中国30年ぶりの方針転換 第17回三中全会終了 Vol.181
先週9日より12日まで4日間に渡って中国共産党政治局が主催する、第三回中国共産党中央委員会全体会議が終了した。そして今回の第17回5ヵ年計画を含め向こう2020年までに、農村の経済の活性化と安定を図ることが方針として決定された。これは30年前の鄧小平が主催した第11回三中全会により外資導入、開放改革政策が決定され、外需による経済発展を推進して以来実に、30年ぶりの大規模な方針転換であり、農村地区の経済活性を促し、食料自給体制への復帰および内需中心の経済体制を志向する大幅な方針変更であると思う。12日日経WEBに掲載された報道を元に検討を加えてみたい。
(10/12)農村部の所得倍増へ 中国・3中全会が閉幕
【北京=尾崎実】北京で9日から開いていた中国共産党の第17期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が12日、農村改革を推進するための決議文書を採択し、閉幕した。都市部と農村部の格差是正へ、2020年までに農民1人 当たりの収入を08年比で倍増させる方針を確認。食品安全問題では、農産品の品質安全対策を強化する方針を改めて打ち出した。
中央委員会全体会議は、5年に1度の党大会の職権を代行する党中央委員会が、年に1、2回程度開いて政権の重要課題を議論する。第17期中央委員は昨年の党大会で選出され、昨年10月、今年2月と全体会議を開いており今回は3回目。
3中全会は中国の農業の現状について「国際競争に直面し、都市部と農村部の二元構造に基づく矛盾が深刻化している」と分析するとともに、農村部の 発展の遅れと収入増が難航している点を指摘。2020年までに都市部と農村部を1体化して発展させるシステムを作り、農業生産能力を高めて国家の食糧安全 を保障することなどを目標に掲げた。
中国という国は共産党独裁政権国家である。独裁政権の是非についてはここでは言及しないが、この制度により中国政府(国務院)は中国共産党の下部組織として位置づけられ、政府が執り行うすべての政策は共産党の決定に従う仕組みである。したがいその共産党の綱領を決めるこの中央委員会全体会議が占める役割は大きく、一般的にはこの会議の決定がすべてを代表していると見られている。ところでこの中央委員会全体会議は、まず中国の5カ年計画に基づいて開催され、今回の第17次五カ年計画では昨年の胡錦濤第2期政権が始まった時にまず第一回中央委員会全体会議が開催され、そこで党のトップである政治局員ほかが選任されている、その後今年の2月に第2回全体会議が開催されそこで、下部組織である国務院の枠組みが取り決められた。そして具体的に何を行うかを取り決めるのが、今回の第三回全体会議なのである。したがいこの会議での決定事項は、重要な全体会議の中でも特に意義を持ち重視される。実際に今の開放改革政策についても、1978年の三中全会において、鄧小平の肝いりで取り決められた政策であり、これが今日まで継続されている。
ここで当時の状況に一度時計の針を戻してみたい。当時1978年は73年に日中、中米の国交回復がなされ、日本では日中友好ブームが発生し、日中間では様々な交流がはじまった時代である。結果としてビジネスの分野でも新日鉄が上海の宝山製鉄に技術供与をしたりして、第一次中国ブームに沸いた年でもあった。中国はこの年より一気に外資導入、経済特別区の設定などといった、輸出振興策に舵を切り替え、その後中国各地で外資との合弁会社が設立され、今同国が世界の工場とまで言われるための礎を構築した時期であった。その後中国は大胆に欧米日の経済運営を受け入れ、取り込むことで今では社会主義国家という面影すらなくなっている。しかしながらその中国も今年の北京オリンピックの開催を契機に、輸出に頼る経済発展から内需振興型の経済発展を目指す方向に変わりつつあることは確かである。また過去30年に渡り、人民に植え付けられた拝金主義思想は、多くの弊害を生み、特に農村部と都市部の経済的な格差はもはや無視できる規模を超越していることは誰の目にも明らかになっている。そして何よりも今般の米国発の金融危機は日本の経済体制の仕組みを学びそれをある意味では模倣し、ドルを獲得することが豊かになるというドル拝金主義の限界を、中国政府に悟らせ、その結果ここでドル経済から一定の距離を置き、内需を拡大することで国を運営するという新しい考え方を30年ぶりに提唱したことは大いに注目すべきことであると思う。
CRIのWEB記事などによると、2020年には農民の平均所得を今の2倍にするために、その間農業、農村、農民の三農の振興を重点政策とすると明記している。そしてそのために予算を重点配分し、且つ必要なエネルギー資源や資金を、インフレを抑えながら適切に供給するとしている。ということは、今まで米国を中心とした先進国市場への輸出を経済発展のエンジンとしてきた中国の政策が劇的に変化することも、念頭に入れる必要があるということである。これは同時にこれまで中国製品にその供給ソースを頼って来た先進国にとっては、その供給が減少することを意味しており早急に代替の供給ソースの確保に向かう必要がある。その意味では日本にとっても今後国産品の需要が高まることも予想され、疲弊していた国内の製造業の経済的な条件が良くなる可能性もある。
しかしながら、中国の劇的な方針転換により、米英が志向している新資本主義は最大のパートナーを失い、大きな打撃をうけることになる、それは中国が今までのように国策としてドル獲得を推奨しないことにより、米国向けの輸出は急激に落ち込むことが予想されるからである。また中国にとっては農村の経済を活性化させることが重要課題となり、今後は輸出型企業への振興策には制限が加えられることになると思う。一方で中国政府は、外国から農村を豊かにするための事業やアイデアを積極的に導入することになると思う。その意味では狭い耕地で効率的な農業を志向し技術を磨いてきた、日本が中国にとって役に立つときが来るかもしれない。
文革の嵐が吹き荒れ、毛沢東思想の名の下に徹底的に拝金主義をたたいて来た、中国が1978年の三中全会において劇的に拝金主義を容認し、親米国に舵を切り、ここまでの発展を遂げた。そして89年の天安門事件を乗り越えて、30年の月日が発ち、米国の経済的な弱体化と新資本主義の綻びが目立つこのときに、中国は自ら新しい政策を掲げ、経済的にも米国から自立しようとしている。この動きこそが、中国が独立国である証明であり、隣国である日本は見習う必要が有るのではないだろうか?我国はこのまま米国への追従のみ行っているのであれば、結果としてこれは国民に不利益をもたらすことは明らかであり、その点でかつて中国が日本が成し遂げた高度成長経済を謙虚に学び、自国に応用したように、現在の隣国の動きを真剣に勉強し、理解することが大切なのかもしれない。そして今の日本人にはこの謙虚さこそが求められると思う。今後の中国の動きに注目をしていきたい。
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Comments
中国が謙虚って。。。
米国に対しては厳しいこと言うけど中国に対しては甘いのではないですか?
天安門事件を乗り越えてって言うのもおかしい。
別に乗り越えてないし。
長い歴史のある大国ですけど、そういう国に引きずり込まれると
大変なことになると思いますよ。
Posted by: 桜子 | October 17, 2008 at 16:39
桜子さん、コメントありがとう。将来に向かって、米国と中国両方とうまく付き合いができるしっかりとした我国を目指しましょう。ところで私はEUの支持者でもあります。
Posted by: ドイツタロウ | October 17, 2008 at 18:39