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June 24, 2009

未曾有の金融危機真犯人はユーロ? Vol.204

少し前の記事であるが、いまだに気になっているので再度紹介する。それは天安門事件の20周年記念日の二日前に北京の人民大会堂で行われた、胡錦濤主席とガイトナー長官の面談の記事である。中国ネット新聞より転載する。

胡錦濤国家主席は2日午後、米大統領特使として訪中したガイトナー米財務長官と人民大会堂で会談した。

 胡主席は「中米両国は世界に重要な影響力を持つ国であり、世界金融危機対策や世界経済の回復推進においても、世界と地域の重要問題の処理や世界の平和と安全の維持においても、幅広い利益を共有し、重要な責任を担っている」と指摘。「中米戦略・経済対話制度は両国が理解・相互信頼・協力を深める重要な場だ。双方は7月下旬に米国で初会合を行うことですでに合意している。双方が緊密に協力し、取り組みを強化し、入念に準備して、今回の対話の成功を確保するとともに、今後の実践において、同制度を不断に整備・改善し、新時代における中米関係の発展にしかるべき貢献を果たすことを希望する」と表明した。

 

ガイトナー長官は「オバマ大統領は、中国との一層強力な協力関係の発展に努めると約束している。米側は近くワシントンで開かれる米中戦略・経済対話で前向きな成果が得られることを期待し、関心を共有する重大な問題について中国側と戦略的・展望的・長期的な対話を行うことを望んでいる。米中両国は国際金融システムの安定と世界経済の回復促進に重要な役割を発揮してきた。中国側と金融・貿易分野の協力を強化し、国際金融システム改革を推進し、世界経済の安定と持続可能な発展を促進していきたい」と述べた。

 「人民網日本語版」2009年6月3日

この記事から米国が如何に中国に気を使ってこの会談に臨んだかが良く分かる、即ち世界金融恐慌により危機に瀕しているドル急落の恐れを中国政府が米国債を購入し続けることで解決し、その結果ドルの信認が維持されることを期待していることが明白だからである。

ところで今回の未曾有の金融危機とドルの信認の低下は相関関係にあることは、もはや誰の目にも明らかになってきている。即ち自らの欲の実現ために好き勝手に、自らの国民に借金をさせ、それを証券化し、レバレッジを掛け数十倍に膨らませ、その上危ないと思えばCDSという保険を掛けることで、他人を安心させた結果、米ドル絡みの金融商品の総額は巨大化し行き場を失い、時として皆が必要としている原油や鉱物などの実需資源の価格騰貴をもたらし、挙句の果てにはその行為を信認して投資してくれた投資家やなけなしの金で住宅を購入した庶民に多くに損害を与るという、いわば詐欺にも等しい結果をもたらしてしまったからである。

しかしながらそれにも関わらず、米国政府は国債を印刷し続け、それを換金するために連銀にドルを印刷をさせて、巨額なドルが世界中に供給されている。また他方、このような状況下ドルの急落を防ぐために、各国に新たなる財政出動を求め、世界中の先進国と新興国が多額の財政出動をして、ドルの独歩安を防いでいるというのが現状である。わが日本政府もこの動きに呼応して、国民に向けて、やれ不況だ金融危機だお抱えマスコミを通じて大きく危機感をあおり、あれよあれよといううちに15兆円強の補正予算を国会で承認して、総額100兆円にも上る本年度予算の実施を決めてしまった。しかしこの予算の本当の目的は、経済対策などというものではなく、際限なく供給されるドルにあわせた円の比例供給であり、ドル下落阻止の政策であることは言うまでもない。しかしながら、それにも関わらず、円はドルに対して円高に推移している。それだけ余剰供給されている米ドルが抱えている問題は深刻なのである。

ところで上記の記事を読んで感じる疑問の一つにどうして米国はわざわざ財務長官まで北京に派遣して中国に対して米国債の購入という形での米ドルの信認を維持するように要請したのであろうか?そのことを考えることで、今回の米ドル危機が発生した原因の一つが見えてくるのである。それは実は本来米国とは兄弟のような関係であった、欧州大陸諸国が打ち出した、米ドル排除政策即ち2002年の始まった欧州共通通貨ユーロの運用がそのきっかけなのである。それでは下記に詳しく説明したい。

