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August 07, 2009

なんとも歯切れが悪い竹中節 Vol.210

弱体化している米国の実情が知れ渡れば知れ渡るほど、竹中教授の論法の切れ味が鈍くなると感じるのは私だけであろうか?本日久しぶりに同教授の正論を読んだが正しくその意を強くしている。まずは本日の産経WEBの正論記事を転載したい。

慶応大学教授・竹中平蔵 住宅一軒贈るに同じ「子供手当」
2009.8.7 03:44 このニュースのトピックス:正論
 ≪誰から誰への移転か≫
 民主党が、衆院選マニフェストの枠組みを公表した。すでに各方面からマニフェスト評価が始まっているが、その多くは財源が不明確であるという点に集中している。確かに、財源問題は重要だ。しかしそれ以前に、行おうとしている政策そのものの評価を忘れてはならない。「子供手当」と「消費税」問題という関心の高い2つの政策について評価してみよう。
 

いわゆる子供手当は、誕生から15歳までの子供全員に月額2万6000円を支給するものだ。まさに、民主党の政策の大看板という位置づけになっている。一方で、その財源は配偶者控除を見直すことによって調達するという。マニフェスト案を見る限り、この目的は「安心して出産し、子供が育てられる社会をつくる」とされている。生活が一番というこれまでの主張と重なっている。
 しかし、よく考えてみるとこの政策は、子供を持たない家庭から、子供を持つ家庭への所得のトランスファー(移転)である。高所得者から低所得者への移転ならまだ理解できるが、子供のない家庭は一種のペナルティーを受け、子供の多い家庭は恩恵を受けるという仕組みだ。豊かで子供の多い家庭が多くの支給を受け、貧しくて子供のいない家庭が負担するという制度であるとすれば、一体どこまで支持されるだろうか。
 ≪「大きすぎる政府」では…≫
 他方、出生率を高めるための人口政策として意味があるという見方もあろう。そうであるなら、いったい出生率をどの程度引き上げる効果があると民主党は考えているのだろうか。税収40兆円強しかない財政のなかで、5兆円もの高額を費やすのだから、政策効果についての明確な説明が要るのではないか。
 子供手当については、なによりもその金額が極めて大きいことを指摘しなければならない。月額2万6000円であれば、例えば子供3人の家庭は年間約100万円の補助を受けられる。0歳から15歳まで16年間の補助総額は1500万円にもなる。他の手当も含めれば、もっと大きな金額になる。地方在住の場合、この金額があれば住宅購入が可能になる。つまり、今回の子供手当というのは3人子供を持てば住宅一軒を国がプレゼントします、というのに等しいほどの大型補助なのである。民主党の「大きすぎる政府」に影響され、自民党も幼児教育無償化などを打ち出しているところに、いまの政治の節操のなさが感じられる。
 消費税をめぐっては、自民党が民主党を財源問題に引っ張り込みたいという意図で、「増税」を明確に打ち出している。これに対し民主党は、4年間増税をしないことを明確化。ただし議論は容認するという方針に微調整を行ったところだ。
 まず自民党に関して言えば、ここまで財政の大盤振る舞いをしたうえで安易な増税を行えば、増税幅は相当に大きなものになり経済に大打撃を与える可能性がある。自民党の増税論は、一見見識ある政策のようで、国民生活を大幅に悪くするという意味で実のところ極めて無責任な政策だ。例えば、現状40兆円もの赤字を増税でファイナンスしようとすれば、単純計算で消費税約17%の引き上げが必要になる。つまり日本は、社会保障費の負担増を賄う以前に、消費税率20%を超える高負担の国になってしまう。増税は大きなデフレ効果をもたらし、結果的に国民の生活水準の大幅な引き下げの下で財政を健全化するというものだ。国債が暴落して大混乱に陥るよりはマシかもしれないが、いま財政をばらまいて短期の生活水準を引き上げ、後にそれを引き下げるという意味では類似点もある。
 ≪財政の健全化が見えず≫
 一方の民主党のマクロ経済運営はどうか。増税を先行させないということだけが明言されているが、その後のシナリオは全く分からない。主要国の実例を踏まえたこれまでの分析からすると、増税先行型の財政再建は必ず失敗する。これを成功させるには、成長による増収、歳出の削減、最後の手段としての増税、という3つを適切に組み合わせるしかない。しかし民主党のマニフェストには、成長を高めるための政策がほとんど見られず、かつ明確なシナリオは示されないのである。
 自民党も民主党も、当面政府の支出を拡大させて国民生活に「保護」を与えようとしている。しかもその程度は、相当に大きい。であるならば、財政の健全化をどのようなマクロ経済シナリオの下で実現するのか、道筋が示されねばならない。しかし、自民党は国民の生活水準を引き下げるような悪い政策を提示し、民主党はそもそもそれすら提示しない。選挙で選択を迫られる国民にとっては、文字通り究極の選択である。
 数年のうちに、日本の公的部門の債務総額は、家計の資産総額1500兆円を超えることになる。有権者の資産の裏打ちのない借金を、政府が背負う時代に入る。政治の責任ある行動が問われている。(たけなか へいぞう) 2009年8月7日産経WEB

