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July 15, 2008

原油高騰 相次ぐ石油製品の値上がり Vol.161

連日のように値上りが続く、原油によりその誘導体(関連製品)の値上げが顕著になっている、本日も重油の急激な値上がりにより採算が取れない、日本中の漁業組合が操業をストップさせ、抗議の意を唱えている。現状では前号に示したとおり、原油の価格が安定する可能性はすくなく、引き続き高騰すると思われる。それだけに今後自らの生活が脅かされる多くの人がでることが予想される。政府にはそれらの人と救う施策を一刻も早く、迅速に実行してもらいたいと願うとともに、中長期的には原油価格が高くても皆が幸せに暮らせる社会を構築してもらいたいと思っている。ところで石化製品の高騰により減産が相次いでいると、石化業界の苦境を具体的に報じている、サンケイビジネスアイの記事を下記にする。


石化製品相次ぎ減産 値上げで需要落ち込みFujiSankei Business i. 2008/7/15
原油価格の高騰が続くなか、ナフサ(粗製ガソリン)を原料とする石油化学製品を減産する動きが広がってきた。原料高を価 格に転嫁する石化製品の相次ぐ値上げを受け、好調だったアジアの新興国でも需要が減退しているほか、値上げが追いつかない製品の採算が悪化してきたため だ。14日には三菱化学が、6月に続き、8月出荷分の主要製品一斉値上げを発表し、一段の価格上昇は避けられない見通しだ。

 

国内の石化メーカーは新興国の需要拡大を受け生産設備を増強し、昨年度は基礎製品のエチレン生産が史上最高を記録。原料高の転嫁もこれまではスムーズに進み、業績は好調だったが、再び下り坂に入る懸念が高まっている。
 ■予想以上の原料高騰
三菱化学の値上げは、自動車部品用の樹脂原料など石化製品27品目が対象で、異例の一斉値上げを短期間で2度も実施する。6月の値上げでは原料のナフサの基準価格を1キロリットルあたり8万3000円と想定していたが、9万2000円に引き上げた。ナフサ価格は4~6月の実績では前年同期比20%高の7万300円と2003年の2万円台から3倍以上に跳ね上がったが、1バレル=150ドルに迫る原油高騰でさらなる上昇は確実だ。
三井化学や住友化学も6月に値上げしたが、業界では「価格上昇は予想をはるかに超えている」との悲鳴が上がっており、再値上げの動きが広がる可能性もある。一方で値上げによる需要の落ち込みも鮮明になってきた。
石油化学工業協会の藤吉建二会長(三井化学社長)は3日の就任会見で、「値上げで顧客企業が疲弊している。これまで好調な中国などのアジアも下向き始めた」と懸念を表明した。需要減退を受け、旭化成は7日から、水島製造所(岡山県)のエチレン工場で減産を始めた。減産は10年ぶりで、当面は稼働率を5%落とす。
ポリエステル繊維製衣料品向けの高純度テレフタル酸(PTA)でも減産が相次いでいる。三井化学は岩国大竹工場(山口県)の生産設備3基のうち、昨秋に1基を廃止したのに続き、今年1月にはもう1基を休止し、11年度には廃止に格 上げすることも検討している。2基の停止で国内生産能力は47%減の年間40万トンとなる。今後は需要の4割を占めていた中国向けをやめ、国内に注力する 考えだ。 三菱化学も4月末にPTAを日本、中国で20~30%、インドネシアで5~10%減産した。 堅調が続くとみられていたアジアのインフラ整備にも変調が及んでいる。三菱化学は5月末に、建築資材向けの塩化ビニール樹脂を生産する水島プラ ント(岡山県)を停止し総生産能力を30%程度落とし、輸出を中止した。同社では「現地の供給過熱に加え、今後の需要減退も予想され、採算が改善される見 込みがないと判断した」(幹部)と説明する。
 ■「川下」メーカー疲弊
産業の「川上」に位置する石化業界は、原料高の影響を直接的に受けるため、「川中」の加工メーカーや「川下」の最終製品メーカーへの出荷価格に ほぼ自動的に転嫁し吸収してきた。しかし、川中や川下の企業は製品の転嫁が遅れ、業績が悪化している。世界経済の減速やインフレで最終製品の需要も冷え込 んでおり、その影響は着実に川上にも押し寄せている。原油高騰が「第3次オイルショック」の様相を呈するなか、石化業界は原料の脱石油など抜本的な構造改革を迫られている。(滝川麻衣子) 一部割愛

本記事では、原油の高騰が関連石油製品の価格高騰を生み、結果としてユーザーが買い控えをしており、それにあわせて同メーカーは減産を余儀なくされているということである。減産を行うということは同時に雇用の機会が減るということでもあり、この点で大いに危惧されるものである。

ところで前号、前々号で、どうして原油が高騰したのかに関して、その背景について、言及したが、本号では別の角度からこの問題を掘り下げて見たい。即ち、今回の原油の高騰は米英のドル政策の失敗がその背景にあるということを述べたが、それではそのドル政策が機能し、原油価格が安定していた過去には、どのようなことが起きていたのであろうか?実際に日本の石油化学業界は比較的安価な原油を無尽蔵に確保できることにより、アジアでは圧倒的な市場シェアを確保して、我が世の春を謳歌していたのである。このことについて本号では検証を加えようと思う。

