法律制度を手玉にとり、インド政府に和解させ、最高責任者は法廷に出ようとはしなかった。
アメリカでの裁判が起こせる可能性が、現在出てきているという。
環境に限定された狭い範囲になるようだが。
20年後の現在、後遺症に苦しむ15万人の市民。
埋められた有毒廃棄物質の影響で、飲み水は汚染されたまま。
現在も排水車が供給に来ている。
魚を使った毒性調査では3つのサンプルが即死。

ポパールの記憶を風化させない為に、記しておく。

ブログのURL:http://blog.livedoor.jp/dinosaur_tales/archives/10341770.html

上記にかかれているイソシアン酸メチルとは、ホスゲンとシアンを化合したものであり、人体に吸入された際にホスゲンに分解され、ホスゲンとして中毒を起すものである。この結果インド政府は現在に至るまで一切のホスゲンの製造と利用を禁止している。

化学産業なかでも上記の通りの精密化学品産業は廃水処理の問題や大気汚染、廃棄物処理の問題と直結しており、環境に対する負荷が高いとして、欧州では生産を停止して、その代わりに中国、インドを中心としたアジアへのシフトが進んでいる。その中で、上記の事情の通り、製造コストが比較的安いとされる中国やインドでもホスゲンの使用は制限を受けており、仮にそれを日本の企業が無許可で製造をすれば、不正が露見しない限り、高収益を確保できることは明白である。即ち今回の事件は収益の確保を目的として意図的に許可を取得せずにその生産、使用を行ったという意味で同メーカーの行為は常軌を逸脱した恣意的な不正行為であり、これは先進国の企業としてあるまじき行為なのである。

今日本の企業は目先の収益確保のために簡単に不正を行う。また会社は従業員の雇用を確保しているという名目で、平気で従業員に対して圧力をかけ、不正を容認させる。今回もこれと同じ構図が背景にあると思う。この傾向に何とか歯止めをかけない限り、日本の製造業の崩壊はますます進むことが、危惧される。拝金主義の蔓延をここでしっかりと食い止めないと日本が先人の努力で手にして来た、世界に対する信用がどんどん無くなることになる。

ところで上記のボパールの事故の原因は、競争激化による製造コスト低減圧力によりUCCが安全マニュアルを無視して、工程を簡略化したことがその主因であるといわれている、これこそ、拝金主義が製造業の心臓部ともいえる安全管理、品質管理に及んだ悲劇なのである。現在日本のマスコミは中国産のメタミドフォスが混入した毒入り餃子の問題を大きく報道しているが、実はこれも重要ながら、品質管理上はそれ以上に今回の無許可によるフォスゲンの製造の問題が大きいことを喚起する必要があると思う。日本の企業がこの機会にもう一度25年前にインドで発生した悲劇をしっかりと検証し、今回の事件を真摯に受け止め、利益確保のためならば何をしても良いといった考え方に対して、しっかりとした見識を示し、このようなことが二度と起こらないための対策を施す必要があると感じている。

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Comments

早速にドイツタロウに掲載されましたね。これをどう読むか?で
今の日本の意識レベルが分かると思います。ぼーとしていたら
それまでの意識です。四日市市以外の化学工業地帯でも同様
の問題が隠されています。何が作られ、原料は何を使い、事故
がおきたときのシュミレイションと対策がなされているかを住民
は知る必要があります。いつのまにか与えられた草を盲目的に
食べる羊になってしまわないように、。
安全は磐石、といい続けたどこかの原発も、地震であっけなく
ダウン、事故があって始めて知るのが日常茶飯事でいいはず
はないのです。

Posted by: | May 19, 2008 at 14:18

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Tracked on May 28, 2008 at 13:39

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