« いまドルを持っていても、米国債位しか買うものがない? Vol.206 | Main | どこまで能天気なのか? 防衛白書 Vol.208 »

July 09, 2009

敢えて中国を仮想敵国とする必要が有るのか? Vol.207

時々下記のような、中国を仮想敵国として国民を煽るような、過激な記事を目にするがその意図は一体どこにあるのであろうか?まずは産経WEBの記事を転載する。

対中朝抑止で日本に有益」 F22取得で米専門家
2009.7.3 18:29
このニュースのトピックス:米国
 【ワシントン=有元隆志】米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22ラプターの調達継続をめぐり、オバマ政権側と議会が対立している。攻防の行方は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の選定にも影響を与える。中国軍事を研究する米シンクタンク、国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー上級研究員は、北朝鮮や中国への抑止のためにも日本政府がF22取得を目指すべきだと強調する。
 F22が政治的に生き残る可能性は一見、少ないように見える。オバマ大統領とゲーツ国防長官はF22調達を打ち切ることで、軍事費抑制を示そうとしている。
 しかし、ゲーツ長官がF22生産継続を主張した空軍指導部を更迭した後も空軍内でのF22への支持は強い。議会ではイノウエ上院議員がF22の輸出禁止条項の撤廃を試みている。187機の生産が終了する2011年までに、条項が撤廃されれば輸出が可能になる。
 日本がF22を取得した場合、保有するのは約40機程度、取得費は(米軍の2倍以上の)290億ドルと推定される。議会とオバマ政権は調達継続をめぐって対立している。日本は争いの渦中に入り、F22を得る価値があるのだろうか。答えは「イエス」だ。
 F22は北朝鮮はもちろん中国への抑止に十分な能力を提供する。日本が非核保有国としての地位を保ったままでだ。仮に日本がF22を保有できなければ、より攻撃能力を保つため、原子力潜水艦、あるいは核兵器まで保有しなければならないなど、さらなる攻撃能力を持つかの決定を迫られる日がくるかもしれない。
 中国では、瀋陽と成都の2つの軍用機製造会社が競って第五世代の戦闘機開発にあたっている。中国は現在米英が開発中の次世代戦闘機F35と同様の戦闘機開発も目指しているとみられている。中国は第五世代戦闘機に必要な進んだステルス技術の研究に取り組んでいる。中国が将来第五世代の戦闘機を(米軍より多い)187機以上保有することになるだろう。
 ゲーツ国防長官はF35取得を日本に勧めているが、F22はF35よりも速く、高く飛行できる。超音速で長時間の飛行ができる「スーパークルーズ」の能力を備えている。中国は尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権問題がある東シナ海で、制空権を握られる確証がなければ、日本に軍事的に挑んでくることはしないだろう。(寄稿)

言うまでもなく、日本は先の日中及び太平洋戦争により多くの尊い国民の命を失い、そして中国や米国などの諸外国にも大きな迷惑をかけた。そして我国はその反省のもとに不戦の誓いを行い、平和憲法を制定したはずである。そしてその平和を愛する考え方を国民の基本として戦後の復興を遂げてきたはずである。しかしながら上記の記事は中国をのっけから侵略国家と決め付けており、それに対抗するために米軍との協調の必要性をあおり、自衛隊にF22を配備するべきであると言うことであり、これは過去の歴史をまったく無視した暴論ではなかろうか?

実際に中国から見てなぜ同国は多額な費用をかけて軍事力を増強しようとしているのか、と言う根本的な問題に対して、この記事の寄稿者は何も触れていない。それは本来独立国であるはずの日本に堂々と米軍が駐留してることであり、且つ沖縄は地理的に中国に極めて近く、いつでも沖縄から中国を攻撃できる状態にあることがその原因であることをまったく無視している。最近になって、同様に中国を仮想敵国として扱い、自国の防衛力増強を訴える内容が複数の前外務省官僚の名前で記載されているが、これも極めておかしな話であると思う。本来官僚の仕事は、政治家が決定した政策を粛々と遂行することにあり、どうして政策を決定する権利を有しない、一前官僚がこのような外交の方針を堂々と国民の前に自らの名前を表に出して論じるのか、そしてそれを全国紙がそのまま掲載するのか、この国の基本構造からして歪んでいるのではないだろうか?

今中国は米国にとっても日本にとっても極めて重要なパートナーである。そして両国の経済はともに中国との関わりが無ければ立ち行かない情況なのである。そうであれば、その中国との関係を今まで以上に強化することを、日米両国は協調して検討すべきではないだろうか?そう考えるといたずらに中国を刺激するF22やF35の配備などもってなほかではないだろうか?

或いは日本は国民が一致して取り決めた不戦の誓い破って、米国の傀儡として中国と再び戦火を交えようとしているのであろうか?絶対にそのようなことが無いように、我々は自らの立ち位置をハッキリさせるべきではないだろうか?ここで日米が合意の元に沖縄の嘉手納基地や普天間基地を閉鎖し、中国の危機感を緩和することで、経済的に今まで以上に同国と緊密に結びつくことこそが、日本、米国そして中国にとって最も大きな国益をもたらすこと、このような自然な発想がどうしてできないのであろうか?

次の総選挙で政権交代が現実化しているなか、次の政権党と言われる民主党には是非この現実的且つ、当たり前の政策を採用して欲しいと、衷心より期待している。

|
|

« いまドルを持っていても、米国債位しか買うものがない? Vol.206 | Main | どこまで能天気なのか? 防衛白書 Vol.208 »

ポスト強欲資本主義」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/76174/45580777

Listed below are links to weblogs that reference 敢えて中国を仮想敵国とする必要が有るのか? Vol.207:

« いまドルを持っていても、米国債位しか買うものがない? Vol.206 | Main | どこまで能天気なのか? 防衛白書 Vol.208 »