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June 22, 2008

公務員改革法:実効性を疑問視する声も- 民主党に重大な責任 Vol.156

2週間ほど前に記事になるが、毎日新聞WEB版に下記の記事がでていた。この法律は民主党が与党に歩み寄ることで成立した、新しい制度を定めた法律である。それだけに同党の責任は非常に重い。ニュースなどでは渡辺行革大臣のうれし泣きの姿が大きく報道されたので、記憶に残っている方も多いと思う。まずは同記事を引用する。

 国家公務員制度改革基本法は自民、公明、民主3党による修正合意を経て、6日の参院本会議で可決、成立した。法施行後5年以内に移行する新制度で何が変わるのかをまとめた。【中田卓二、塙和也】
 ◇人事制度
 基本法は、幹部人事を一元管理するため「内閣人事局」を新設し、候補者名簿を官房長官が作成することとした。しかし実際は、官房長官がすべての候 補者を把握するのは困難。国会審議で修正案の答弁に立った民主党議員も「各府省がふさわしい人を官房長官に推薦し、官房長官が適格性を審査して名簿を作 る」と、各府省の関与を事実上認めた。
 また、国家公務員1種試験合格者が幹部候補になる現行の「キャリア制度」は廃止。能力や実績に応じて幹部職員に登用する。しかし一方で新たに「幹部候補育成課程」が設けられ、運用次第では今以上の「スーパーエリート官僚」が誕生するとの指摘もある。
 ◇労働基本権
 基本法は「自律的労使関係制度を措置する」との規定を設け、将来的に国家公務員に労働協約締結権を与えることを担保した。実現すれば、現在は人事院勧告によって決まっている公務員の給与などの勤務条件が労使交渉の対象になる。
 渡辺喜美行革担当相は5日の参院内閣委員会で「成立後1カ月以内に労組を含めた検討機関を設置する」と答弁した。ただ、協約締結権を付与する公務員の範囲、協約事項の範囲はいずれも白紙だ。
 

◇政官接触
 政治家と官僚の接触を制限する規定は削除された。ただ、政治家が官僚に圧力をかけたり、官僚が政治家に過度な根回しをしたりする弊害を避けるため、基本法は、官僚と政治家の面会記録を作成して情報公開するよう定めている。しかし、官僚側に政治家とのトラブルを避けたい心理も働くとみられ、「完全 な情報公開は難しい」と実効性を疑問視する声も上がっている。
 ◇天下り規制
 基本法には、直接的に天下りを規制する規定はないが、段階的に定年を65歳に引き上げることを検討することとし、天下りの背景である早期勧奨退職 の是正を視野に入れた。一方、公務員の天下りあっせんを一元化する「官民人材交流センター」が年内に設置されるが、センターが軌道に乗るまで、各府省によ る天下りあっせんをチェックする「再就職等監視委員会」の委員長と委員人事案は6日、参院で不同意になった。監視委だけでなく、センターそのものが機能不全に陥る可能性もある。
毎日新聞 2008年6月6日 22時02分

ところで同記事も指摘しているが、実効性については当初から疑問符がついている。折角与党や野党第一党の民主党が歩み寄って制定した法律なのに、何故このように期待感が薄いのであろうか?そこには今の日本が抱えている根本的な問題があると思われる。それはこの国の政治の仕組みには自己規律を司り、自らを統制する機能が欠落しているからではないのだろうか?日本は戦後、自由と民主主義を標榜して、経済的にも先進国の一つとして列せられるように発展して来た。しかしながら、政治的には対米従属体制をとり続けるだけで自立した状況にはない。一方で民主と自由の名のもとで多くの法律が立案され、制定されるが、果たしてそれぞれが有効に機能しているのであればこのような些末のことを取り決める法律が必要なのであろうか?また国民生活においても、種々問題が続発し閉塞状況になぜなるのであろうか?この稿では以前からこれらを問題を提起して、その原因は日本が対米従属であることに原因があると指摘したが、最近になってどうも問題はそれほど単純ではない気がしてきた。それならば何が問題なのであろうか?

