何が詐欺で、どこが博打か?2 転売とレバレッジ Vol.175
汚染米の問題がマスコミをにぎわせている、これは先の残留農薬規制法によりそれ以前に輸入し在庫していた中国米などに規制値を上回る農薬残留が認められ、その米在庫を管理していた農水省が、工業用途である糊?向けに限定して格安に販売していた、汚染米が密かに食用として転売されて、我々の口に入っていたというスキャンダル事件である。もっとも農水省はこの行為を問題であると認めながら、一方では人体には影響ないという発言を繰り返し、どうもこれは既知の事実であり実際には同省により黙認されていた事件なのかもしれない。筆者はこの事件を耳にした際、すぐに思いついたことにそれならば遺伝子組み換えの大豆については、転売され醤油や味噌、豆腐、納豆に使用されていないのかと疑問に思ったが、これについては別途言及したいと思う。
ところで上記の事件が明らかになるにつれ、この問題の本質を知るためには、転売という行為についてもう少し知る必要があると考えるようになった。即ち農水省から汚染米を仕入れた三笠や他の会社には明らかに、この汚染米は工業用糊だけでは消費するにはあまりにも多すぎるという認識が最初からあったのではないか、そしてその多くを本来の用途ではない食用として利用するために、第3者に実態を隠して転売することで完売を目論見、一儲けしようとしたのではないかと感じている。即ち瑕疵のある商品はそのままでは売れにくいので、まずこれを小分けして、食用の米を扱っている会社に農薬汚染米という実体を隠蔽した上で安いコストだけを大きく宣伝し、転売をしたのではないだろうか? そしてユーザーについてもその事実をうすうす知った上で、彼らが購入した別の正常米と混用し、農薬残留農薬の数値を薄めることで、販売し利益を確保しようと画策したのではないだろうか?実はこの小分け分割した上で転売という手法は、今回のサブプライムローンの問題において潜在リスクを回避しようとした投資銀行が行った手法そのものである。即ち住宅ローン債権を証券化したデリバティブ証券について、もっともそのリスクを認識している投資銀行は、これを自分で持ち続ければいつかは破綻することを十分に理解していた。そこで破綻が起きる前に出来る限り多くを他者に転売したいと考えていた。しかしながらこれをそのまま売ったのでは顧客の不審を招き思う通りには売れない、そこで思いついたのが、自社が販売する他の商品や金融ファンドにこれを小分けにして紛れ込ませ、出来る限り多く早く売りぬこうとしたのである。そしてそのために住宅ローン証券を紛れ込ませた、投資ファンドの配当を出来る限り高くして、投資家の購入意欲を刺激したのである。その結果忙しさのあまり細かな内容を精査しない、一般の投資家は配当の高さのみに注目して、同証券が組み込まれているファンドを買いあさった、そして米国政府が発表する住宅購入率の上昇など表面上の良い知らせを信認の糧として、ますます購入数量を増やしていったのである。これは商品の内容を意図的に隠蔽しよいところのみを説明して購入を迫るという、まさしく詐欺の手法であり、その結果この問題は極大化していったのである。
一方この問題を実体の数倍いや10倍に拡大させた、手法にレバレッジ(梃子)がある。これは梃子を使えば1の力でも10のものを動かすことできることが由来となっている。即ち、上記の投資ファンドを購入したいという顧客が現れた際に、手元の資金では顧客が100万円分しか購入できないことを知ると、即座に同顧客に対してレバレッジという手法がありますよと勧める、それは有体に言うと、必要な金利分を予約金として顧客が差し出すことに対して、通常より有利な金利の融資を手配して、追加して購入する資金を手当てするというものである。仮に顧客が100万円分を一口とした投資ファンドを自己資金の100万円分でそのまま購入すると一口しか変えないが、この100万円をレバレッジの手法を利用して購入に使えば、仮に資金の調達金利を3ヶ月2%として100万円をレバレッジ手数料として提供し融資を受ければ顧客は3ヶ月間50倍の5000万円分すなわち50口の投資ファンドを購入することが出来るのである。そしてその50口が大当たりすれば、当初の50倍の利益が入ることになる。しかしながらこれは勝負に勝った時の話であり、逆に負けると50倍の損失をかぶることになる。これがレバレッジであり、まさしく博打なのである。
今回のあげた例は極めて単純化したものであるが、実際に起きていることもその手法や用語の違いがあっても実質には大差はないと思う。それは投資銀行が自ら発明・開発したデリバティブをいかに顧客に対してその実体を隠蔽し、すばやく転売するかが目的であるからである。そして何故、これらに頼らなくてはならないかというと、これは投資銀行自らがデリバティブ証券の問題点を十分に把握しているにもかかわらず、多くの利益が獲得できるという一点のみを顧客に説明し、デリバティブを販売し、それを現金に還元して後は逃げるという詐欺の手法に頼った仕事をしているからである。そして同時にレバレッジの手法を最大限に利用して、博打を打たせて、その取扱総額を飛躍的に拡大させるのである。
これは米英のドルによる金融覇権の体制の中、自己規律が無いままに、無制限に発行し続けた、余剰ドルが大量に存在し、その落ち着き先を求め続けている現状の中、それを何とか実体経済から隔離した、金融デリバティブという仮想の世界に閉じ込めておくために投資銀行が開発した手法であり、結局米英両政府がこの仕組みに頼っている限り、このような問題が永遠に続くことを忘れてはならない。そしてそれは実は、その米英の両政府さえも、黒幕として裏に存在している国際金融資本家に操られていることを認識しなくてはならないのである。そしてその事実は米国の中央銀行即ち世界の中央FRBは、先日倒産したリーマンブラザースを始めとする国際金融資本家が保持している投資銀行により所有されている事実が示しているのである。そして今回の事件についても、投資銀行いや国際金融資本家からすれば、リーマンが倒産しようが、メリルリンチが買収されようが、代替はいくらでもあり、大きな問題ではないである。彼らがいつも気にしている関心事は唯一点、如何に、彼らがFRBを通じて発行している米ドルの発行残高が増えるかだけである。即ち唯の白紙台紙が、どれだけ多くの価値を持った、ドル紙幣に生まれ変わることが出来るかである。それは、今回の米財務省が発表した救済策は、いろいろと理屈や説明をつけているが、実体はいずれも新たにドル資金を発行しそれを注入することであることを見れば明白である。彼らからすればAIGに900億ドル米国政府が支援すると聞いてきっとほくそえんでいると思う。そしてポールソン財務長官を彼らの思い通り動く手下として、その有能さを賞賛しているのであろう。そして次にポールソンがやることは米国内のインフレを避けるために、貿易黒字国の日本と中国及び産油国の雄であるサウジに対して、追加発行した巨額の米国債の受け入れを頼むことである。結果としてドルの追加発行の付けを回されるのは我々なのである。
世界の各国がドルを受け入れ、その総額が増える限り、何が発生しても、損失を蒙るのはドルを必要とする受益者であり、ドルを支配する発行者である彼らの懐は豊かになるばかりなのである。我々から見ると、これこそが本当の詐欺であり、この企みを漫然と受け入れることは最大の博打ではないだろうか?
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