私が気にしているのは、自らが自民党の参議院議員として大臣まで勤めた御仁が、日本の財政をここまで貶めた、責任がご当人にあることに、まったく反省を行わず、且つ堂々と自ら所属していた自民党の批判をしている点である。少なくとも現在の米国従属体制を積極的に推進したのは、当時の小泉政権であり、その政策を政権内のブレーンとして推進していたのは竹中氏本人であったはずである。その点を自らまったく言及しないことはおかしいのではないだろうか?ところで同氏のコラムの最後の行に核心的なコメントがあります。

数年のうちに、日本の公的部門の債務総額は、家計の資産総額1500兆円を超えることになる。有権者の資産の裏打ちのない借金を、政府が背負う時代に入る。政治の責任ある行動が問われている。

同氏はその責任は自らにはなく、今の自公政権が悪いとしておりますが、果たしてそれで事は済むのでしょうか?むしろ政権内にいた際に推進した政策こそが、このような危機的な財政状況を日本にもたらしたのではないでしょうか?私は、これは米国が信奉する新自由主義を万能なものとして、認識して受け入れてしまった同氏とそれを利用した小泉政権の失政に他ならない感じて思います。すなわち、米ドルが一定の価値を持って流通する限り、世界の経済発展は継続するので、日本はその流れに乗って、どんどん米国人が喜ぶ商品を生産して輸出・供給すれば、国民は潤う、そしてそれで得た財を利用して財政を再建健全化するというものだからでした。

しかしながら、それは絵に描いたもちに過ぎないことが今回の金融危機ではっきりと認識されました。そのきっかけは、かつては世界の警察官とまで言われた、米国の軍事力や石油資源の一極支配に対して、現代の世界は20世紀ほどの評価を下さなくなったことに他なりません。すなわち、世界中が米国の軍事力は今まで思っていたほどではないこと、また石油が無くても他に代替のエネルギーはいくらでもあることを認識したのです。その結果世界中の米ドルに対する安心感は揺らぎました、そしてそれでも世界中に散らばったドルの回収をしなくては、国家の財政破綻を招く恐れがある米国は、高利回りのドル建て証券を開発して、資金の回収に努めなくてはなりませんでした。その結果、将来必ずいつかはピークを迎え下落することを認識した上で、禁断の木の実である、サブプライムローンに手を出してしまったのです。それは薬物に手を出す、実力が低下したプロスポーツ選手と同じことでした。その結果案の定破綻を招いたのです。

話を戻します。このような薬物による虚像のパワーをもって、世界を押さえようとした米国の政策を万能の神の如く崇拝し、国民を誤った道に誘導した小泉・竹中ラインは、その影響の大きさから見て、封建時代ならば切腹にも値する大きな罪をもたらしたものではないでしょうか?しかしそれが未だに影響力を持ち続けている点に我国の問題を感じております。

もはや米国を気にしていたのでは何も得るものはなく、将来の日本の安定は保証されません。となると我々現代人には、未経験と言う、リスクはありますが、古来よりの2000年に渡る交流経験という無形財産を基盤とした中国との正面からの付き合いこそが重要となります。今こそが、日本が、自らのあらたなる立ち位置を決め、積極的にアジアの発展に貢献することを示し、その結果、中国の目を日本に向けさせることができる最後のチャンスなのかもしれません。

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