ここで本題に戻りたい、今回長年に渡る公務員制度改革法案が可決されたが、可決の知らせとあわせて実効性を問題視する報道が後を絶たない。実際に私自身も実効は無いと思っている。それはどうしてであろうか?それは法律を制定しただけでは、世の中はよくならないからである。古今東西、法律を制定することは可能だが、本当に必要なことはこれをしっかりと運用する体制作りなのである。今の日本にはこれが欠けている、ましてや今回のように公務員が公務員を自ら律する法律を本当に公務員が自らの判断でその運用を推進するのであろうか?回答は絶対にNOであると思う。では何故そのようなことになるのであろうか?そこにはこの国が抱えている構造的な欠点があると思う。それは自己統制機能の欠如と言い換えることができるものである。

他の国を見ていると、多くの国家に、内務省とかもっと直接的に国家安全省といった自国内の組織を自律的に統制する機関がある、ここは常にその国、内部の動きを常に的確に把握して、統制を加える機能をもっている、時としてそれは法律の枠を超えたものであることもある。戦前の我国には当然のことながら内務省は存在していた、そして警察権から地方自治、国家建設など幅の広い権限を有しており、同省の大臣は常に副総理大臣の資格を与えられていた。しかしながら、その強大な権限は軍部と結託すること太平洋戦争を起し、日本を破滅させた。戦後GHQの占領政策ではこの点を考慮にいれて、日本の内閣に内務省を作ることを許さず、その権限を分散させ個別の省庁に配した。そして戦前の日本の復活を予防する措置を取っていた。結果としてこれはうまい方向に作用して、日本は経済的な発展を達成し、先進国のひとつとなることが出来たのである。しかしながら、一方では潜在的な問題も拡大して来た、その一つに公務員の問題があった。公的機関の統制を統一的に担当する機関がないことにより、物事の判断は省任せになり、その結果規律が利かなくなり、各省庁が国民への便宜を無視して、独自に省益を追及してもそれが法律的に違反していなければ堂々と許されることになり、各省庁が競って自らの利益を求め始めたからである。一方歴代の政権は、実際に取り決めた法律を運用する行政を常に味方に付けたいとの思いから、これらの行為を黙認しり、逆に加担したりした。それによりますます行政は肥大化し、その仕組みは複雑化され、かつ隠蔽化され、外からはまったく分からない状況となってしまったのである。そこでこの実情を暴くことで、自党に有利に働かせようとしたのが、昨今の民主党である。例の年金の問題を暴露することで、社会保険庁の実体を万人に示したのである。また同党は引き続き公務員の無駄遣いの詳細はあくなど積極的である。

しかしながら少し考えるとこのことはおかしいという事が分かる。というのは本来公務員の不正や無駄を把握する仕事は、政府自ら行うべきであり、これは立法が仕事である国会議員の仕事ではないからである。即ち公務員の実態を常に把握して、問題があればやめさせ、改めさすことは政府自らの責務だからである。その責務を担当する機関が政府内に無いことが、彼らの問題をここまでこじらせ、結果として門外漢の国会議員に頼らなければ内情を暴くことができないということになるのである。これは極めて効率が悪いやり方ではなかろうか?

法律は万全ではない、これは法律が人によりつくられることにより、明白である。それではその法律の不備を補完するものは何であろうか?それは国家や国民が本来もっている経験に裏付けられた、倫理観である。そしてその倫理観は世界的に国家毎に微妙に異なることは有っても、人として生きる上ではおおむね同一である。残念ながら我国には、この自国の倫理を用いて物事の善悪を判断し正しい方向を示すことをする、組織がないのである。そしてそれに替わるものとして戦勝国の米国が持ち込んだ自由と民主という非現実的な理想主義を利用したのである。しかしそれは所詮借り物でありかつ理想である、日本の土壌とは完全には相容れないものである。また自らの倫理を持たないことで、物事の価値判断が出来ず、どんな些細なことでも米国に判断を求める結果となり、結果として箸の上げ下ろしまで指示されると揶揄される干渉を受けているのである。それこそが、この国の問題の根本であり、かつそれが解決されない中では、今回の改革法についても多くの国民が実効性に疑問を持つといった状況を招くことになるのである。

それでは我国はどうするべきなのであろうか?民主党はこの具体的な方針を出せないままに、上記の通り門外漢である国家公務員の無駄を暴くばかりで、馴れ合い的に政権をとろうとするのではなく、具体的提案として、行政部門内部に各省横断的な、自律した統制組織を創設することによりこの問題を解決する道筋を示すことではないだろうか? そして国民の為に、行政自らの手による規律を作り、統制を行い公務員の問題を解決し、それが将来的には他国と同じ自立統制機関に発展させていくことを政策として実施すべきであると思う。少なくとも今のように、批判や暴露ばかりで、その道筋を方針として明確にしないままでは、民主党の政権担当能力は無いと見られても仕方が無いと思う。もちろん自民党政権は今までの自己の怠慢により此処まで状況を悪化させた責任は重大であり、民主党がこの点で明確に方針を示すことができれば、その責任を取って下野することは当然である。この点でこの法律の成否を握る鍵は、民主党が如何に実効性のある政策を打ち出せるかにあり、それだけに同党にはもう一歩踏み込んだ検討をしてもらいたい。

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Tracked on June 25, 2008 at 07:37

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