2002年までの欧州はまだ多くの方にも記憶があるとおもうが、たとえば独はマルク、仏はフラン、ベルギーはベルギーフラン、イタリアはリラと多くの通貨が混在しており、欧州へ出張する際は必ず米ドルを携行してそれぞれの国で少しずつ当該通貨に交換することが必要であった。今から思うと如何に面倒なことをしていたかと思うが、当時はそれが普通であったのである。そしてそれぞれの国の金融機関はドルを当然の如く信認して、気軽に必要な自国通貨と交換してくれたのである。ところが2002年のユーロの運用開始以来、欧州諸国のドルへの対応は大きく変わったのである。その後私がかつて働いていた、商社でも欧州むけの輸出入の建値(価格表示)はそれまでのドルから半ば強引にユーロへと変えられ、その後はドル建てで価格を提示するものならば、お前売る気持ちがあるのかと逆に質問される始末であった。そして今から思い起こせば、そこには官民一体化した、ドル排除の運動があったものと理解している。その後2003年に仕事で独に駐在するとよりこのことがよりはっきり理解できた。即ち欧州大陸諸国、即ちEUは自国の経済をドルの侵食から守るためにユーロを強固な意志を持って導入したということに確信がもてたのである。実際に欧州では私が携わった化学業界でも21世紀に入る直前には多くの海外資本がニューヨークやロンドンの金融街からドルとして欧州に流入し、独仏英およびスイスの化学製薬企業の買収や事業統合が相次ぎ、多くの失業者や商権の流出などが起こっていた。そして多くの伝統ある企業が自らの経営失敗によらずに、突然の外資の流入により消滅していった残念な事実があった。しかしながら、ユーロ発足後はそのような大規模な外資の流入はまったく影を潜め、安定した事業環境が回復したのである。しかしながら、ユーロの運用開始により欧州という一大市場を失ったドルは、それによりその行き場を失い、漂流を始める。そしてその多くが日本や韓国、そして東南アジアやインドを目指すことになったのである。そしてその後は米国が新興国として持ち上げるBRICs、を始めとするG20という新たなパートナーを担ぎ出し、それらに対してドルの受け入れを迫っているというのが現実である。

ここでもう一度ユーロの設立の意義を考えてみたい。欧州は二度にわたる世界大戦により資本主義国家として最も重要な生産力をほぼ完全に失ってしまった。そしてその失った生産力はそっくり二度の大戦で無傷であった米国に移ったのである。その結果米国が自由主義国家では唯一の工業製品の供給国となったのである。一方で、米国はその信用を背景に多額の復興融資にも応じたのである。その結果ドルは戦争に関与したすべての国に流通し、世界の唯一の基軸通貨へと成長したのである。そして同時に米国は自由主義国すべてに通用するドルという基軸通貨の発行権を単独で行使できる立場になったのである。これは第1次世界大戦終了以前に英国がポンドによって世界の通商を支配した立場を米国が完全に継承したことを意味している。そしてその後20世紀末まではこの動きはつづいた、しかしながら、本来資本主義や自由貿易主義においては米国の兄貴分に当たる長兄の英国、そして次兄の独仏伊といった大陸に位置する大国はこの米国のドルによる世界覇権の確立に良い思いはもっていなかった。即ち戦後の荒廃から復興する一時期は仕方なく、米ドルを受け入れてきたが、その後、ニクソン大統領が金との兌換を停止して不換紙幣化するとドルは紙切れに過ぎず、いざというときに財産として価値を持たずに富の保全はできないのではないかとの不安をもったのである。そこで米国はその不安を払拭するために、当時から最大の産油地域である中東諸国との関係強化に乗り出したのである。そして盟主であるサウジの支持をとりつけるとともに、米国の干渉を拒絶する、イランやイラクに武力も含めて様々な形で圧力を行使をして原油のドル建てによる供給体制の維持を強制したのである。一方この軍事力による強圧的な中東支配を目の当たりにして、ますますドルの将来に不安を持った独・仏は国家事業として中東発の原油への依存率を下げるプロジェクトを立ち上げる、それが独における風力および太陽熱発電へのシフトであり、仏における原子力発電への傾斜また両国におけるロシアからの天然ガスへシフトする政策である。一方自らは北海油田を持っており中東原油に頼る必要がない英国は独・仏とは別の歩みを模索する、即ち米国の主要構成民族が英国と同じアングロサクソン、かつプロテスタントであることを前面に出して、協調路線を図ったのである。その結果米国の金融資本主義と歩をともにすることを公に表明し、ロンドンをニューヨークに匹敵する金融センターとすることで、世界中に散らばる余剰ドルの獲得を行いそれをニューヨークと世界市場を二分割して、それぞれに再投資を行い配当益を手にする事業形態を推進したのである。その結果英国はEUの一員ではあるが、ユーロは受け入れをしてはいないのである。

