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March 25, 2009

日米同盟だけでは食っていけない。Vol.198

先月のことであるが、日本の月間の貿易赤字が過去最大になったとの財務省発表があった。
資源のない日本が今まで国体を維持する為に作り上げてきた貿易立国のモデルが、今回の金融危機により音を立てて崩壊しているように思う。まずは、2月25日のロイターの記事を引用する。

[東京 25日 ロイター] 財務省が25日午前8時50分に発表した1月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は9526億円の赤字となった。赤字は4カ月連続。赤字幅としては、第2次オイルショック時の1980年1月につけた8248億円を上回り、過去最大にとなった。ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、貿易収支の予測中央値は1兆1295億円の赤字だった。
 輸出は前年比45.7%減、輸入は同31.7%減だった。対米黒字は前年比75.3%減、対中国輸出は同45.1%減だった。

原因は言うまでもなく、対米輸出が減少したからである。即ち世界各地から資源を輸入して、それを米国が必要とするものに加工して輸出して、付加価値を得るという日本型の貿易立国モデルが、米国の金融恐慌により機能しなくなっているという言うことである。ところでそれならば今後日本はどうすればよいのであろうか?少なくとも今の時点で言える事は米国一辺倒の現在の政策では、米国経済が立ち直らない限り日本経済の回復はありえないということである。そしてこのまま日本の輸出の縮小が継続すれば、終いには日本には外国から輸入すべき外貨がなくなり、国民生活が困窮することも考えておかなければならない。我々は今こそそうならないために新たなる準備をしておくべきではないだろうか。

日本の貿易立国モデルというは、一言で言えばドル価値と原油を中心とする化石エネルギー供給の安定に支えられて来たと言っても過言ではない。即ち米国が化石エネルギーを無制限に好きなだけ確保して、それを米国民が湯水のごとく浪費してくれたおかげで、その原油から得られる燃油や電気を動力源として利用する消費財を輸出することが出来たからである。戦後日本は政府から民間企業まで、一致団結して米国人の志向を研究しそれにあった商品をどこの国よりも早く開発し、提供し続けてきたのである。そして一方で我国はそれにより得た外貨を消費して、米国風の現代生活を享受できたのである。そしてこの生活を居心地が良いと感じた国民は戦後ほぼ一貫して自民党政権を支持し、自民党政権はこの国民の支持を元に米国追従政策を実行してきたのである。しかし日本国民が今まで期待し信じていた、永遠なる米国の繁栄は、21世紀になり音を立てて崩れている。そしてそれが具体的に誰の目にも理解できるようになったのが昨年9月のリーマンショック以来の金融恐慌の発生なのである。

それならば我々はこの日本を次の世代に引き継ぐために何をしなくてはならないのであろうか?そのヒントとして欧州が作り上げた地域共同体EUと同共通通貨ユーロの成立過程を改めて理解するべきであると思う。

宗教的に米英とは異なる、カトリック教を中心とする独、仏、伊の3大国を中心とする欧州大陸国家は89年の独の統一以来、それまでの米国の軍事、経済圏の一員として政策を立案した歴史に終止符を打ち、NATOという形で軍事協力の道は残しながら、一方でドル経済圏からの離脱を画策したのである。即ち従来のようにドル獲得を目標としたのでは、日本や他アジアの新興国の台頭により、米国市場への輸出をして、米国の消費者が喜ぶ商品を作り続けることが困難であると悟った欧州国家は、その方針を変更し、独自の基軸通貨を持ち、独自の経済圏を構築することで自国の経済的繁栄を模索したのである。もちろんこの動きを事前に知った米英は、これらの動きは保護主義につながると妨害したが、結果として欧州大陸国家の強い意志を曲げることは出来ずに2002年にユーロ通貨体制の発足へとつながっていく。その後独自の通貨を手にした欧州諸国は、ユーロの価値の安定に努め、その後ろ盾となる財政削減を徹底的に実行して世界の投資家の信認を得ることに成功し、今ではドル・円に比べて30%以上も高く評価されている。これはひとえに欧州大陸国家の節約における、努力が実を結んだ結果であると考えてよいと思う。

一方今でも日本を凌ぐ、世界第2の輸出総額を誇る独は自ら進んで米国市場と距離をおくことにより、欧州域内に新たな市場を東欧や南欧に得ることになったのである。そしてそれらの宗教的価値観を同じくする国家との国境の壁を低くすることで、自国製品が十分にいきわたるような仕組みをつくり結果として、自国の輸出型経済を維持し、以前より発展させることに成功したのである。そして自らが先頭に立って、これらの経済的に発展途上にある国家に積極的に資金を提供して、インフラを整備してこれらの新興市場を自ら主導して創出したのである。その結果、今では資金提供を受けた東欧国家のインフラは見事に整備されつつあり、そしてその経済発展は飛躍的に加速し、今では独の製品を購入してくれる最大の顧客となっているのである。

独と同様な貿易立国である日本は、1月度の過去最大の貿易赤字という衝撃的な事実を前に、この独の政策に学ぶところは大いにあると思う。特に隣国の世界最大の新興国である中国には、独から見た東欧よりはるかに規模の大きい潜在市場であることを再認識するべきである。現在中国政府自体も、現在の米国発の金融恐慌の中、農村部の発展を経済対策の切り札にしており、この政策について隣国日本の積極支援を望んでいるのである。

今幸いにも、日本にとっては欧州がたどってきたように積極的にドル経済圏からの離脱を画策する必要は余りない、しかし米国国民が今後日本の商品を今までのように購入してくれないのであれば、自らの努力で他の市場を見つけ出しそこに販売するしか方法はないのである。そのための市場確保の為に中国との貿易における垣根を低くする政策を取る必要があるのである。

ところで日本のメーカーにとって、中国の市場は過去の米国のように原油を有り余る程費消する市場という好条件に恵まれていない。一方で道路や電気すらない地域もまだ多く存在している、それらの地域に日本の商品を売り込むにはそれなりの工夫は当然必要である。それは具体的にはガソリンの確保が出来ないユーザーに自動車を売るには、ガソリンの代替エネルギーの確保を保証することが必要となる。また近くに発電所がなく電気がまだ通っていない場所にテレビを売るには、必要な電気を確保する必要がある。そしてそれらの必要なインフラ整備を推敲する実体は中国政府であるが、日本政府はが中国政府と協力して輸出先として日本製品を受け入れる基盤作りを進めることでより迅速に基盤作りを進めることが可能となる。即ちEUが進めている東欧のインフラ設備投資に習い同じことを中国に行うのである。そして同時に化石エネルギーに頼らない、太陽光発電や風力発電そして、それを蓄電できる2次電池の技術提供を政府主導で進めることができれば確実になる。

それが可能となれば、日本にとって中国は米国と同様な新たなる製品輸出先となることが可能であり、日本の製造業も持続的に発展できるものと思う。いかがだろうか?

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