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February 14, 2010

今年は、冬季五輪とW杯イヤー Vol.217

昨日より冬季五輪が始まった。やはりここ長野に住んでいると、1998年の開催地だけに他の地域より関心が高いように感じられる。前回のトリノ(イタリア)では荒川静香選手の女子フィギアの金メダル一個に留まり、惨敗した日本がどのように復活を遂げることができるのか、非常に興味深い。ところで以前は冬季五輪といえば、夏の五輪と同じ年に開催されていた、例えば、1992年はフランスのアルベールビルで開催されたが、その年の夏季五輪はもう一つの欧州の都市、スペインのバルセロナで開催されている。その後、次のリレハンメル五輪が同じ欧州で開催されたが、この年は特例で2年後の開催となり、以後、冬季五輪はサッカーのW杯と同じ年に開催されることになった。その結果長野五輪の年には、フランスでW杯が開催されている。そして日本は同大会にアジア代表として初出場を果たしたが、結果はこれも3連敗と惨敗であった。

ところで冬季五輪とW杯は私が見るところ、ともに欧州の規範を基にして開催・運営されているイベントである。即ち米国の影響力は極力抑えられ、その運営方法から各競技のルール作りまで、欧州の影響力が極めて大きいと思っている。その意味では欧州発祥のサッカーの世界大会であるW杯も同じである。その中で日本勢はというと、米国式の野球などでは無類の強さを見せるものの、冬季五輪では全体として低迷している。特にノルディックスキーなどでは、相次ぐルールの改定についていくことができずに、あのかつて札幌や長野で頂点を極めたジャンプですら、現在では世界にまったく通用しない。これは翻ってビジネスの世界でも同様である。米国では良く売れたトヨタ車も欧州ではそれほどではない、ましてや日産などは既にルノーの配下に入って欧州市場を独自に開発することすら諦めている。

こう考えると、このような状況下、冬季五輪で日本勢がどれだけ頑張れるかが、極めて興味深い話題となる。その結果、前回のトリノと同じように惨敗を喫するようであれば、日本は欧州が決める規範に対してどのように対応するのかを根本から考え直させばならないと思っている。これは6月に続くW杯においても共通する見所であると思う。

ところで開会式を前にして、今の日本を象徴するニュースが入ってきた、スノーボードハーフパイプの国母選手の腰パン事件である。これはなんとなく、前号の朝昇龍事件を髣髴させるが、強ければ、後は好きなことをしても良いという、極端な自由成果主義が冬季五輪に参加する日本人選手まで及んでいることを示唆しているようである。そういえば、ハーフパイプを含むフリースタイルスキーという分野は、伝統的な欧州というより、米国の主導で作られた新しい分野の競技である。そしてその中には当然米国風の古来からの伝統を否定して自由を取り入れる思想が入っている、だからこそ実際にフリースタイルスキーと名づけられているのであろう。しかしながら、日本選手団や橋本団長は、このような極端な自由主義に断固たる対応をしている。そして国母選手に対して謝罪会見に自らとともに参加させメディアの前で謝罪をさせた。これは朝昇龍問題に対して、相撲協会がとった態度と共通しており、今回の腰パン事件に対する当局の対応を見る限り、日本が今抱えている問題は、自由成果主義が行き過ぎたことに対して、どのようにして伝統的な価値観を守るかが課題であるように見える。即ち先の朝昇龍事件でも指摘されたとおり、強ければ、品格など無くて金を稼ぐことは可能との、強さと地位と報酬を単純に結びつける、自由成果主義を受け入れてしまえば、これは組織が社会的意義に目も向けない、拝金主義に冒されることを意味しており、、結果的に、それは競技スポーツの運営というよりも、ストリートファイトを見せものとして稼ぐ、興業師と同じことになってしまうのではなかろうか。実際に昨今の大相撲でも協会が朝昇龍に甘くすればするほど、その結果として、客足が遠のいてしまい、結果的にビジネスが立ち行かなくなるという悪循環にはまってしまったのである。その意味では、今回の橋本団長が取った対応は、各参加者が規律を重視せずに自由放任にやっていたのでは組織はまとまらず、結果としてそれでは大会の運営をすることはできず、それでは経済的に潤うこともできなくなることを、危機感として理解した上での正しい対応であったと思っている。

仮にこの冬季五輪やベスト4を目指すと岡田監督が豪語する、W杯で目標が叶わず、日本が惨敗することになれば、これは本当に日本の過去60年の自由成果主義偏重教育の結果犯された拝金主義病という病魔がいかに重篤であるかを我々自らが知ることになり、それから日本が回復し立ち直ることは極めて困難な道である事を示唆するのでないかと思う。

その意味で興味を持って、今回の冬季五輪の動向を見守って行きたい。

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