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December 21, 2009

欧州の覇権奪還 Vol.212

先月欧州政府は12月1日に発効する、リスボン条約で定められた、欧州連合大統領と同外相を選出した、大統領は調整型のベルギー出身ファンロンバイ氏、外相はEU委員で英国出身のアシュトン氏となった。ところでその目的はどこにあるのであろうか、私はこれは欧州連合設立、ユーロの基軸通貨化など一連のEU統合政策の成功に自信をもった欧州カトリック国がいよいよ、外交に進出したという注目すべき動きであると見ている。

欧州カトリック国(英国・蘭両国はプロテスタントであるが、米国のプロテスタント程の違いはないので、ここでは準カトリック国扱いとしておく。)は20世紀に起きた二回に渡る大戦により、一気に生産力を失い、代わりに米国の台頭を許してしまった。その結果、それまで15世紀より世界の覇権を握っていた、欧州は意に反して米国の保護国化してしまったのである。そして欧州諸国はその状況を正常に戻そうと第二次世界大戦後一貫して、脱保護国化を目指して、地域の経済力を高め、外交を展開してきたといっても過言ではない。そしてそれを象徴することには、2回の大戦の火種の元となった、独仏両国の歴史的な和解によるECの成立が挙げられる、長年いがみ合って戦争を繰り返して来た両国が、米国の支配からの脱却を目指して手を握ったことで、現在の欧州連合の基礎が固められたのである。

一方で欧州諸国は、米国覇権の実態を詳細に調べ上げ、その支柱となっているドル基軸通貨体制の弱体化を目標として動き始めたのである。そしてそのドル基軸通貨体制の根幹となっているのは、原油の購入通貨が米ドルに独占されていることであり、米ドルの影響力、或は支配力を弱めるためには、その価値を担保している、原油の世界的需要に制限を加えることこそが、必要であると考えるに至ったのである。

その結果、欧州諸国は一致団結して地球温暖化、環境保護をスローガンとして原油の無駄遣いを抑制するキャンペーンを張ったのである。そしてその意義を強調するために地球温暖化の原因を化石燃料の浪費による二酸化炭素の放出が原因であると具体的に例示して、世界の同意を得ることを意図したのである。これに対して、米国政府はその動きの本質は同国の世界覇権阻止であり、同じ白人国家である欧州の同国への重大な挑戦との危機感を持ち、ブッシュ前政権時代にはこの動きにはまったく同調せずに逆にイラク戦争を起こすことで、巻き返しを図ったが、世界の趨勢は欧州支持へと動き、米国でも自国の覇権の弱体化を認識として受け入れる形となったのである。

今我国のマスコミは、未だに米国の力は絶対と考えての論調が多く、意味も無く民主党政権の対応を批判することも多いが、現実にはCOP15などにより世界の国が温暖化阻止、即ち化石燃料の使用制限に目が向くということになれば、原油の使用量が今までのように増加することはありえず、結局それは通貨としてのドルの利便性の低下として具現化することになる。かつては有事のドルなどといって、戦争が一旦発生すると、超大な軍事力を有するドルが買われたものであるが、今は軍事力があっても必ずしも有利とはいえず、その面でもドルのプレミアムはなくなったと理解すべきである。そうなると巨額な財政と貿易赤字を抱えているドルは、先安となる可能性があり、自らの資産を米ドルで持っている日本は今後、価値が下落するドルの対策を迫られることになるのである。

今回のEUにおける、リスボン条約の発効は、自信を回復したEUが米国から保護国化から完全に脱却し、対等となったことを意味しており、その意味で、このチャンスにアジアにおいても、我国と中国、韓国がすばやく同様の動きをして、東アジア共同体を創設すべきであると思う。ただし東アジアは欧州と異なり、米国との間には、相互間の深いつながりを有しており、単純に競争だけではなく、ともにパートナーとして扶助することが必要な関係である。そうであれば、東アジア3国が一貫して米国を対等なパートナーとして尊重する態度をとり続けるのであれば、米国としてこれを拒む理由はないのである。

一方もっとも注意しなくてはいけないのは、今までのように一部の対米従属の構図の中で潤った、財界の主張を何も考えずに容認することで、自らもそのおこぼれを頂戴してきた勢力の動きを野放しにして、米国一辺倒主義を採り続けることであり、そしてそれを担保している日米安全保障条約を絶対視して、現在の米軍の駐留を継続させることである。我々は世界の動きを冷静かつ正確に理解して、日本中にある野放し状態の米軍基地を早く撤廃することが重要である。民主党がこの点をしっかりと理解している限りは積極的に支援を続けたい。これは観念論的な社民党の主張を単純に受け入れるべきものでは無く、現実論として提案していることを敢えて主張しておきたい。

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