そもそも原油が今のように人々に一般化する以前に、灯油として日常利用されていたのは鯨油であった。この油を確保するためにわざわざ太平洋を渡って日本まで来たのが米国のベリー提督である。今では、同国は反捕鯨の急先鋒の一国であるが当時は世界一の捕鯨国であったのである。しかしその後原油が米国内で見つかると、これを精製した灯油が出現し、これがすぐさま鯨油に取って代わった、その後米国では原油の有効利用が検討され、灯油のみならず、内燃機関の燃料である重軽油、またプラスチックの原料であるナフサの有効利用が事業化されたのである。そしてその余剰となる燃料効率の悪い、ナフサをガソリンとして自動車に応用する技術も開発されたのである。一方このナフサを燃料として使うのではなく、プラスチックや医薬品、農薬、染料などのファインケミカルに利用する石油化学もあわせて発展して来た。これにより石油は燃料として燃やすだけではなく、人類の生活水準の向上に寄与する欠く事のできない資源となったのである。一方で米国内では、この原油資源が第2次大戦あたりから枯渇してきた、そこで米国には自国に代わる供給地点の確保が必要となったのである。そのなかで最大の供給地点がサウジを中心とする中東であった。米国系の企業は古くからその地を植民地として支配していた英国と組むことで、中東原油の採掘に力をいれたのである。それを実際に行ったのが所謂セブンシスターズといわれる米英系の石油メジャーである。彼らは第2次大戦後、その地が独立するに当たり、従来から名目君主として存在していた王族をそのまま国家元首として推挙し、また一方で両国の持つ強大な軍事力でその政権を支持した。そしてその対価として自由に原油を掘削する権利を有したのである。そして開発当初、米英は実際に原油がどれほど有用なものであるかを意図的に産油国に隠蔽し、できる限り安い対価で獲得することにしたのである。実際当時の原油はバレル当たり3ドル程度で取引されていたのである。その後これは安すぎると認識した産油国はメジャーからその権益を取り戻すことに取り組み、晴れてOPECを組織することで成功したのである。しかしながらOPECは米英政府と引き続き密接な関係を持ち続け、今に至っているのである。その間、米英は原油の高騰を抑制する政策を採り続け、それを産油国は受け入れて来たのである。しかしながら21世紀に入りロシア経済の復興などにより米英の力が及ばない原油がマーケットに大量に供給されると米英支配の構造は崩れることになる。そして06年の米国のサブプライム問題のよってドルの不安が顕在化すると、今までドルを所有していた投資銀行は、ドルの更なる下落を防ぐために、それまで価格が安定していた、原油に一斉に振り向けるようになったのである。これが原油の米英支配と現在に至る経緯である。

ところでこれらの過去の動きの中で、これまで米英は産油国に払う対価に対して、自国企業の利益を乗せて世界市場に十分に稼いできたはずである。実際原油を支配することで得た利益は莫大であったと推測される。しかしながら、米英が原油に対していて十分な対価を支払わないことで、まるで原油資源を略奪するかのような対応をした結果、原油そのものは実は他の資源例えば、金属や木材に比べてはるかに安いコストで国際マーケットに供給されていた、事実には深い注意は支払われないでいたのである。ところで、この事実を知って果敢に挑んだのがほかならぬ、我が日本なのである。元来サウジ原油は米国のWTI原油や大西洋の北海ブレント原油などと比べ、ナフサ分が多い中質、重質油であり、燃料のみに標準をあわせていた、米英にとってはあまり魅力のない原油であった。しかし日本はそこを逆手にとって積極的にサウジ原油を消費する仕組みを作ったのである。それが日本各地の沿岸にある石油コンビナートの整備とあわせての石油精製、石油化学産業の一体化であったのである。これにより日本ではあらゆるプラスチックが開発され、それが安価に供給されることで、既存の資源であった、金属、木材に取って代わったのである。またその後も有り余るナフサを有効利用するために、コンビニ弁当や持ち帰り弁当などの中食が奨励され、それが出す、膨大なゴミと浪費には目をつぶりながら、日本のプラスチック産業は世界に冠たる位置を占めてきたのである。その結果として合成繊維などでは日本は今でも世界一の位置づけであり、航空機やロケットに使用される炭素繊維なども日本のお家芸となっている。即ち日本は米英が原油を略奪対象の資源としか見ずに、それなりの価格しか認めなかったことに対して、その潜在価値を正確に理解してそれを有効利用する道を見出し、活路を得たといえる。

しかしながらこの政策が成功した背景には、前提条件として原油の価格が、米英により意図的に抑えられたことにより、日本から見れば意図せぬ幸運に恵まれたも事実を直視しなくてはならない。今ドル政策の失敗により米英は原油価格のコントロールの役割を自ら放棄してしまった。そして禁じ手である余剰ドルの受け入れ先として原油を利用してしまったのである。そして投資銀行が運用する余剰ドルは未だに他の資源が持っている機能と比べ、原油の持つ豊富な機能を考えればまだ割安との考えから、どんどん投資される、結果として余剰ドルのすべての行き場が落ち着くまで原油が高騰することになる。そして実はその最大の被害者は今まで原油安に安住をして来た、日本の石化業界やそれを購入した自動車業界など日本の主要産業なのである。また一ヶ月も漁船を走らせて海外にでて漁労をして、もどってきても十分に利益を確保してきた来た、遠洋漁業なのである。

今日本人の多くはこの原油問題を他人事にように考えているが、実はもっとも影響を受ける恐れがあるのは我々日本人であること、このことは肝に銘じておかなくてはならないと思う。今ここで我々が何もしないことは、日本の没落に直結することを再度しっかりと考えるべきであると思う。

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