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September 24, 2008

福田辞任の背景は米国の干渉であった。Vol.178

麻生新総裁が選挙に勝利して、鍵となる自民党の幹事長人事、及び内閣官房長官が決まったという報道にあわせるかのように下記の記事が、地元紙の2面に掲載された。洞爺湖サミットにて福田首相がアフガン派兵をブッシュ大統領に対して拒絶した後に、米国国防省よりあからさまな政治的干渉があったことを示している。筆者はこれこそが、福田首相の突然の投げ出し劇の背景であり、同様の背景が安倍前首相にもあったものと見ている。まずは同記事を引用したい。

政府にアフガン派遣の再検討迫る 米大統領特使
09月24日(水)02:05 政府が新たなアフガニスタン復興支援策として検討していた自衛隊のアフガン本土派遣を見送ったことを受け、ブッシュ米大統領特使が7月後半に来日 し、政府に本土派遣の再検討を求めていたことが23日、分かった。特使は「ロシアを除く主要国で部隊をアフガンに出していないのは日本だけだ」と指摘、イ ンド洋での給油活動だけでは不十分との認識を示した。
 日米関係筋が明らかにした。アフガン本土への自衛官派遣をめぐっては、福田康夫首相が7月6日に北海道洞爺湖町で行われた日米首脳会談の際、ブッシュ大統領に断念を伝達。特使派遣はこれを受けた措置だけに、米政府が強い不満を抱いていることが浮き彫りになった形だ。24日に発足する麻生新政権に対し、米側があらためて対応を求める可能性もある。
 

関係筋によると、大統領特使はボビー・ウィルクス国防副次官補(中央アジア担当)。ウィルクス氏は外務、防衛両省幹部らと会談し、日本政府の本土派遣断念に不満を伝えた上で、自衛隊による新たなアフガン支援を検討するよう求めた。一部割愛=信濃毎日新聞WEB版

本稿では、従来より日本の対米従属政策について触れてきたが、ここまで露骨な政治的干渉があるとなると、これはすでに国難の様相を呈している。またこの報道が事実であるとすると、7月の事実がこれまで意図的に隠蔽され、麻生新総裁決定後を見計らったように発表されたことになり不快感が残る。そしてその意図は総裁選挙中の発表は避けることを目的としたものと感じてしまう。即ちこの報道が、少なくとも総裁選挙中にそれも全国紙に発表されれば、当然のことながら各候補者が本件に対するコメントを求められることになり、態度をはっきりと示さなくてはならないはずであったが、残念ながら総裁選の勝敗が決まった後であり、候補者の考えを質す貴重な機会を与えられなかった。

私は以前から自民党政権のもっとも重要な任務は、日本を米国の思う通りに動く国に作り上げることであると認識していたが、この記事を見ていよいよ自分の認識が正しいと自信を持つようになった。歴史を振り返れば、日本が朝鮮半島の覇権を時の宗主国清国と争い、勝利して獲得した遼東半島に対して、1895年に仏・独・露の三国が自分の権益が侵されるとして公然として干渉し、日本に対して腕力で返還を要求し、さすがに軍事力で適わないと恐れをなした日本政府がこれを受け入れた屈辱の歴史がある。その後日本はこの屈辱を晴らすために軍備を拡充し、10年後にはロシアと戦争を行い敢然と復讐を成し遂げたのである。その後も米国などの列強の干渉に立ち向かうために軍事増強を目指し、結局太平洋戦争に敗れた歴史があるのである。即ち日本の近現代は欧米列強から如何にして自主独立を確保するかという歴史であった。もちろんその過程で行き過ぎた軍部の行為を黙認して不必要な戦争を起こし、国民や諸外国に損害を与えたことは事実であり反省すべきではあるが、基本的な背景としては列強からの干渉を避けるための、独立維持がその一貫した政治姿勢であったことを疑う余地は無いのである。

しかしながら日米戦争による敗北は、そうした独立国としての誇りと気構えをなくしてしまった。戦後の飢えと荒廃のなかで経済復興を第一として、米国の属国化を選択した国民はそれを推し進める、自民党政権については、仕方の無いこととして支持をし続けたが、飢えの解決と復興を達成して世界の先進国となった後も相変わらず米国の属国でいることをよしとして受け入れている。その結果、将来の日本を背負う、子孫の世代の夢と希望を奪うことになった。我々大人が行って来たことは経済的な復興のみで、政治的に奴隷化を受け入れたままで、政治的独立には、なにも努力せずに、自由に物事を決められない祖国をそのまま負の遺産として次の世代に継承することになるということを、まったく他人事のように考えている。実際この国に巣食う閉塞感、即ち夢のない将来という問題は、まさしく今の日本の政治体制に起因している問題であるのである。これを理解すれば、すぐにでも、我々は全精力とコストをかけて、米国よりの政治的独立を目指すべきなのである。そして一刻も早く、他国からの一切の干渉を厳として拒否する、独立国家を作り上げるべきである。これこそが政府の役目ではないだろうか。

