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September 15, 2008

五人の候補者への提言 Vol.173

本日の新聞報道によれば、麻生氏の総裁への就任がほぼ決定的になったとのことである。これまでメディアは何回も特集を組んで総裁選を盛り上げようとしたが、現実にはたいした議論も行われず、財政出動か否かとか、赤字国債を追加発行するか消費税を増税するかといった不毛な論争だけで結末を迎えようとしている。ところで本日我県の代表的な地方紙のコラムに孔子の政治に対する忠言が出ていたので興味があり、関係するブログを調べてみた。非常に示唆に富んでいるので、その内容を候補者に贈呈したい。まだ総裁選まで時間があるので日本の将来のために、しっかりと読んでいただきたい。

子貢が政治の要道を問うた。孔子は、「食糧を満たし、軍備を充実し、人民に信義を持たせることだ」と答えた。子貢は、「国状からして三つ同時進行が無理だ としたら、何を後回しにすべきでしょうか?」と問うた。孔子は、「軍備を後回しにしよう」と答えた。更に子貢は、「国状からして残りの二つさえ同時進行が 無理だとしたら、どちらを後回しにすべきでしょうか?」と問うた。孔子は、「食糧を後回しにしよう。食糧が不足すれば餓死する者も出て来ようが、食い物が 有ろうが無かろうが、人は皆いつかは死ぬものだ。もし人民が信義を失ってしまったら、禽獣と同じになって、人間社会は成り立つものではない」と答えた。
ブログ:http://eightmiamor.blogspot.com/2008_03_01_archive.html 引用


孔子の弟子である、子貢が孔子に政治の要を質問したところ、孔子は食の確保と、軍備の充実そして人民の信頼をあげている。そしてその中でもっとも重要なのは人民の信頼としている。ところで今回の総裁選を見ていると、果たして財政出動や消費税の増税についての議論が、国民が期待する政策論議だったのであろうか疑問に思う。また現段階で早々と選挙の帰趨がはっきりし、それも大本命が決まるとなると、今回の総裁選は形式だけであったのかと感じる。即ち財政出動や増税はいずれも過去の政権が提唱し実施して来たことであり、結果として今の停滞を招いていることを国民はよく知っているからである。また同じことの繰り返しであれば本命の麻生氏が選ばれて当然である。

ところで改めてこの孔子の言を読んでみると、現在に至っても政治の要諦は変わっていないと感心する。即ち一国の政治を預かる為政者にとって、食、軍、及び民心の掌握がその核にあることは今の時代でも変わらない。一方戦後の日本に対してこの三要素を当てはめてみると、本来独立国である筈の日本がこの核の部分で戦勝国米国の干渉が極めて大きいことがよく分かる。具体的に指摘をしていきたい。

米国が戦敗国日本に持ち込んだ思想はいうまでもなく、自由と民主である。しかしこの思想は儒教を基にしてまとまって来た、東アジア国家には極めてなじみにくい思想でもあった。即ち自由とは何も制限が無いという意味であり、民主には君主が存在しないという意味になる。したがいこの思想を国是として受け入れた時の日本政府はこのナイナイ思想を実現しなくてはならないという巨大な重荷を背負う事となるのである。これに対して中国では自由な民主思想はありえないとして、これを民主集中と意訳した。即ち政府は民主が集中した結果の集合体であるという概念である。しかし日本人は敗戦のショックとともに、信ずる思想を失い、彷徨することとなり、そこで命綱としてすがるものとして、形ばかり天皇を象徴として立てることで、国体維持が出来たとして、何の躊躇も無く、このナイナイ思想を受け入れてしまったのである。しかし実際に何も制限が無いことはありえない、そこに現実として存在したことは米国の干渉を無条件で受け入れる米国絶対主義であり、そして日本が生き延びるために自らが被支配者の奴隷であることを甘んじて受け入れるに等しい厳しい事実であったのである。結果としてこれが幸いにも戦後の日本を経済復興に向かわせることになったが、一方でその後の目標喪失という泥沼を生む背景へとつながっていく。それでは食、軍、民信について一つ一つ指摘を加えたい。

