どこまで能天気なのか? 防衛白書 Vol.208
昨日防衛大臣名にて防衛白書が発表されたが、その内容は相も変らず、中国の軍事力増強を懸念する内容にて、現在の世界情勢が反映されておらずにがっかりさせられた。実際に核兵器を開発している北朝鮮と中国を同列において、日本にとって脅威の存在であると敢えて指摘する背景はどこにあるのであろうか、米国も始めとして今危機に瀕しているドル基軸通貨体制の維持のためには中国は無くてはならないパートナーであるにも関わらず、このような白書がまったくためらい無く発表されることは、危機に瀕しているドルの立場をさらに悪くするものであり、我国は同盟国である米国の事情と望みすら理解できないのではなかろうか。昨日の朝日WEBを転載する。
中国の海洋進出警戒 防衛白書、「北朝鮮不安定化も」 2009年7月17日11時17分
浜田防衛相は17日の閣議で、09年度版の防衛白書を報告した。中国軍が海洋での活動を活発化させていることに強い警戒感を表明。北朝鮮情勢については、弾道ミサイル発射や核実験を「我が国の安全に対する重大な脅威」としたうえで、金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康や後継問題で体制が不安定化する可能性に初めて言及した。
白書は、21年連続で2けたの伸び率を示す中国の国防費について「5年ごとにおよそ倍額となるペース」と指摘。透明性の向上を求めた。中国軍の近代化の狙いについては「台湾の独立阻止が最優先課題として念頭に置かれている」とする一方で、「より遠方の海域で作戦を遂行する能力を向上させている」と分析している。軍高官が空母の保有に強い関心を持っていることにも触れた。 戦闘機の近代化も急速に進めており、台湾との軍事バランスは「全体として中国側に有利な方向に変化している」として、08年度版よりも表現を強めた。
北朝鮮情勢では「近い将来に起こりうる権力構造の変化に際して体制が不安定化する可能性も排除できない」とした。ロシア軍については、日本周辺での長期航海訓練や原子力潜水艦のパトロールなど「活動に活発化の兆しがみられる」と分析。米国は「不確実な要素が残されているアジア太平洋地域の安定に米軍のプレゼンス(駐留)は依然として非常に重要」とした。
昨年10月に田母神俊雄・前航空幕僚長が、日本の侵略を正当化する論文を発表して更迭された問題に関しては、部外に意見を発表する手続きなどの再発防止策に触れたが、文民統制のあり方には言及しなかった。
政策課題として、初めて「宇宙および海洋に関する新たな取り組み」の項目を新設した。(石松恒)
前号でも指摘したが、中国から見れば、日米安保条約による沖縄における米軍駐留こそが、軍事的な脅威であり、それに対抗するために自らの海軍、空軍力を強化しているに他ならない。これに対して自らの立場には何も言及せずに、一方的に中国の軍事力増強を批判している内容はどう見ても不公平である。そして日本がそのような政策を容認する限り、東アジアの緊張関係は解消されるはずがなく、中国も今まで同様北朝鮮の勝手な行動を容認せざるを得ないと予想される。このことは少し考えればすぐに判る簡単なことである。
ここで指摘したいことは、現在中国も含めて世界の情勢は急激に変化していることである。すでに米国はブッシュ政権からオバマ政権に代わり、核軍縮政策を明確に打ち出している最中に、その米国の政策に反対するかのような、軍備力増強を示唆する防衛白書をまったく能天気に提出し、それを元に日本の政策を決定し遂行するとは現状から乖離した間違った行動である。ここはむしろ、日本もこの世界的な情勢の変化に合わせて、米国と行動をともにして、駐留米軍の削減を提案して、中国を安心させ、中国とともにドル基軸通貨体制をともに支えることで、日中米間の経済面での結び付きを強める政策が必要なのではないだろうか?
先日久しぶりに北京を訪れたが、オリンピックにあわせて作られた空港ビルや高速道路、そして最近開通した天津との新幹線は極めて快適であり効率的に機能していた、これはマスコミが報道する以上に現実の中国が経済発展をしていることを示している。そしてその中国の政府の人々は、それでも資金が足りない、国をより発展させるだけのプロジェクトが必要と外国との事業拡大を声を大にして要請している。一方でその姿を見ても、のらりくらりとした態度をとり続け、積極的に応えようとしない我国の消極的姿勢を比べるに、危惧を通り越した、怒りに似た感情がこみ上げてきた。今経済が停滞する日本にとって、中国の経済発展に協力することは極めて有意義であり、過去に米国向けには成就せずに事業化がなされなかった多くの技術やプロジェクトが、今の中国にとって極めて有用となるものも数多くあるなか、ただただ米国の経済復活のみを期待して、座してなにもできない日本政府の無策には呆れるばかりである。
今戦後60年間続いてきた自公政権が自らの実力低下により、下野しようとしている中、日本の政治が変わることを期待する。しかし我々民間人は今こそ次を見据えて、政治の変化よりも早く一歩踏み出し、中国との関係を構築し、この機会を逃さずに次の時代を担う事業を推進しその基礎を固める時期であると思っている。少なくも新しい政府には邪魔をしてもらいたくはない。
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