支配者にノー オバマ氏金融危機を追い風に有利な展開 Vol.182
少し古い記事になるが、7月4日の産経MSNに全米ライフル協会(NRA)が共和党のマケイン氏の支持を明確にして、オバマ氏への反対キャンペーンに巨額の資金を提供するという記事があったことを思い出した。しかしその後の米国発の金融危機の深刻化は、キャンペーンにもかかわらず、オバマ氏を有利な展開に導いている。ここで再度同記事をおさらいしたいと思う。
銃ロビー団体、オバマ氏に挑戦 反対キャンペーンに巨額資金 07/04 18:49更新 記事本文
【ワシントン=山本秀也】米国で銃器所持の権利擁護を掲げる有力ロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)が、民主党の大統領候補に確定したオバマ上院議員への包囲を強めている。首都ワシントン(コロンビア特別区)の銃規制に「違憲判決」を下した連邦最高裁の新たな憲法解釈に勢いを得たもので、銃規制問題でオバマ氏を危険とみたNRAは、巨額の資金を投じた批判キャンペーンや同氏の地元シカゴの周辺で自治体の銃規制を片端から覆す法廷闘争に打って出た。
かつて俳優の故チャールトン・ヘストン氏が会長を務め、米国のロビー団体で圧倒的な存在感を誇るNRAは、11月の米大統領選に向けた政治活動に4000万ドルを投じ、うち1500万ドルを、銃器所持に対するオバマ氏の主張を批判する宣伝活動にあてる意向を表明した。NRAが、オバマ氏を「合衆国憲法修正2条が保障する銃器所持の権利に対する脅威」と認定したためだ。
NRAの主任ロビイストを務めるクリス・コックス氏は、政治情報サイト「ポリティコ」に対し、「NRAの会員はオバマ氏が大統領に選出され、銃規制派の最高裁判事を推すような事態になれば、(ワシントンの銃規制に対する違憲判決は)遠いものになってしまうと感じている」と語った。
連邦最高裁がこのほど示した修正2条に対する憲法解釈は、銃器を個人が所持する武装の権利を明確に認めた内容。判決の勢いをかって、NRAはカリフォルニア州サンフランシスコ、イリノイ州シカゴとその周辺の計5市町村で、銃規制条例の撤廃を求める訴訟を連邦地裁で起こした。オバマ氏の地元シカゴでは、約26年にわたり拳銃の所持が厳しく規制されていた。
有力団体からの圧力に、オバマ陣営では「個人の銃器所持に関する憲法上の権利は保護される」と強調する一方、銃器購入者の背景調査など、公共の治安を維持する法令の必要性にも言及している。過去の銃規制法案に対する対応を含め、こうした両論併記の立場や態度の振幅が、対立候補のマケイン氏やNRAの批判を招く源泉だ。
もともと、オバマ氏の支持基盤は都市部の知識人や黒人、若年層であり、銃器所持を根強く支持する地方の白人労働者層とは重ならない。このため、これまでの予備選では銃規制問題が争点として浮上しない戦術を取ってきたが、最高裁判決を受けたNRAの挑戦で、オバマ陣営は11月の本選に向けて新たな難題を抱えるかたちとなった。 2008年7月4日産経MSN=一部割愛
米国は言うまでもなく、歴史の浅い国であり、移民国家である、英国の清教徒が北米大陸に移民以来、作り上げて来た若い国家である、18世紀後半に東部13州によりアメリカ合衆国が誕生以来まだ250年も経っていない国である。そしてその間、南北戦争をはさんで、原住民に対する数々の侵略戦争を経て、現在の国家を形成させて来たのである。しかしそれだけに先祖代々、平和に住んでいた原住民にとって、突然攻撃をうけ、被征服者としてそれまで自分の持っていた土地を追われ、そして家族を殺された者の無念の気持ちは察しても有り余る位である。まず米国はこうした成り立ちをもっており、それもわずか150年ないし200年前の悲惨な事実が存在していることを忘れてはならない。そして一方の征服者であるアングロサクソン人は、一旦征服を成し遂げたが、被征服者たちの報復を常に恐れていた、そして世界にもまれに見る、個人が護身用の銃刀を保持する権利を認めて自分の身の安全を図っているのである。即ちこれは清教徒を中心とするアングロサクソン人やその後米国に移民した欧州系の移民たちが、自らがよそ者であり、その地位は安定していないことを認めているという実例でもある。しかしこのような現実をそのまま受け入れることは、米国人にとって誠につらく、やるせないことである、そこでその行為を正当化して精神安定を得ようとして採用したのが宗教であり、これが福音派プロテスタント教である。そしてその宗教は一方で国民のやる気を引き出し、政府への求心力を高めるために、金儲けには寛容であり、大いに儲けて大いに享受せよと教えている。即ち清教徒を中心とするアングロサクソン人は自らの置かれている立場が不安定であることを良く知っており、それを強化して、すべての米国民に正当化するために宗教を利用し、自らを奮い立たせて来たのである。ところでその後の米国の歴史をよく理解するために、ここでこの福音派プロテスタントを普及させた清教徒を中心とするアングロサクソン人を支配者と名付けておく。