食:太平洋戦争で廃墟となるまでの損害を受けた日本は、食糧の生産力を失い、飢えに苦しんでいた、そのときに米国は援助と称して、即効性のある炭水化物である小麦粉、及び蛋白質がとれる脱脂粉乳を大量に日本に供給した、ほかに食べるものがない日本人はこれを受け入れ、徐々にだが小麦食に慣れていったのである。日本には元来うどんやソバなどの小麦食文化はあったが、戦争直後の大量受け入れはこの伝統すら変えることになった。大量の小麦と脱脂粉乳を受け入れた結果、パンと乳製品に頼る文化が普及して、日本は戦後の復興とともに米国産穀物の最大の受け入れ先になったのである。一方米国はアルゼンチンやオーストラリアなどの新興輸出国に生産コストで対抗することができなくなり、その結果により一層の機械化や化学化を推し進め、コスト低減だけを意図した食糧を作り、これが人体によくないとして日本人の間に不満を招くと日本に畜産業を広め、動物用に飼料を大量に供給することで、日本の食糧の支配を強めていった。この政策に対して自民党政権は受け入れるしか方策はなく、且つ粘り強い日本の農家は出来る限りの智恵を絞って、努力をおしまず、新しい農業を受け入れ発展させて来たのである。そして日本には、米国が意図した機械化、化学化が進み、日本は原油の消費国という面でも米国の思うとおりに成長を遂げたのであった。その間日本の農政は一貫して米国の言うなりに動き、米国の期待する事業には多額の予算が配分され、そうでない部分には一切の予算支援はなかったのである。その結果米あまりが生じ、米国の圧力がより強まった2004年の食管法大改正によりほとんどの規制を撤廃してしましまい、基本的に自由化したのである。そして現代に至っているのである。こうして日本は米国製の安価、低品質の穀物の受け入れ先として最大の存在となったのである。

軍:戦後日本はGHQの指導により世界に冠たる憲法9条を有する平和憲法を採択した、そして不戦の誓いを全世界に対して行った。しかしながら朝鮮戦争による、米国と中国・北朝鮮との戦争やベトナム戦争、冷戦の勃発により米国は日本を共産主義に対する防波堤として認識し始めた、そして平和憲法と精神と完全に反する、自衛隊を合法化させ、軍隊を復活させた。そして自国の軍事政策を推進するために沖縄を始め、全国各地に米軍基地を維持することを勝手に決め、その上で日米安保条約を発効し日本における軍事基地の維持を恒久化した。その後、日本政府に対してその基地の維持費用の大半を負担させる暴挙にも出ている。そして米国の軍産複合体は米国政府経由、日本政府に対して米国製の兵器を有無を言わさずに購入させ、暴利を得ているのである。そしていまや自衛隊は完全に米軍の二軍として機能を自他共に認め共存している。また防衛庁の防衛省への昇格は、この自衛隊を日本の軍隊として政府が所有することを正式に認めたものである。

民信: この食と軍の現実をみるに、日本の食と軍は米国に支配され、その影響下にあり、これは日本が米国に依存する傀儡国家であることを意味している。しかしながらこの傀儡政権としての政策を推進した、自民党政権が、長期にわたって執政党として機能していることを考えると、これは日本国民がこの政策を支持したからに他ならないのである。そしてそれを受け入れた背景には戦後の経済復興があり、この事実が国民の信頼を得ることにつながったのである。

