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September 19, 2008

お金と宗教の物語 Vol.176

キリスト教がローマ帝国に公認されたのは313年のコンスタンチアヌス一世が発布したミラノの勅令が始まりです。その後380年にテオドシウス帝が国教の宣言をしました。それまでのローマは軍事力とそれにより得られた奴隷を富として強大な帝国を作り上げました。即ち当時の奴隷は貴重な生産力であり、植物系食糧の獲得手段として極めて重要だったのです。この仕組みは欧州では中世まで農奴として残っておりました。しかしながら周辺の異民族の軍事力が強化され、ローマ帝国の衰退が始まりローマ人自身が奴隷として捉えられ、売られる事態となると、ローマ皇帝は軍事力に替わる統治の手段を求めるようになりました。そのための手段の確保が新しい宗教であったキリスト教の国教化につながります。その後の西欧社会はキリスト教徒であるか、異教徒(バーバリアン)であるかが、政治的正当性を判断する根拠になりました。

しかしながら社会経済体制は依然として農業と狩猟・牧畜を主体とした自給自足経済であり、ここにはお金が誕生する余地はありませんでした。一方で運送が可能な小麦やワインが食品として普及すると徐々に商品経済が生まれ、貧富の差が出てきました。またそうなると携帯が可能な貨幣の重要度が増しました。その結果、銀の需要が増えて来たのです。当時の先進国であるスペインやポルトガルは南米やアジアに対して略奪を企てました。そして必要な商品を略奪して、マーケットに流し、対価として、お金や金銀財宝を獲得して豊かになろうとしたのです。

一方で西欧社会の交易は歴史的に奴隷を貨幣と見なす、奴隷本位制を基盤としておりました。そして奴隷には当然のことながら寿命があったので、彼らの考え方の根底には貨幣には常に時間がたてば消滅するという概念(貨幣有効期限制)があり、突然の消滅に備えて、常に際限なく確保する必要があるという伝統的な考えに縛られておりました。その結果彼らの略奪には際限がなく、可能な限りすべて収奪するというすさまじい野蛮な行為が横行しておりました。そしてその動きに拍車をかけたのはスペインの植民地であった中南米での銀鉱山の発見です。これにより西欧に莫大な量の銀が入り込み、欧州は奴隷本位制から一気に銀本位制経済に移行したのです。しかし貴金属である銀は消滅しません、その結果インフレという思いも拠らぬ災禍を経験することになりました。

そこで以前からフランクフルトのゲットーで、銀と他の商品を交換することで生業を得ていた、ロスチャイルドの出番が回って来たのです。彼らの一族は時の欧州の各名門国家に財務責任者として取り立てられ、始めは銀を本位とした紙幣の発行を担当しました。そして時を同じくして起こった、宗教改革により、キリスト教は、それまでの政治のために領民を束ねる役割から、銀本位制を普及するための役割、即ち貨幣経済・消費社会建設を推進する役割へと大きく転化していくのです。そしてそれを先頭になって指導したのがカルバン派でありユグノーであり、ピューリタンなのです。一方前述したとおり、中南米の銀が順調に採掘され欧州に供給されると欧州においては、大量の銀が供給されたことにより急激なインフレが発生しました。その動きにすばやく対応したのが、ロスチャイルド一家であり、かれらは解決策としてはこれまでの銀本位制を、希少貴金属である金による、金本位制に切り替え、インフレを克服したのです、そしてこの成功により、いよいよ世界の財閥に上り詰めます。また彼ら一族はたまたまユダヤ教徒であったので、世間はユダヤ資本と呼びますが、その後は、彼らに対する宗教的な締め付けは厳しくなく、ユダヤ教からの改宗プロテスタントが多く生まれました。これが所謂福音派(Evangelical)といわれる人たちの元祖です。そして彼らの考え方は現在米国で主流となるまで発展し、今では同国では単にプロテスタントと呼ばれる、共和党の支持基盤となっております。そして彼らは1907年に米国における悲願である、FRBを設立して、世界をドルで制覇する体制を整えたのです。

ここまでが欧米におけるお金の発展とユダヤ資本の成功の物語です。

しかしその後、彼らは中国、日本という東アジアの文明国と出くわすことになります。そこで驚愕の事実を知ります。東アジアでは古より、金本位制は採用されておらず、国家の信用で紙幣が流通する、不換紙幣制度が国民の信頼を得て運用されていることを知るのでした。この事実に彼らは、一旦は落胆し憔悴しますが、すぐに自ら新たなる野望を持ちました。即ち不換紙幣が発行できれば、元手がゼロでも、無制限に紙幣を発行することが出来ることに気がついたのです。そして戦後米国が超大国としての地位を固めた、71年にニクソン大統領を背後で操り、世界に向けて、時の軍事力を背景に強引にドルの不換紙幣化を宣言し、ドルによる世界支配を推進しました。しかし重要な点を見落としていることに気がつくのはそれから30年後となります。それは不換紙幣を管理するには、儒教の教えである、仁と徳の精神が基盤として存在する根底条件が必要であることです。これは奴隷経済をその根源に持つ人々には容易に相容れない考え方です。即ち仁というやさしさと徳という自ら節制を必要とする自己規律は、彼らが奴隷を支配するにもっとも忌み嫌う思想だからです。即ち雇用者が優しければ奴隷の管理はできないのです。したがい彼らはこの条件を無視して、決して受け入れることをしませんでした。その結果、不仁と不徳により、ドルの流通量は限りなく増大し、正体不明のいろいろな金融商品を開発し市場に流通させた結果、すぐに株式や債券の市場は満杯になりました。そして新たなる受け皿が必要となったことにより、詐欺にも等しいデリバティブを開発し、転売やレバレッジの手法を駆使して、膨大な金額の投資の受け入れを行いました。そして今では、デリバティブも手一杯になり、今度は庶民の生活に必要な、原油や食糧までもが投資の対象という受け皿となったのです。しかしもはやここまで来ると、世界の多くの人々が、このようなドルの価値に対して疑問を持つようになったのです。

一方でかつてのアジアの文明国の内、大陸を支配していた国家はこの事実をよく理解しており、先のオリンピックの開会式で世界の首脳に向けて自国は仁と徳の国家であることを宣言したのです。即ち現在のドルによる新資本主義及びグローバル体制に対して一線を隔すことを明確に表明したのです。他方もう一つの島国では、長期安定政権を与えられた自民党が、米国の傀儡政権として、これらの拝金主義の実体を国民の前に晒すことを回避してひたすら国民の目を欺き続け、黄昏のドル体制に真剣に対峙することを避け続けているのです。

日本人ならば、我国の基礎作りに貢献した天皇のお名前が仁徳天皇であることは誰でも知っております。そして日本は天皇制が神道と一体化して、それが現代まで連綿と継承されている国家です。先の敗戦の際、時の政府が他のものはすべて失っても、唯一国体維持の手段として体を張って、残した天皇制、そしてそれこそが永遠に仁と徳の重要性を国民に喚起している英知、その財産を今こそ再認識して、使うべき時ではないでしょうか?これを実行できる政治家の出現が求められます。

お金と宗教の物語はこれから面白くなります、いや面白くしなくてはなりません。

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