米国が現在の北米大陸とアラスカにまたがる、領土を確定すると、支配者達は、政府に対して、自らが強国であることを示し、民心を安定化させるために新たなる拡大主義を進める政策を取らせる。その結果米国は東アジアへの進出して具体的な行動を取るようになるのである。特に地理的に海をはさんで隣国となる、日本と中国に対しては、重点的に介入を始めたのである。まずは日露戦争で泥沼にはまった日本に対して、米国は和解調停という形で政治的介入を試み戦争を終結させた。そして、その後は日本に対して軍事的圧力を掛け続けることで、軍事国家に誘導した。また中国に対しては、国民党政権が発足し、孫文が死去したことに乗じて、同政権への肩入れを始め米国の傀儡政権化を計っていったのである。そして総統である蒋介石を篭絡し、軍事的、資金的に、国民党政権を支援して、日中戦争を起こさせ、両国の同士討ちを目論んだのである。その結果日本は米国の圧力に対抗するかのごとく自国の軍事力強化を進めたものの、その燃油の確保は米国に依存したままで、不安を抱えており、それがABCD包囲網(アメリカ、英国、中国、オランダ)の完成とあわせた米国原油の禁輸措置により好まざる日米戦争に突入させられてしまったのである。そして日本は米国・中国という2大大国を相手に戦争をすることになり、惨敗を喫してしまったのである。一方米国が日米戦争に全精力を取られている間に中国では新たな動きが始まっていた、それは列強の支援をまったく受けない共産党が誕生し、日米戦争中に国民党としのぐ大勢力になり、主導権を握り中華人民共和国を建国したのである。これは支配者にとって大きな誤算であり、この結果米国の対アジア戦略は修正を迫られることになったのである。即ち中国に社会主義政権が誕生したことで、支配者のアジア戦略は見直しを迫られることになったのである。具体的にはどういうことであろうか、検討を加えたい。
ところで社会主義政治体制とはどういうことであろうか、これは一言で言えばアングロサクソン経済即ち支配者が画策する経済の影響を排除或いは大幅に制限した政治体制と言い換えることが出来る。即ち、第一次世界大戦中に突然ロシアに建国されたソ連はまさしくそれまで欧州の支配者であった英国が支配する経済から切り離された国家であり、同じく第2次世界大戦直後に建国された中華人民共和国も米国の支配者から切り離されたという意味で、同じ性格を有している。共にアングロサクソン人支配者の国家である、英国と米国は第一次世界大戦で欧州大陸国家が疲弊したことに乗じて、15世紀の大航海時代のカトリック教皇という支配者による世界のポルトガルとスペインによる2分割を先例として、20世紀に同じくアングロサクソン系プロテスタント教の支配者による、世界の2分割を画策したのである。即ち英国は欧州から、アフリカ、中東、そしてオセアニアまでを版図とし、一方新興の米国には南北アメリカ、パキスタンまでのアジアを譲ったのである。その結果支配者は米国政府にすぐに朝鮮戦争を起こさせ、そして中国、ソ連との領土を画定し、そしてベトナムへとその矛先を変えていくのである。一方第2次大戦で世界のほとんどの植民地を失った英国は経済的に衰弱し、それまで版図としていたオセアニアは英連邦という枠にとどめながら、独立させ、そして中東について原油利権の一部は確保したもののその覇権を米国の支配者に譲っている。その結果アフガン戦争やイラク戦争が米国の手で実行されたのである。
こう考えると米国の支配者はいまだに、自分の生存を脅かすものに軍事的攻撃をすることは、自分を守るべ行為として正当化されると考えている、そして自己中心主義の支配者は米国政府を自国が自らを善として他国を悪に見立てて攻撃させることで統治しており、それにより、その支配者の地位を保全し、正当化していることが理解できるのである。一方で世界中に広まった金融問題についても、これは支配者が米国政府を利用して、自らが発行する紙幣ドルを世界中に広めるための活動の結果の副作用であり、それにより経済的に世界を自らの配下におくことを意図しており、そのドルを使用した、米国民や同じく他国民が儲かろうが損をしようが関係ないという考え方が根底にあるということが分るのである。
ところで我々はこの歴史的事実に基づいて、米国が掲げる自由(Freedom)と民主(Democracy)という言葉の本当の意味についてよく考えなくてはならない。それは支配者から見て、自由とは我々が本来持っている、伝統的思想からの解放を意味していること、そして民主とは我々民衆に拝金主義を植え付け、金のためならば、何でも受け入れさせることであり、最終的には支配者の発行するドルによる世界経済支配を完成させることが目的であることを理解しなくてはならないと思う。
11月の大統領選で仮に米国民がオバマ氏を選択することになれば、これはまさしく今まで支配者に騙されて来た、米国民がそのまやかしに気づき、冷静に現状を見直し、銃による保身また拝金主義による歓楽を享受する過去の姿勢に決別或いは大きな軌道を修正することを意味しているのである。ということはこの選挙が示す意味は、今回の金融危機とイラク・アフガン戦争が米国民に与えたインパクトは想像以上に大きく、同国民が更なる領土拡大や拝金主義、享楽主義よりも、支配者を排除した、自らのための米国を求めた結果を示したことであると思っている。そしてそれは第二の建国にも匹敵する大きなうねりが米国に起きていることを意味している。今後米国がどうなっていくか大いに注目したい。
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