この事実を見ると、明らかに米国は戦後一貫してドルの基軸通貨としての信認を守ることを国益とし、ドルの不換紙幣宣言後は、原油を購入できる権利をドルに集中させること戦略として押し進め、世界中にこれを認めさせ、その拠り所として来たことが分かる。そしてこの政策は戦後しばらくの間は原油資源は中東に集中していることが、有利に作用しきわめて大きな効果を発揮した。しかしながらそのつかの間の成功は自らの力に対する驕りを起こさせ、本来紙幣の発行国は自ら規律をもって、自己の責任の上でその価値を管理すべきところを、ドルをして、あたかも原油と自由に交換できる、兌換紙幣の如く権威をつけて世界中に普及させるという間違いを起こしたのである。しかしその後中東以外にも多くの産油国が出現し、もはや米国の軍事力だけでは彼らをコントロールできなくなるのである。そして兄貴分である欧州大陸国家はこの動きを冷静に認識していた、そして彼らは周到にドルに代わる新たな通貨の設立を準備し、21世紀という時代に変わり目を選んで一気呵成にその運用を開始したのである。ということはこれは欧州大陸諸国即ちEUがユーロという新たなる基軸通貨もってドルとの覇権争いを挑んだことを意味している。そしてEUはドルの過剰流入に対しては極めて敏感にコントロールするとともにユーロについては自ら財政状態としっかりとリンクしている厳しい発行制限を課してその信認を保っている。、一方で米国は相変わらず、ドルの流通先を広げることで、ドルの信認を維持する伝統的なやり方に固執している。そしていまだにユーロを認めていない。実際に米国の両替所でユーロをドルに交換すると極めて不利なレートしか適用されないので、米国のユーロに対する一般認識が良く分かる。

もし米国が節度を持ってドルの信認維持のために、ドルの発行を調整し、この努力を欧州大陸諸国が受け入れ、ともにドルの基軸通貨としての普及を推進していたら、ドルは順調に世界各国に広がり、世界中の将来性がある新興国や発展途上国やそれ以下の貧困国にも資金が遍く行き渡り米国の目論見通り、世界は豊かになったかもしれない。しかし21世紀に入り、自ら自制することなく、あくなき欲求にとどまるところを知らない、米国にのみいい思いはさせないという、欧州大陸国家がとった反抗は、米国の戦略が夢物語であったことを認識させ、その自信を揺らがせたのである。しかしながら米国はこれに懲りることなく、面倒な欧州対策は経済政策では米国よりの英国に任せ、自らは今まで以上にアジア重視へのシフトして来たのである。そしてその米国の将来にとって最も重要なドルを受け入れてくれる、パートナーとして、すでに飽和状態で硬直した経済大国日本ではなく、14億という世界一のの人口を抱える巨大な潜在市場を有する大国中国を選んだのである。これは見方を変えれば、今まで血を分けた兄弟として信じていた欧州大陸国を当てにしすぎ、結果として見事に裏切られ、見限られた米国の憎悪がその背景にあり、その結果かつての仮想敵国であった中国に対して正式にドル体制維持についての協調を求めたことに他ならない。そして7月の会談が成功すれば、これはEUによって仕掛けられたユーロによるドルに対する基軸通貨奪還戦争の宣戦布告に対する、米国側からの応諾の回答であり米国による宣戦布告宣言となるかもしれない。

