原油高の実相 Vol.160
前号では、原油市場に投機資金が入ることで、価格が高騰している実情に言及したが、6月7,8両日、G8に先立って青森で開催された、世界資源エネルギー大臣会議で同じことが合意されていたことをはっきりと示している記事がある。関係の記事を引用し検討を加えてみる。
投機マネーに"無力感" G8などエネ相会合 原油高騰問題で FujiSankei Business i. 2008/6/10
地球温暖化対策と原油高騰問題を議題とし、主要8カ国(G8)に中国、インド、韓国を交えたエネルギー相会合が7、8の両日、青森市で開かれたが、原油市場に流れ込む膨大な投機マネーの勢いを食い止める効果はみられなかった。先週末の米ニューヨーク市場で、原油先物相場は前日比10ドル超上昇。その勢いは週明け9日の東京市場にも引き継がれ、中東産原油先物がストップ高の先週末比2700円高、1キロリットル=8万3620円で取引を終えた。 「現在の原油価格水準は異常」と訴えたG8会合の共同声明にも、原油高騰問題に「深刻な懸念を共有する」との認識を示した中印韓を交えた11カ国会合にも、現実の原油相場はほとんど反応しなかったといえる。 中国の張国宝国家発展改革委員会副主任は8日の記者会見で、「本当の高騰要因を抑えないと原油価格は抑えられない」と述べ、原油市場への膨大な投機資金流入を食い止める必要性を指摘した。しかし、米国は原油市場への規制どころか、市場の透明性向上にさえ消極的だ。
米投資銀行ゴールドマン・サックスの推定では、石油などに投資する商品ファンド残高は6年前の100億ドル程度から2000億ドル超に上昇。米国産標準 油種(WTI)の先物市場では、実際の生産量(日量約40万バレル)の1000倍前後に達する1億~5億バレル分が毎日取引され、投機筋や金融機関に巨額 の利益をもたらしている。
経済産業省の北畑隆生事務次官は9日の記者会見で、原油相場に関して「もうければいいというウオールストリートの資本主義の悪い面が出ており、怒りに近 いものを感じる」と批判。ただし、「投機の動きに対して政策の動きがミート(合致)しているわけではない」と認め、投機筋の動きに有効な政策を打てない現 状へのジレンマをにじませた。(飯塚隆志)
ところで先のサミットでは、米英は上記事実を真っ向から否定して原油高騰の原因は、中国・インドの需要増であると言い張って、これを他の各国に受け入れされ共同声明とした。ということはちょうど一ヶ月前の担当大臣会議で合意したことをいとも簡単に反故にしたということである。これではG8そのものの意義が問われても仕方が無いのではないだろうか。
上記の内容は書き方こそ平静を装っているが、事実は驚愕に値することが米国原油市場で実際に起きていることを意味している。本来WTI市場で一日に取引される原油は40万バレル(約7万トン)しかないのに関らず、取引総量は1億から5億バレルと裕に1000倍を超える数量が取引されているのである。ということは原油が生産されて、市場にはいるとそこで1000回のキャッチボールがなされて価格がつりあがった後、顧客に販売されるわけである。当然このキャッチボールに関与している売買仲介人はその都度売買をしているわけでそれが、彼らに取って大きな利益源となっているのである。どうしてこのような事態をまねいたかの詳細な背景はすでに前号で説明しているので省くが、同じことが他市場のロンドン、ドバイ、シンガポール、東京にも波及して世界的原油高を招いているのである。そして現実に多くの投資銀行やその実働部隊であるヘッジファンドが世界中のマーケットでこの原油取引に関ることで、彼らに莫大な利益をもたらしていることは疑うことが出来ない事実である。
ところで米英政府はどうして、彼らの動きを規制しようとしないのであろうか?米英にとっては、いかにしてドル基軸体制の維持するかが最大の課題であり、そしてその体制を支えているのは、まさしく投資銀行であり、その投資銀行をなんとしても守ることが喫緊の課題であり、その達成が今回のサミットの目標であったからである。その上で投資銀行が置かれている状況は、原油や穀物・資源以外には利益を確保する投資対象が無いという現実があるのである。仮定として、米英が原油取引に参加している投資銀行やヘッジファンドの名前を公表すれば世界中の人々から彼らが真犯人であるという声があがり、結局彼らはこの投資活動が出来なくなるのである。その結果、投資銀行が世界中の顧客から受け入れたファンドの配当を確保する原資がなくなり、自分の資本を取り崩すことになる。資本はすでに世界中の株式・債券として運用されているので、それを現金化して捻出するのである。結果として世界の株式・債券市場はまた下落する。そうするとドルがますますあまることになる、利益を生むことができない通貨は結果として投資家から嫌われ下落するのである。あわせて投資銀行は、収入の道を閉ざされ、事業継続は不可能となり、倒産となるか、金持ちの産油国の政府系ファンド(SWF)に助けを求める、サブプライム悪夢の再現がなされるのである。結果として今回のG8では、これを嫌った米英が、地球温暖化問題では最大限の譲歩を示した上で、この問題では一歩も引かなかったのである。その結果米英政府と投資銀行は一息ついたというのが実際のところである。
しかし今回のサミットにおける合意により、引き続き世界のマーケットは原油や穀物、資源の高騰を容認することになった。過去に世界経済の発展を目指して、意図的に抑えられて来た原油や穀物・資源の価格が水が高いところから低いところに流れるかのように、一挙に他の製品と同じ自由競争の水準に向かうのである。果たして世界の製造業・加工業はこの動きに耐えることが出来るのであろうか?また人々はこれらの一連の製品価格の上昇の動きやインフレに耐えることが出来るのであろうか?
今ここで米英に対して他の国々が圧力を掛けて、原油への投機をやめさすことは理論的には可能である。しかしそれにより世界に散らばっているドルの価値が下がり、多くのドルに関っている人々の生活を脅かすことはやはり得策ではない、とすれば我々はここは節約に節約を続けこの問題が安定するまで待つしかないのであろうか?まさしく今こそが、世界人類が自らの智恵を結集して乗り切るべき時である。
ところでイランの情勢がきな臭くなってきている。過去の例を見る限り、ドル下落の問題で追い詰められた米国が打開策としてイランに侵攻することも選択肢として十分に考えておかなければならない。いずれにしても我々の役割は自らが持てる英知を結集して、この難局に冷静に対処して、何よりも優先して血なまぐさい戦争だけは起させてはいけないことであると思う。
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おひさまエネルギーファンド(株)谷口と申します。
RSSにてやってまいりました
長野出身の方ということで、実は私どもも長野県飯田市を
出発点として、全国の方に出資を募り地域の幼稚園などに
太陽光パネルを設置しています。
銀行に眠らせてどこに使われるかわからないよりも、直接設置しますので、必ず温暖化防止に貢献します。詳しくはホームページに、実績などもありますのでよろしければご参考にご覧ください。
突然の訪問にて失礼しました。
Posted by: 谷口(おひさまエネルギーファンド(株)) | July 15, 2008 at 09:50