福田首相と安倍前首相はそれぞれ実父、実祖父を首相にもつ2代目首相である。当然人脈も資金力もあり、家柄として首相になることは申し分がない、しかし一方で実父、実祖父がそれぞれに受け入れて来た対米従属路線の堅持という役割を持つことも彼らの宿命であった。そして彼らには、米国の干渉を如何に自然な形で受け入れるかという役回りを求められ、そしてそれが国民をして正しいこととして受け入れさせることこそが、彼ら2代目首相に与えられた仕事であった。しかしながら、日本の経済力が拡大し、あわせてそれ以上に米国の実力の凋落がはっきりして来た現在、米国にはかつての余裕はなくなり、その凋落を補うかのように日本に対する命令口調の指示が及ぶことが多くなった。そして自らが決めた平和憲法を破ることすら強要され、米国に追随すべきという政策を押し付けられている。歴代の自民党政権が如何に国民に対して、詭弁を弄して、自衛隊補給船による給油活動は派兵でないと言い張っても所詮は派兵には変わりは無い、しかし国民は苦しい政府の胸の内を察してこれまでは許容してきたのである。しかし一方では平和憲法を越えた、戦争は絶対にできないとの強い決意を、国民は持っている。そしてその民意を受け入れて米国の要求を断固断る決断をしたのが福田首相であったと好意的に理解している。しかし米国は我国の実情は考慮しない、自分の都合だけを振りかざし、その後も容赦のない干渉を続けた。その結果、福田首相が出した応えは投げ出しであった。これは執拗に干渉を続ける米国に対する抗議の意志表示であると私は考えている。また一方でここまでが叩上げではなく、先代の遺産を受け継いだ、2代目首相のひ弱さであり、限界であると思う。そして醜態を国民の前に晒してしまったのである。これは誠に残念なことである。これは即ち、独立国家の領袖であるべき自身と、一方で米国の干渉を無条件で受けなければならない傀儡国家のリーダーである、二つの自分が存在するという矛盾に悩みつづけていたのである。そして首相としての決断が、アフガンへの派兵断念であったはずであり、補給船の派遣継続であったはずである。この重い決断を簡単に踏みにじった米国に対して愛想がつき、精魂も尽き果てて辞任を決めたのが真実ではなかったかと思っている。

ところで先月パキスタンのムシャラク大統領が辞任した、これも相次ぐタリバン・アルカイダ掃討戦についての、米国の干渉に対して、これ以上親米路線はとることが出来ないとした、抗議の意志表示であった。しかしながら次の大統領も早速米国を訪問し、ブッシュ大統領と行動をともにして、タリバン・アルカイダを掃討することを表明している。この動きを知るに、今回米国が我国政府に対してアフガンの派兵を要求したことも合点がいく、そしてこれらの一連の事実は、我国の立場もパキスタンと同じであることを示しており、この二つの対米属国がまったく同じ悩みをもっていることがよく分かる。

本日国会で首相に任命される麻生新総理大臣の立場も前の二人の二代目首相と同じく、先代の日本の戦後復興への功績を背景として擁立された点でまったく変わりがない。そしてすでに既定路線となっている来月或いは11月の衆議院の解散総選挙は国民に対して、麻生人気を前面に出して、将来の日本が引き続き米国追従を容認するか否かを質すことを意図的に避けて、国民の追認を得るというのが自民党の目論見であると思う。一方対抗する民主党が仮に選挙に勝利して政権をとっても同じく対米従属路線をとるのであれば、日本の首相の苦悩は変わらない。一方でサブプライム問題の影響が比較的軽微であった、三菱UFJや野村證券が苦境に陥った米国投資銀行の商権の継承を表明し、彼らを救っている。これは日本の独立国としての存在を米国に示す絶好の機会ではないだろうか?そしてそれにより日本の立場が強くなるのであれば、多少の国税による支援や米国債の更なる受け入れは容認できるし、むしろ自信を持って進めてほしいと願っている。その意味では米国がサププライム問題で疲弊している、今が日本にとって戦後60年の呪縛から離れ、新たな飛躍をするチャンスなのである。

今、米国から距離を置き、自立することができる、指導力を持った領袖の出現こそが求められるのである。麻生自民党には多くを期待しないが、小沢民主党党首に果たしてその力があるだろうか?

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