ところで日本はどうすべきなのだろうか?中国が米国債の更なる受け入れを容認するということは、中国はドル基軸体制を正式に容認したことを意味する。ということは、両大国にはさまれた日本は当然米中両国との関係維持のためにも、今まで通りドル体制を支持しなくてはならない。そして金融恐慌の再発を起こさないためにも中国と共同して、米ドルを支えるパートナーとして、米国が常に節度を持つように善導しなくてはならない。一方で問題となるのは日本は如何に中国との間で正しい距離を認識し、中国の思いを汲み取り、それを外交政策として反映させるかである。中国にとって米国のドル体制受け入れは自国の経済発展に対して利益をもたらすものとするも、身近にある在韓米軍や沖縄基地の存在は、脅威であり、当然問題視している、そしてその驚異に対抗する防衛力の維持には多額の出費が必要であり、これは極めて大きな重荷である。しかしその経費がドル体制の受け入れによる利益より余計にかかるのであればあえてドル体制に組み込まれる必要なないと考えることは当然である。しからば如何にするか?

我国は戦後、日米安全保障条約を米国の期待する通りに無条件で受け入れてきた。そして長期政権であった自民党政権内ではこのことに言及することは半ばタブー視されてきている。また同時にこの安保体制維持のために沖縄県民を始めとするすべての国民に犠牲を求め、時には嘘をついてまで米軍を受け入れて来た。しかしこの在留米軍の存在が中国の米国への不審を増幅させ、米中日の協調の障害となるのであれば、今までのように基地を容認することは行うべきではない、それならば日本は自らの経済発展の維持のために必要な、良好な米中関係の推進ためにも自らが率先して動き安保の改正を提案し米国に対して沖縄他の在留米軍基地の閉鎖および撤退を促すべきではないだろうか。実際に沖縄を始めとする駐留米軍の撤退を中国が日米に求めたとしても誇り高い米国は決して受け入れないであろう、しかし当事者である我国が国際情勢の変化を柔軟に感じとり、自らの意思で〈中国を仮想敵国とした)日米安全保障条約の役割は成功裏に終了したと説明し、米国に対して撤退を求めれば割と簡単に米国は納得すると思う。なぜならばこの提案は財政赤字に悩む、我国、米国はもとより、中国に対しても在留米軍という潜在脅威の低減が図れ、軍事費削減という大いなる果実をたらし、米国が最も期待する米中日によるドル経済圏の確立と安定に寄与するからである。

これがかなえば世界は米中日を中心としたドル経済圏と欧州大陸諸国のユーロ経済圏の2大基軸通貨圏の並立の構図となる。そしてその際にその異なる勢力圏を如何に均衡させ平和を維持させるかが、21世紀という現代世界における我国の役割と貢献ではないだろうか?少なくとも我々には、米国と欧州が生来の問題として持っている宗教的利害関係も過去に発生した憎悪も存在しないからである。その点では実利を前面に出して、交渉事をすすめることができるという、有利な環境を保持しているのである。

次の政権には日本が21世紀を生き延びるために、是非自民党政権が成し遂げることができなかった、国民経済の成長と日本の独立自主すなわち国家主権の確立の両立という、課題を解決してもらいたい、そして独立自主の獲得のためにもっとも重要な課題として日米安全保障条約の適切な見直しの実現を期待したい。そしてその結果、米国従属しか政策として打ち出すことができない、自民党政権に取って代わり、米国・中国の双方と適切な距離を保った、真の独立国としての立ち位置を確保した日本を再生させ、この閉塞感が充満している世の中に希望を取り戻してほしい。

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