ところで日本の経済復興が実現したもう一つに理由に、米国の他国を圧倒する超大国としての強さがあったことは、いうまでもない。すなわち日本は米国の政策を受け入れ、その上で米国人が好む商品を安価に製造して供給し、そして米国が発行するドルを稼ぐことで豊かになることが出来たからである。しかしながら米国は自国の仕組みを過大評価し、90年代には誰の目にもその凋落が目立つようになる。特に原油利権の確保への過度の取り組みが、一部のイスラム原理主義者を敵にまわすことにつながり、中東諸国との間で、種々紛糾を招くことになった。その後国際組織化したイスラム原理主義者はケニア大使館の爆破事件などを発生させ、次第に反米テロ行為をエスカレートさせ、それが911の大惨事を生むことになったのである。これは言い換えれば自分の実力にうぬぼれていた傲岸不遜の米国が、自国の経済力の相対的に衰退を認めようとせず、無視した結果安全保障においても他者に足を救われる状況になったことを意味している。これに焦ったその後の米国はアフガンにおけるアルカイダ殲滅、またそれを助けていると思われていたイラクのフセイン大統領を大量破壊兵器の所持を理由に攻撃し、軍事力を持ってイラクを破壊した。しかしそれが単なる濡れ衣であることが分っても、何も反省することなく独善的に米軍をアフガン、イラクに派遣しつづけている。一方日本に対しては、従来どおり資金の提供を求めるばかりでなく、インド洋やイラク、アフガンへ自衛隊の派遣すら要請している。これは要請という形式を取っているが実際は、命令であることこれは日本人すべてが理解していることである。そしてこの動きを積極的かつ受け入れ全面的に推進したのが小泉元政権なのであり、他方その要請をねじれ国会の中で受けきれずに投げ出したのが、安倍・福田両政権なのである。

小泉政権時代に進められた数々の親米政策は一時的にも米国を安心させ、喜ばせた、そしてサブプライムローンという打ちでの小槌を手にした米国は日本からハイブリット自動車を始め、多くの工業製品を買いあさった、そして日本の企業にも、つかの間の繁栄をもたらした。しかしその打ちでの小槌が実は詐欺にも等しいことが世界に知れ渡ったとたんに世の中は変わってしまった。今まで意図的に低価格に押さえられ米国の世界覇権維持に貢献してきた、原油や食糧の価格が一気に高騰して、今までの自由貿易体制に終止符が打たれ、それぞれの生産国での囲い込みが始まったのである。そして日本に対しては米国が考える世界支配への軍事面での協力を日増しに求め、一方では自らが取り決め日本に受け入れさせた、平和憲法をないがしろにしているのである。

ここまで書いて、再度5人の総裁候補の発言を吟味してみよう、麻生氏以下石破氏以外の4人は一切日米安全保障やインド洋派遣についてはコメントしていない。これは即ち、意図的にこれらの軍事に直結する話を避けようとしているのである。そして相変わらず米国が強かった時代の残像を追い求め、経済における成功体験にすがり続けようとしているのである。しかし残念ながら今客観情勢は明らかに異なっている。米国が執拗に日本に迫るインド洋の補給艦の派遣継続は、裏を返せばそれだけ米軍の力が弱体化していることに他ならない。また米国産牛肉の相次ぐ協定破りなども同じく米国の産業の弱体化を示している。そして5人の候補は一致してこの米国の弱体化という事実から国民の目をそらそうとしているのである。騙されてはいけないと思う。このまま過去の成功体験を踏襲した失政が続けば、国民は戦後復興神話が崩れたことを悟り、孔子の言うところの政治のおける最も重要な要諦である国政への民信が消えてしまうのである。

ところで今の米国の弱体化が思いもよらないチャンスを日本の農家にもたらしている。それは原油の高騰によりフードマイレージなる考え方が提唱され、かつ昨今の穀物価格の高騰により米国産の食品を購入することが難しくなっているからである。その結果、日本人には国産食品の重要性を改めて認識する人が増えている。これを追い風と捉えてまず、日本は食においての米国からの独立を目指す絶好の機会ではないだろうか、そして総裁選に続く総選挙でそれを掲げる候補を選ぶことでこの道を確かにしたい。千里の道も1歩からである。そして次に軍備についても、米軍からの自立をしっかりと具体的な目標をもって、目指すべきである。そして沖縄を始め各地に存在する米軍基地の閉鎖を一つ一つ進めるのである。直接的な交渉がやりにくいのであれば米軍を立てる形で自衛隊への漸次移牒でも構わない。そして長期的な視野で、日本は軍事においても、独立国として自立することを目指すのである。そうすれば時の政権に対する民の信頼も当然強くなり、日本は政治的にも強固な国になることができると思う。

今こそ戦後の復興と経済成長のへのノスタルジーから早く脱却し、新たな世界へと足を踏み入れることを、この五人の候補者に期待したい。そしてそれが適わないのであれば小沢党首の民主党に期待する。その意味で今から総選挙までは今後の日本を行く末を決める上で、極めて重要な時期なのである。

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